リョウの、右の騎士の輝きがあたしを圧倒する。以前村で戦うリョウを見たときよりもずっと強い光を放ってる。もしかして、神様の気配が強まっているこの空間で、リョウの戦う力も上がっているの…?
 そのとき、あたしの感覚の中に、それまで感じていたより更に強い影本体の意識が飛び込んできたの。あたしの心に鳥肌が立つ。
 ――通路ヲ出ルマデ攻撃ハ控エヨ
 それは命の巫女たちが守る3つの通路にいた影たちへの命令みたいだった。今まで、影が放つレーザーガンが影たちの進攻を妨げる大きな力になっていた。それがとつぜん止んでしまったら、もしかしたら影は通路を突破してしまうかもしれない。影が部屋の中に入ってきたらリョウは背後を突かれて挟み撃ちになる!
「命の巫女! 影がレーザーガンを使うのをやめたわ。シュウ!」
 いきなり現実に戻ってきたあたしの叫びに2人とも驚いたように振り返った。
「敵の本体が次元の扉に気づいたの。炎を放った次の瞬間に影が飛び出してくるわ!」
 あたしの短い説明で、シュウは瞬時に意味を理解してくれたみたいだった。
「ユーナ、通路の出口を崩せ! それしか勝機はない!」
「判ったわ。――炎の濁流!」
 2人の手から、今までよりも大きな炎が噴き出した。通路の入口より上の壁を狙って放つと、積み上げられたレンガがガラガラと崩れて通路をふさいでいく。それまでの攻撃と今の大きな力を使ったことで2人は息を切らせていたの。でも、もうもうと立ち込める煙の向こうから、やがて通路を破壊するような音が聞こえてきたんだ。
「…まずい。これだけじゃ長く持たない。ユーナ、祈りの巫女、ここは危ない。部屋の入口あたりまで下がるぞ!」
 あたしはすばやくろうそくを持ってシュウに続いた。あたしたちはいい。いざとなったら部屋の入口から来た道を戻ることができるから。だけど、通路の途中にいるリョウは、このままだと影の真っ只中に孤立してしまうよ。
「2人はここにいて。あたし、リョウのことを追いかける。こっちの通路を突破されたって、リョウに伝えに行ってくる!」
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