――未来の扉…?
 シュウの話を聞いて、あたしは今まで気づかなかったさまざまな疑問がわきあがってくるのを感じていた。これって、誰も話題に出さないけど、みんな納得していることなの? 判ってないのはあたしだけなの?
「未来で間違いないんだな。だったら手分けして探そう。ユーナ――」
「ねえシュウ、ちょっとだけ教えて」
 シュウに手渡された紙を持って歩きかけていたリョウは、あたしがシュウに話しかける声を聞いて足を止めた。
「どうしたの? 祈りの巫女」
「なんかあたしだけ理解してないみたいなの。だから教えて。シュウたちが来たのは2000年の時代なの?」
「そうだよ。んまあ、正確には2004年だね。それがなにか?」
「その時間は、あたしの村から500年後の未来だってこと? だったらこれから探す2100年の扉は600年後の未来なの? もしもそうだとしたら、どうしてその途中がないの? あたしはもちろん1600年までは生きてないけど、村が滅びなければ必ずその先があるはずじゃない。それとも、ここで村は滅びるから、だからその途中の時間がないってことなの?」
 そう、一気に話したあたしを見つめていたシュウは、あたしが言葉を切ると、リョウと命の巫女に視線を移した。
「リョウ、今の質問に答えられる? ユーナは?」
 2人が答えなかったから、シュウは再びあたしに視線を戻した。
「じゃ、仕方がないね。オレが扉を探しながら質問に答えるから、祈りの巫女はオレのあとについてきて。リョウ、そういう訳だから、二手に分かれるならパートナーを交換するしかない。彼女が心配ならオレたちについてきてくれても別にかまわないけど」
 シュウが意地悪そうにそう言って、あたしは自分が言ったことで2人がまた険悪になったらどうしようってちょっと心配した。でも、リョウが憮然としながらも1人で歩き去っていったから、命の巫女も苦笑いを浮かべてリョウとは反対の方角へと歩いていったの。
 2人を見送ったあたしがシュウを見上げると、シュウはあたしを安心させるように微笑んで、歩きながら話を始めてくれた。
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