そのままあたしたちは守護の巫女の宿舎を訪れて、命の巫女の予言を守護の巫女に伝えた。守護の巫女は命の巫女が未来を予言したことにかなり驚いたみたい。そこには宿舎を失った聖櫃の巫女が一緒にいて、あたしはそのとき聖櫃の巫女の宿舎にいた2人の巫女がまだ中に取り残されていることを知ったの。
「とにかく行方不明者を探すのが先になるわ。今リストを作ってるのだけど、少なくとも14人がまだ見つかってないの。だから会議の方は早くても明日の午後になるわね」
守護の巫女の宿舎を出たあとシュウは、明日またあたしの宿舎にくると言い置いて帰っていった。あたしと命の巫女は再び宿舎に戻ってくる。聖櫃の巫女の宿舎が壊れてしまったから、命の巫女はあたしの宿舎に寝るように守護の巫女に指示されたんだ。あたしはしばらくベッドのことで悩んだのだけど、カーヤはまだ帰ってなかったから、けっきょくまた2人でカーヤの部屋に寝ることに決めた。たとえ同じ服を着ていても、前の時と同じように寝ていれば、カーヤには区別がつくかもしれないって思ったから。
そして翌朝、あたしが目覚めて自分の部屋に2人分の着替えを取りに行くと、カーヤはまだあたしのベッドで眠っていたの。たぶん夜遅くまで仕事してたんだろう。カーヤを起こさないように部屋を出て、あたしと命の巫女はカーヤの部屋で身支度を整えていた。
「こうして見ると本当に似てるね。あたし、最初に神殿で目を覚ましたとき、目の前に鏡があるんだと思ってたの」
あたしが鏡の前で命の巫女の髪をとかしてあげているとき、命の巫女が言った。
「そうね。直接互いの顔を見るよりも、こうして鏡の中の2人を見比べる方が余計に似てる気がするわね。きっとあたしも知らずに命の巫女を見たら、目の前に鏡があると思うわ」
「…ねえ、祈りの巫女。今日は髪飾りをつけないでいてみない?」
あたしは手を止めて、鏡の中の命の巫女を見つめた。…見つめていたらなんとなく判っちゃったの。命の巫女は、シュウが自分を見分けられるか試してみたいんだ。あたしも同じ女の子だから判るもん。好きな相手には、たとえどんなに自分に似ている人がいても、自分だけを見分けて欲しいって気持ちが。
「いいわよ。でも、午前中だけね。午後の会議のときには見分けてもらわなければ困るもの」
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