おはようございます、黒澤弥生です。
毎日連載小説「記憶」及び「記憶2」は4月15日をもって終了したのですが、翌日よりあとがきを送信しています。
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さて、メルマガ版あとがき第4回です。(いつまで続くんだ……?)
この「記憶」という小説は一人称形式で書かれたものなのですが、黒澤自身はどちらかと言えば三人称形式の方が得意だったりします。
ですので、ふっと気を抜いて書き始めると、必ず三人称になってしまうんですね。
そんな訳で、書き始める前にかなり意識的に、一人称で書けそうなお話は一人称で書き始めることにしています。
この「記憶」に関しては、一人称の方がより伝えたいことをしっかり伝えることができると思ったんですね。
ただご存知のとおり、一人称の最大の弱点は「主人公が見たもの、あるいは理解できるものしか書くことができない」という点でして。
主人公が判らないことを読者の方だけに判るように書くことができない訳ではないのですが、それ相応の技術が必要なんですね。
今回、一番それで悩んだのが、ラストのミオが泣きじゃくっているシーンでして。
最終回で伊佐巳はもっともらしく注釈を加えていますけど、本当はミオがなぜ泣いているのか、伊佐巳には判っていなかったんです。
最後にミオは、幼い頃から伊佐巳が自分に恋をしていたことを知りました。
その時、ミオは過去に伊佐巳に恋をしていた自分、そのときのつらかった気持ちや、健気だった自分を思い出したんです。
そして、過去の自分をものすごく愛しく感じたんですね。
ですから、ミオの涙の理由は、父親が自分に恋をしていたことへのショックでも、人質生活から解放された安心感でもなくて、健気だった自分への愛しさからだったんです。
まあ、あの伊佐巳に女心を理解させようというのがそもそもの間違いで、ここでミオの気持ちを理解したらすごくおかしな小説になってしまうし、私としても泣く泣く伊佐巳が理解できる形で終わらせるしかなかったんですね。
そんな訳で、ルール違反だとは知りながら、あとがきで解説する羽目に陥ってしまいました。
明日もあとがきの続きを配信します。
もしも感想などありましたら、ぜひメールでお寄せくださいませ。
許可をいただけましたら、このメルマガに紹介させていただきたいと思います。
では、また明日。
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