「腹減ったん? だったら今なんか作るよ」
お前の作ったもんなんか食えるのか?
「おっと、その目は信用してないな。悪いけどあたしゃ、中学のころから主婦がわりだぜ。5年のキャリアを疑うのか?」
「あとでいい。まだ4時半だからな。それよりこれからどうするのか、話さないか」
「1つ、ノックをしないでお互いの部屋に入らない」
いけね。オレさっき、ノックしなかったぜ。――逸実ぃ、そうじゃないだろうが。
「悪かったよ。だけどもお前…」
「隠れ住むだけだろ。出歩かない、電話にもでない。あたしゃ運動不足になりそうで心配だよ」
 お前、出来るだけおめでたい方向に話しを持ってこうとしてるだろ。不安とか全部、そんなかで忘れようとか思って…。もしお前がそうしたいんだったら、オレはそれでもかまわねぇけどよ。だけど逸実、現実ってのはやっぱ、オレ達の身近にしっかりとあるもんなんだぜ。そいつは、忘れないでくれよな。
「それじゃあ、ちっと打ち合いしてみるか」
オレ達は剣道っ子。竹刀も木刀もきっちり持ってきてるぜ。
「いいね。ダンスホールは十分な広さだ」
 気が強くて、いざって時には誰よりも頼りになる奴。
 オレ、信じてるからな。お前のこと。

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