それにしても、広い別荘だ。昔立食パーティー形式で100人ぐらい収容したことがあるって、叔母さんは話していたけれど、本当はもっと入れるだろう。吹き抜けの広いホールと、部屋が30個。叔母さんちの本宅の3倍はあるぜ。維持費だけで年間いくらかかってんだろ。
中に入ってすぐに暖房のスイッチを入れた。ここの暖房は全部屋共通で、ボイラー室のスイッチ1つで別荘中があったまっちまうのだ。オレ達2人のために全部の部屋をあっためるのは、はっきり言ってエネルギーのむだ遣いというものだが、そういうシステムだというのだから仕方がない。台所の貯蔵庫らしきところに食料品の全てをしまい込み、2階の隣合った部屋にオレ達の部屋を決めると、荷物をほどき始めた。そうこうしているうちに別荘内は暖かくなって、寒がりのオレが上着を脱げるほどになった。
荷物を片着けて隣の部屋へ行くと、逸実はベッドに寝転がって、天井を見つめていた。
「起きてるか、逸実」
「うん、起きてる」
逸実はえいやっと勢いをつけて、ベッドから飛び起きた。
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