つぎの日、オレ達は朝早くに家を出た。親父に駅まで送ってもらい、そこから約1時間、叔母の家の最寄り駅へ行って、叔母にワゴン車と地図、そして、2週間分の食料をもらった。それで一路G県K町の別荘へ。言っとくが、17のオレが持ってるのはバイクの免許であって、車の免許じゃないんだぜ。逸実に言うと、
「交通法規を知ってりゃ、オートマなんだし運転くらいできるだろう」
だって。確かにそうだけどさ。初めてって訳でもないし。
 てなわけで、追っ手もなく、雪道でスリップすることもなく(恐かったけど)、とにかく無事にオレ達は到着することが出来た。
「逸実、起きろよ。着いたぜ」
そう、こいつは、オレが必死こいて運転しているときに、1人だけ寝ていたのだ。
「あ、一郎。着いたの? ごめん、ナビやらなくて」
「いいよ。ここなら前にも来たことあるし、それより早く荷物降ろしちまおうぜ」
 もともと避暑地としての別荘だ。冬は格別に寒い。昔は毎年のようにクリスマスパーティーをやったって言ってたから、暖房くらいはあるだろうが、外が寒いことには変わりがない。今はまだ2時過ぎだからそれほどでもないが、夜のことを思うと、さっさと片付けちまった方が得策ってもんだ。

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