おはようございます、黒澤弥生です。
毎日連載小説「茜色の迷宮」は3月15日をもって終了したのですが、翌日よりあとがきを送信しています。
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さて、あとがき第3回(笑)です。
物語のキーマン「ユーリル」は、主君の娘でもあり乳兄弟でもある「フローラ」に恋をしていました。
彼女が2年前、実の叔父である「リンゲル」に殺されてしまって、しかし証拠がないために告発できなかったことに憤り、死んだ彼女が生きていることにしてその2年間を復讐に費やしたんですね。
もちろん、当時ハドルの離宮に暮らしていた召使たちもすべて協力者で、おそらくその2年間で復讐の手立てを話し合わない日はなかったことでしょう。
そして、パラレルワールドを行き来できるというその国の生き物(パステルカラーの竜)に乗って、あの日茜を招いたんですね。
さて、このユーリルという登場人物ほど、ツッコミどころ満載のキャラはいないでしょう(笑)
物語の冒頭では、10日間行方不明だった若原が茜の部屋を訪れて「偶然ユーリルの姿を見て、それをネタに脅迫してリカーモンドへ連れて行ってもらった」というような話をしています。
そして、姫の肖像画を見て茜にそっくりだったことから偽者を立てることを思いついて、ユーリルに茜を紹介するつもりで戻ってきたんですね。
もちろんこの時点で若原が嘘を言っている筈はありませんから、事実その通りのことが起こっていたのでしょう。
でも、2年前からこのことを計画していたユーリルが、そもそも偶然などという不確かなものをあてにしていた訳がないんですよ。
おそらくユーリルは、2年程前からたびたび日本を訪れて、偽者にぴったりの女の子を捜していたのだと思います。
日本にきた理由は、リカーモンドの言葉と日本語の共通点が多いことと、姫の容貌が日本人に似ていたからでしょうね。
だから少なくとも1年くらい前には、ユーリルは茜を見つけていたものと思われます。
そして、彼女を4次元の世界からストーキング(笑)して、彼女の生活習慣や性格、日本という国の風習などを、事細かに研究していったんです。
その過程で茜が若原に恋心を抱いていることや、若原の好奇心の強さなども知ることができたので、より確率の高い方法として先に若原をリカーモンドに連れて行ったんでしょうね。
(茜が自分1人だけでは求めに応じないことや若原に逆らわないだろうことも計算に入ってたと思います)
こうして考察してみると、この物語でもっとも悪党なのは、このユーリルだという気がしてきます(笑)
でも、そこまで狡猾で計算高い人間が、はたして茜を襲うなどという暴挙に出る意味があったのでしょうか。
明日もあとがきの続きを配信します。
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では、また明日。
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