そもそも、あたしはどんな風に見えてるんだろう。
それが聞きたかった。
「若原君、あたしのことどんな風に思ってたの?」
若原君、片肘をついて、あたしをまじまじと見ながら、言ったの。
「そうだな。何て言うか、変わったことはしたくないっていうか、いろんな事を考えて実行してみようとか、そういう所がないように見えたな。まわりに流されて、我を通すことをしないような。イベントを率先して企画したりとかしないだろ? オレ、お前ってあとからぐちぐち言うタイプかと思ってたんだ。
でも、今回のことでオレの見方が変わったって言うのはそのへんなんだけど、お前はたぶん流されるタイプなんだろうけど、でもそれなりに決まった事はきっちりやるんだよな。ユーリルに頼まれた事も、乗り気じゃなかったように見えたのに、実際はこれ以上はできないってくらい努力した。お前そうやってできないって思うことでも結局はやっちまうから、信頼できると思う。安請合しておきながらあとからできないって言う奴とは違うよ」
若原君が言ったこと、きっと真実じゃないと思う。
あたし、そんなに立派じゃないもの。
でも、あたしは若原君に信頼されてるんだ。
それを知ったから、これからは、その信頼を裏切ることはできない気がしていたの。
あたし、若原君に近づきたいと思った。
1年6組に帰ってからも、ずっとこうして話していたいから。
それにはあたし、若原君に信頼される人じゃなくちゃいけない。
そうでなければ、若原君と友達でいる資格なんてないから。
「あたし、ずっと若原君の友達でいられる? これからも、元の世界に戻ってからも」
あたしのこの言葉に、若原君は少し変な顔をしたの。
あたしは、それはできないって言われるんじゃないかと思って、少し身を固くしていた。
やっぱり、無理なのかもしれないって。
「そうだな。…まあ、お前がそう言うんだったら、それでもいいよ」
若原君の言葉は歯切れが悪かったから、あたしはかすかな期待を抱いていた分、かすかな絶望を感じていた。
そうよね。
あたしなんかが友達じゃ、若原君には迷惑なだけよね。
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