若原君の言葉に含まれてた新しい単語に、あたしも少し緊張していた。
ユーリルって誰?
約束って何?
若原君は、誰かとの約束を果たすために、あたしのところに来たの?
たくさんの不安の中で、あたしは緊張していたの。
でもあたしにはその前に聞きたいことがたくさんあった。
どうしていなくなったのか。
今まで何をしていたのか。
そのことを先に聞いてみたかったの。
「若原君、どうして突然いなくなってしまったの? 今日まで何をしていたの? ううん、それよりも、これからはもういなくなったりしないわよね。今日は帰ってきたんだよね」
あたしの言葉に、若原君は困ったような顔をして、言った。
「それも含めて話すけど。…オレ、今日は帰って来たんじゃないんだ。平原に話があって、一時的に戻ってきただけなんだ。だから誰にも知られたくなかった。オレが戻ってる事を知ったら、オレのこと心配している人…お袋とかによけいな心配かけるだろ。オレにはまだしなければならないことがあるんだ。それには、平原の協力が必要なんだ。これから詳しく話すけど、そんな訳でオレはまだ戻ってはこられない」
若原君は帰ってきた訳じゃない。
あたしはそのことにショックを受けていた。
若原君は、いなくなってしまう。
「また、いっちゃうの?」
「平原にも一緒に来て欲しい」
え? あたし?
「こんな事言うなんて突然で驚くと思うけど、オレには平原の協力が必要なんだ。とりあえず話をきいて、それで決めてもらえばいい。オレ、平原に全部話すから」
そうしてあたしは、若原君の話を聞くことになった。
それは、とても信じられないような、夢のような話だった。
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