「最新の映画」ではなく、「最近見た映画」の中からとりあげています。
(1999/10より)

(括弧内は評者の評価です。A=見るべし、B=見るとよい、C=見てもよい、F=時間の無駄)
(ただし、基本的に評価(B)以上のものを主に取り上げています。)



『ホリデイ』"The holiday"監督ナンシー・マイヤーズ
'06 米 135分 (A)

上品で良質な正に映画の王道を行く作品である。気持ちがいい「御伽噺」を見せてくれる。台詞も洒落ている。ホリデイとはクリスマス休暇のこと。その後の二組のカップルがどうなるかには不安も残るが、それは考えないことにしましょう。(M.K.)(2007/11)


『アンフィニッシュ・ライフ』"An unfinshed life"監督ラッセ・ハルストレム
'05 米 108分 (B)

少し地味な映画であるが、いい作品である。ジェニファー・ロペス、ロバート・レッドフォード、モーガン・フリーマンらが、それぞれいい味を出している。
息子をなくし、失意の日々をすごしている老人のもとに、10年ぶりに息子の妻であった女が助けを求めてやってくる。息子の忘れ形見の娘を連れて。ともに暮らすうちに家族の絆を取り戻すという話。
ロペスが少し尻軽だけど、まあ、許しましょう。自然の風景もいい。見て損はありません。(M.K.)(2007/11)


『ドア・イン・ザ・フロア』"The door in the floor"監督トッド・ウィリアムズ
'04 米 112分 (B)

過去に事故で息子を失った夫婦のところへ、青年がやってくる。心の空白を埋めるべく妻はこの青年と不倫をし、夫のもとを去っていく。夫はそのことを承知であった。
ジョン・アーヴィング原作の話はどれもこれも一味違っている。映画に向いているのかもしれない。額縁店での場面が面白かった。(M.K.)(2007/11)


『リトル・ランナー』"Saint Ralph"監督マイケル・マッゴーワン
'04 カナダ 98分 (B)

実話かどうか知りたいところだ。全寮制の学校で、クラスの中で少し浮いた感じの少年が、「奇跡」を求めて努力した結果、周りから賞賛を受けるという話。
何事も人のしないことを一所懸命にやれば、思いもよらない結果が生じるということだ。(M.K.)(2007/11)


『リーピング』"The reaping"監督スティーヴン・ホプキンス
'07 米 99分 (B)

原題は「刈り取り」「収穫」という意味。何を刈り取るのかというと、悪魔とその手先たちをである。キリスト教にはこのような話の素材がたくさんあって、いくらでも作れるのだろう。しかしこの映画は、神や天使が実在するという話であり、珍しい設定である。(M.K.)(2007/10)


『ブラッド・ダイヤモンド』"Blood diamond" 監督エドワード・ズウィック
'06 米 143分 (A)

こういう映画は日本人には作れないね。監督は『ラストサムライ』を撮った人。
黒人には国家を治めるという能力はないようである。アフリカはもうどうしようもない。為政者が国民を搾取するのだから。民を豊かにし、国を発展させるという思想が為政者にない。
映画で描かれている状況を、のんびり生きている日本人には理解できないだろう。アフリカの黒人が日本に来れば、天国だと思うだろう。
この映画を見れば、「血まみれのダイヤモンド」など買う気がなくなる。それを意図した映画でもある。君の彼女がダイヤモンドが欲しいと言ったら、この映画を見せると良いよ。(M.K.)(2007/9)


『ラブ★コン』 監督石川北二
'06 日 100分 (B)

他愛無いラブコメディだが、漫画的雰囲気をよく出していて、よい作品に仕上がっている。編集がいいのだろう。日本映画はつまらない「大作」も多いが、このような小品もあるのだ。
チビに恋したヒロインの健気さが胸を打つ。関西弁も一役買っている。
このDVDには英語字幕が付いている。その英語字幕で見ると、また一味違った面白みも味わえます。(M.K.)(2007/9)


『魂(たま)萌え!』 監督阪本順治
'06 日 125分 (B)

林隆三扮する初老のプレイボーイが可笑しみを誘う。女性はときめきを求めていたのだ。
ヒロインと夫の愛人以外は皆普通の人たちである。加藤治子扮するばあさんも実在しそうな感じです。何はともあれ女性はたくましいね。(M.K.)(2007/8)


『コーチ・カーター』"coach Carter" 監督トーマス・カーター
'05 米 136分 (B)

アメリカの黒人たちは人生に負けている。彼らには向上心がない。そうした社会の底辺で生きるしかない黒人の少年たちに、努力すれば道は開けるということを、高校バスケットチームのコーチ・カーターは教える。
勉強しない奴は黒でも白でも詰まらん奴だということさ。(M.K.)(2007/8)


『アビエイター』"The aviator" 監督マーティン・スコセッシ
'04 米 170分 (A)

ハワード・ヒューズの半生を描いたもの。彼のことはぜんぜん知らなかったが、調べてみるとすごい人物であった。絵に描いたような波乱の生涯である。映画でもそれはよく描かれている。彼を助ける忠実な部下たちも好感が持てる。C・ヘップバーンと浮名を流したとは知らなかった。
レオナルド・ディカプリオはこれでアカデミー賞を取ってもよかったのにと思う。(M.K.)(2007/8)


『出口のない海』 監督佐々部清
'06 日 121分 (B)

最近の戦争物としては出色の作品だ。
「回天」に脱出装置をつけなかったのは100%間違いであった。日本軍の人命軽視にはあきれるほかない。優秀な操縦者を育てるのに掛かる時間と費用を考えても、脱出装置をつけない設計はありえない。
三浦友和演じる主人公の父の思想は、傍観者的反戦思想であり、この物語にはそぐわないと思われる。
市川海老蔵の顔が以前よりよくなってきた。上野樹里は何をやらせても良いですね。(M.K.)(2007/8)


『プラダを着た悪魔』"The devil wears Prada" 監督デヴィッド・フランケル
'06 米 110分  (A)

実力だけの世界では、実力のあるものは正当に評価されるということである。アメリカにはまだそれがあるようだ。だからアメリカ人は実力をつけるためにそれ相応の努力をする。上に上ろうとするものにとっては過酷な世界だが、評価は必ずついてくるのだから、努力のし甲斐があるというものだろう。
アン・ハサウェイは目も口も大きいね。(M.K.)(2007/7)


『かもめ食堂』 監督荻上直子
'05 日 102分 (B+)

物語は群ようこがこの映画のために書き下ろしたものらしい。
さちえはフィンランドで小さな日本の「大衆食堂」を開いたが客はぜんぜん来ない。しかし彼女はそれを気にしている風もない。いづれ客は来るだろうと泰然としている。そして彼らにおにぎりを食べてもらいたいと思っている。
映画は小さな出来事を淡々と描きながらも、見終わった後になんだか暖かな気持ちにさせてくれる。フィンランドにも日本オタクがいるし、また日本料理を楽しむ人々がいるらしい。
片桐はいり、もたいまさこのキャラクターもいいが、何よりさちえ役の小林聡美がすばらしい。見て損はない映画だ。(M.K.)(2007/3)


『アンジェラ』"Angel-A" 監督リュック・ベッソン
'05 仏 90分 (B)

身勝手で何事もうまくいかず、やけっぱちになった醜男が身投げしようとするところへ、天使が現れる。美女の姿をした天使は男の内面が美しいということで手助けにきたのである。どこが美しいのか分からんが。それはともかく、近頃珍しいなかなか哲学的な映画である。モノクロ映像だが気にならない。
最後の場面の天使が羽を広げて飛翔しようとするところはすごいですよ。(M.K.)(2007/1)


『クラッシュ』"clash" 監督ポール・ハギス
'05 米 112分 (A)

アメリカはもうバラバラなのだ。黒人や中南米人、中東人、中国人などは白人から見ると信用できない人々なのがよく分かる。それには相当の理由があることだろうよ。同じアメリカ人といっても、そのしゃべる英語さえ通じない状況が描かれてもいる。
久しぶりに映画らしい映画に出会ったような傑作の一編だ。(M.K.)(2006/12)


『男たちの大和 YAMATO』 監督佐藤純弥
'05 日 143分 (C)

博物館を建てるほどの大和の模型を作りながら、こんな映画しか作れないのなら、大和が泣くよ。
海へ出た大和はぜんぜん揺れもしない。エンジンの音もしない。つまり動いている気配がまったくない。生活臭もない。機関砲もただ備え付けただけの模型だとすぐ分かる。カメラワークも下手糞である。実際には使用されなかった主砲を発砲させるというような嘘もやめてもらいたい。
出てる役者の髪型が月日が経っているのにいつも同じだ。伸びたり刈ったりしないのかね。海軍の将校たちは髪を伸ばしていたのだろうか。出航を見送る人たちは無言であったのであろうか。
話はいいのにつくりが駄目な映画であった。こんなので泣くやつは、大和を馬鹿にしている。
(M.K.)(2006/11)


『綴り字のシーズン』"Bee season" 監督スコット・マクギー、デヴィッド・シーゲル
'05 米 105分 (C)

"Bee"とはミツバチのことではなく"spelling bee"「綴り字競技」のこと。日本で言えば漢字検定みたいなもの。それをアメリカでは競技としてやっているのである。アメリカ人だって綴りは勉強して覚えているのだ。
映画は、音と意味から綴り字が頭の中に自然と浮かび上がってくるという特殊な能力を持った小学生の女の子のお話だ。その子の能力に気づくのが、その子の父親であり、大学でユダヤ神秘主義思想を講義している大学教授である。彼は娘の能力を伸ばすために特訓をするのであるが、その間に家族の崩壊が進んでいく。娘は、全国大会での優勝のためよりも、家族の絆を取り戻すために自らの能力を高めることを選ぶのであった。
映画の初めと終わりには女の子の独白があるが、その部分だけは吹き替えか英語字幕で見なければいけない。日本語字幕では女の子の決意が分からないからである。誤訳といってもいいくらいだ。吹き替え版と日本語字幕版の翻訳者が違うのであろう。こういうのは困るね。(M.K.)(2006/8)


『サマータイムマシン・ブルース』監督本広克行
2005 日本 107分 (B)

舞台劇を映画化したものらしい。これは最低2回は見ないと仕掛けが分からない。評者は続けて3回見てしまった。ドタバタ喜劇だが、日本映画としてはせりふも多いし、テンポも軽快で、カメラワークもよい。欲を言えば、もう少し恋物語にふくらみがあったらよかったのにと思う。
上野樹里のとぼけた味がなんともよい出来であった。(M.K.)(2006/7)


『エリザベスタウン』"Elizabethtown" 監督キャメロン・クロウ
2005 米 124分 (B)

仕事で致命的な失敗をして、自殺しようとしている青年ドリューのところに父親の死の知らせが入る。自殺は延期して父の葬儀のために故郷へ戻る途中、クレアという女性と出会う。この女性の不思議な導きと故郷の人々との交流の中で、新たな人生の意義を見出していくという物語。ドリューにとってクレアは正に守護天使なのであった。
クレア役のキルスティン・ダンストはぴったりである。美人ではないが妙な雰囲気をもつ女優である。
スーザン・サランドンのタップダンスがなかったらもっとよかったのにね。(M.K.)(2006/7)


『チーム★アメリカ ワールドポリス』"Team America World Police" 監督トレイ・パーカー
2004 米 98分 (B)

人形劇で好き勝手にやっているが、これこそアメリカの保守の思想を具現化したものだろう。見て損はない。(H.K.)(2006/5)


『Dear フランキー』"Dear Frankie" 監督ショーナ・オーバック
2004 英 102分 (B)

母と祖母の3人で暮らすフランキーは耳が聴こえず、父の顔も知らない。母から、父親は船乗りでなかなか帰港しないと聞かされている。ただ手紙だけは届くのである。しかしその手紙は母が書いて出しているものだった。ところが偶然、父が乗っているとされる船が帰港することが分かる。母はあわてて父親の役をしてくれる男を捜さなければならなくなる。結局、女友達が紹介してくれた男に頼むことになる。母親は不安ながらも、正体不明の男はその役をうまく演じ、フランキーは幸福な数日を過ごす。やがて船が出港する日がやってくる。
フランキーの耳が聴こえないのは実の父親に虐待させたからであり、一家はこの父から逃れて隠れて生きてきたのであった。
薄幸のこの一家に正体不明の男は、果たして何をもたらすのだろうか。
なかなかいいですよ。拾い物の一編でした。(M.K.)(2006/4)


『彼女を信じないでください』”” 監督ペ・ヒョンジュン
2004 韓国 115分 (A)

キム・ハヌルとカン・ドンウォン主演。他愛無いコメディであるが、良くできている。脚本が完璧なのだろう。
仮出所中の女詐欺師が、成り行き上、田舎町の薬局の跡取り息子の婚約者に間違えられたことから起きるドタバタ喜劇である。カン・ドンウォンの間抜け振りが面白い。脇を固める俳優たちもいい。
キム・ハヌルは『リメンバー・ミー』では内気な女子大生を好演していたが、『同い年の家庭教師』ではコメディもこなせることを見せた。そしてこの映画では、そのコメディエンヌ振りに磨きがかかっている。
こういう映画なら嫌韓の人も楽しめるでしょう。(M.K)(2006/3)


『恋は五・七・五』 監督荻上直子
2004 日本 105分 (C)

『スウィングガールズ』と同じく、これも田舎の高校の話である。舞台は四国。せりふは方言。小品ではあるがまあまあの出来です。
高校の存続をかけて、俳句選手権に出場するために寄せ集められた五人が、右往左往しながら俳句の楽しさを知っていくというお話である。
これも狙いなのかどうかわからないが、男子や男性教師の弱弱しさにはすこし辟易する。ここで元気なのは女の子だけ。
劇中の俳句もなかなか面白い。もう少し俳句バトルを見たかったね。(M.K.)(2005/11)


『スウィングガールズ』 監督矢口史靖
2004 日本 105分  (B)

東北のある高校の話。ひょんなことから管楽器を手にした女子高校生たちが、ジャズの面白さに目覚めビッグバンドジャズを始めるのである。練習風景画があまり描かれていないので、その苦労がわからないのがよくない。しかし、パンクのニイチャンネエチャンたちが山形弁で恋の話などしているのが面白い。よくまとまった映画ではある。(M.K.)(2005/11)


『藍色夏恋』"藍色大門" 監督イー・ツーイエン
2002 台湾 84分 (B)

台湾の学校制度は日本からの移植だから、我々には親しみやすい。よってこの物語は日本の学園物であってもおかしくないものである。
ヒロインは男子にではなく、女友達に好意を抱いている。その女友達から、ある男子に対する恋の取持ちを頼まれる。しかしその男の子はヒロインに興味を持ってしまう。彼女はどうしても男には心が動かされない。そこが彼には逆に魅力的に思えてくる。彼女は好きな女の子に行動を仕掛けるが、相手はノーマルだからうまくいかない。ヒロインは自分の性分に悩む。男の子はそれを見守る。
映画は二人を暖かい視線で描いている。妙な映画だが面白いですよ。(M.K.)(2005/10)


『大統領の理髪師』"孝子洞理髪師" 監督イム・チャンサン
2004 韓国 116分 (C)

最初にこれはフィクションであると出る。しかし見ようによってはこれほど韓国社会を映したものはないかもしれない。時代背景は1960年代から70年代である。コメディであるともいえないような気がする。
すべてがある。民衆の無知。権力者へのおもねり。政権内部の抗争。市民同士の密告。北からの脅威。息をするように嘘を言う子供。強姦。強盗。スパイ。偽証・冤罪で死刑。
理髪師の息子の足が、軍人大統領のときに立たなくなり、大統領が倒されたときに足が治るというのは、過去の軍人政治を批判する寓意であることは見やすいことだ。フィクションであるといえば言うほどそれがかえってリアリティを持ってしまうというのが、この映画である。
今日でも韓国の社会はこの映画のようなものだろうよ。(M.K.)(2005/10)


『ターンレフト・ターンライト』"向左走、向右走" 監督ジョニー・トー
2003 香港 99分 (B)

金城武とジジ・リョン主演。ジジはどこか釈由美子に似ている。
舞台は台北。高校時代に偶然会って惹かれあった二人だが、以後会えずに十年が経過した。そしていまやお互い知らないままに,同じアパートの同じ階の隣同士に住んでいる。ところがこのアパートは左右二区画に分かれていて、出入り口も別々なのだ。彼らは同じ階に住んでいるといっても、部屋を仕切る壁がアパートの左右を仕切る壁になっていて、廊下で会うということもないのだ。さらに左に住んでいる彼はアパートを出ると左に向かい、右の彼女は右に向かって出て行くので、アパートの下で偶然会うということもないのであった。
彼らはお互い同じアパートに住んでいることを知らないまま、出会い、高校時代に惹かれあった仲であることに気づく。しかし取り交わした連絡先の電話番号がわからなくなり、再び会えなくなってしまう。
『セレンディプティ』みたいな話である。彼らの周りにいる脇役たちの話も面白い。ラストはいささかどうかと思うが、ああでもしないと「落ち」がつかないかもね。結構いい出来ですよ。(M.K.)(2005/10)


『ワイルド・レンジ 最後の銃撃』"Open range" 監督ケヴィン・コスナー
2003 米 139分 (A)

久々に見た正統派西部劇である。オープニングからいいですね。景色がいい。ロバート・デュバルがいい。
ある町を牛耳っている実力者とその支配下にある保安官に立ち向かう、一介のカーボーイ二人。彼等に味方する町の人々。心を寄せる年増の淑女。敵味方がはっきりしていていい。カウボーイたちは自分たちの筋を通すために命を賭けることを選ぶ。まるで「侍」を見ているようだ。
銃撃戦の描写は派手すぎるところもあるが、映画の定番だからしょうがない。
アネット・ベニングは映画ではかわいいね。(M.K.)(2005/5)


『恋愛適齢期』"Something's gotta give" 監督ナンシー・マイヤーズ
2003 米 129分 (B)

ジャック・ニコルソン、ダイアン・キートン、キアヌ・リーブスが出演。60代、50代、30代の男女の恋愛劇である。少年少女のようなうぶな恋愛模様が描かれる。こんな恋愛ができればいいね。
大事なことは伝えなければならない。言葉でも行動でも。
おしゃれな映画に仕上がっている。しかし、ダイアンのヌードがなければもっと良かったのにと思う。(M.K.)(2005/4)


『シービスケット』"Seabiscuit" 監督
2003 米 141分 (A)

シービスケットとは馬の名前。気性が激しく使い物にならないと見られていた馬が、変わり者の調教師に見出され、これまた見捨てられていた騎手によって最強の競走馬になるという話。実話だそうだ。
子供を捨てざるを得ないほど困っていた時代もあった米国。最後まで希望を捨てないことが大切ということ。作ったような話だが、実話なら仕方もない。見て損はないでしょう。(M.K.)(2005/3)


『ウォルター少年と、夏の休日』"Secondhand Lions" 監督ティム・マッキャンリーズ
2003 米 110分 (B)

小品ですが出演者がすごい。ロバート・デュヴァル、マイケル・ケイン。それに少年役のハーレイ・ジョエル・オスメントである。動物たちもまたいい。
二人の老人が田舎で隠棲し、何のけれんもなく好きな事を好きなときに行動に移している。人生でするべきことはしたという自信に裏打ちされているのだ。そこに甥の子供が母親に捨てられるようにして預けられる。気ままな老人たちにとって子供は邪魔な存在であったが、次第に心を通わせあう。少年は人生に必要なものを彼らの生き方から学び、自立していくというお話。
こういう話が作れれば十分である。(M.K.)(2005/3)


『N.Y.(ニューヨーク)式ハッピー・セラピー』"Anger management" 監督ピーター・シーガル
2003 米 105分 (B)

アダム・サンドラーはどうでも良いが、これに絡むのが、ジャック・ニコルソンやマリサ・トメイらである。他にも脇役がいいのである。
怒りを抑制しているために、自己主張ができないで損ばかりしている青年の話。彼は理不尽な裁判で、怒りを抑制できないと判断され、「怒り抑制セラピー」を受ける羽目になる。そこの医師がジャック・ニコルソンなのである。後は見てのお楽しみ。「anger management」は有効なセラピーなのではないだろうか。(M.K.)(2005/2)


『デッド・コースター』"Final destination 2" 監督デヴィッド・リチャード・エリス
2003 米 90分 (B)

原題でもわかるが"Final destination"の続編である。予知能力を持ったものが事故を予見したために、死ぬべき人間が助かってしまう。けれども運命は変えられないというので次々と死んでいくという話。前回の生き残りの人も登場する。
これはこれで面白い。どんな死なせ方をさせるかが映画の見せ所である。ショッキングな場面をCGを使ってうまく見せてくれる。一人で見てください。(M.K.)(2005/2)


『カレンダー・ガールズ』"Calender girls" 監督ナイジェル・コール
2003 英 108分 (B)

資金集めのためにヌードのカレンダーを作る話。但しヌードになるのは中年の変哲もない主婦たちなのである。イギリスでの実話らしい。女性はいくつになっても自分のヌードを記録しておきたいと思うものなのかな。彼女らの周囲の人々の心情も描かれて、なかなか面白く仕上がっている。
美しい風景がたくさんでる。ヘレン・ミレンは貫禄勝ち。それにしてもイギリスには変なグループ活動をする団体があるもんだ。(M.K.)(2005/2)


『デス・フロント』"Deathwatch" 監督マイケル・J・バセット
2002 英 95分 (B)

第一次大戦中に、前線をさまよっていた英軍が遭遇した恐怖を描く。占拠した独軍の塹壕には得体の知れないものが潜んでいたのである・・・・・。
話としては新鮮味はないのであるが、まあまあの出来。人間の悪心を栄養にする邪悪な存在がいるのですよ。(M.K.)(2004/12)


『殺人の追憶』監督ポン・ジュノ
2003 韓国 130分 (B)

 この映画のリアリティがすごいとか、ユーモアがあるとかソン・ガンホはいい役者だとかの評は他に任せよう。日本映画はその点でも後塵を拝しているが。ここでは別の観点から評してみよう。
 これは十数年前に韓国で起きた実際の連続女性殺人事件を題材にしたものであるという。当時の捜査がどのように行われたのかは知らないが、映画に描かれたことを元に考えてみる。
 端的に言って、あんな捜査をしていたんでは捕まる者も捕まらんわな。同じく韓国映画『ペパーミント・キャンディー』でも警察官の容疑者に対する日常的な拷問が描かれていたが、ここでも当然のごとく拷問がなされる。証拠などどうでもよく、なければでっち上げもする。その様子がユーモラスに描かれるが、ぞっとする話である。ソウルからきた若い刑事は、拷問捜査に否定的なようでもあるが止めようともしない。ラスト付近でのシーンでわかるが、結局この刑事も暴力で以って容疑者に自白を迫るのである。こんな映画を作って世界配信するというのは韓国の後進性を世界に広めるだけではないか。
 思うに韓国人にとって、事実の追求はどうでもいいことのようである。教養のない人間はもとより、エリートでさえも、自分の考えと事実が異なることがあったら、事実のほうを無視して自分の考えに合うように現実を捻じ曲げようとするのである。「達成されなかった望みに対して、そうであったら良いのにと思う心」を、韓国人は「恨」という言葉で表し、それを肯定するようだが、そんなのは単なる僻みでしかない。歴史教科書問題で韓国人が見せた心性もそんなものであった。
 これから韓国人と付き合う予定の人は、この映画を見て彼らの性格を考えてみると良いだろう。そういう意味でこれは役に立つ映画である。(M.K.)(2004/9/14) 


『たそがれ清兵衛』監督山田洋次
2002 日本 129分 (B)

 1月27日発表によると、アメリカアカデミー賞の外国語映画賞の候補になったというので一言書いておこう。この映画はいろんな人が言うように、最後のナレーションと岸恵子の登場の場面が蛇足であり、これがなかったらどれほどよかったか。後日談なら文章で出してもよかったのではないかと思う。それはともかく。
 出戻り女、朋江役の宮沢りえがいいのである。しっとりとした、それでいて凛とした武家の女性を見事に演じている。
 清兵衛と朋江は幼馴染でもあり、お互いほのかな思いを抱いてはいたが言い出せないでいるうちに、清兵衛は刺客の役目で死地に赴かねばならなくなった。清兵衛はこの時、戻ってくることが出来たら妻になってくれとぎこちなく朋江に告白するのである。ところがすでに朋江は再婚する嫁ぎ先を決め相手側に承諾の返事をしていたのである。このシーン、告白を聞いて驚き、どう答えていいかわからず、しかし嫁ぎ先をすでに決めたことを清兵衛に伝える時の、宮沢りえの表情が実に素晴らしいのです。この映画はそれだけで見る価値がありますよ。(M.K.)(2004/1/28) 


『ラスト・サムライ』"The last samurai" 監督エドワード・ズウィック
2003 米 150分

 この映画については「特約寄稿欄」に評がありますので、そちらをどうぞ。(編集部)


『ドニー・ダーコ』 "" 監督リチャード・ケリー
2001 米 113分 (B)

 ドリュー・バリモアのプロデュースである。端役で出演している。
 ちょっと説明に窮する話である。ある青年がある夜庭先で、ウサギの着ぐるみを着た人物から、まもなく世界が終ると予告される。その予告の当日、青年はその意味のすべてを悟り、自らの世界を終わりにするのである。
 奇妙な映画であるが、見て損はないです。(M.K.)(2003/6)


『リターナー』 監督山崎貴
2002 日本 116分 (B)

 異星人の攻撃により絶滅寸前の地球人。異星人の侵略の端緒となった過去の事件を精算するために、過去の地球に戻った少女の話。
 監督がCGまで作っているので思い通りのシーンが作られているようだ。中だるみがすこしあるのが玉に瑕だ。しかしこのくらいの映画を作ってくれればいいでしょう。
 岸谷五郎扮する悪役が実に容赦がなくて、ある意味痛快でもある。異星人の造形は独創性にかける。しかしその宇宙船が変形するというアイデアは面白かった。
 こうしたゲーム感覚の映画なら日本映画も充分にいけますね。(M.K.)(2003/5)


『K−PAX 光の旅人』 "K-PAX" 監督イアン・ソフトリー
2001 米 120分 (B)

 光に乗って遠い宇宙からやってきたと言う異星人を巡る話。癒しの映画である。ケビン・スペイシーが茫洋とした感じでなかなかよろしい。
 評価がBなのは、異星人が乗り移っていた男の過去が悲惨すぎたことをマイナスとしたためである。悲惨な過去を設定する必要性は何もないからである。それがなければ、この映画は寓話としての完成度を増しただろう。(M.K.)(2003/5)


『キューティ・ブロンド』 "Legally Blonde" 監督ロジャー・ジョーンズ
2001 米 96分 (B+)

 ブロンド女は頭は空っぽ、と思われていたことに気づいた三流高校のブロンド女が発奮してハーヴァード大学に入り、馬鹿にした男や女を見返すお話。小品ではあるが内容はいい。邦題はよくない。この作品で主役のリース・ウィザースプーンは一躍有名になった。
 コメディはその国の一般人の考えを見せてくれるので、大変参考になる。これもそうである。見る価値ありますよ。(M.K.)(2003/5)


『フロッグ・プリンス』 "Prince Charming" 監督アラン・アーカッシュ
2001 米 91分 (B−)

 童話「カエルの王子」の翻案である。中世のある小国の王子とその従者が、自らの落ち度から魔法で蛙に変えられてしまう。元に戻るためには女性にキスをしてもらい結婚しなくてはならない。けれども蛙にキスをする女性がいるわけもなく、むなしく時は過ぎて場所も変わり、現代のニューヨークの公園の池で不遇をかこっている。ところが偶然にある女性がキスをしてくれたおかげで人間に戻れるのだが、王子がその女性と結婚しないと元の木阿弥になってしまう。しかし、王子はキスをしてくれた女性ではない女性に恋をしてしまうのである。
 結構楽しい作品になっている。一つだけ、王子が相続をしているはずの財産の話が分からないままで終っているので、そこがマイナスである。(M.K.)(2003/3)


『アザーズ』 "The others" 監督アレハンドロ・アメナバール
2001 米・西・仏 104分 (A-)

 予備知識何もたずに深夜一人で見ると怖いですよ。ですからここでも、ストーリーについてはなにも書きません。どうぞ一人で見てね。
 最近はCGの進歩により、カメラアングルについての制約が何もなくなったようである。『パニック・ルーム』でもカメラは自在にどこへでも忍び込んだ。この映画においても同じだ。ヒッチコックが追求した「視線の恐怖」は新たな段階にきているらしい。それはともかく、ニコール・キッドマンがなかなかいいです。(M.K.)(2003/3)


『ロード オブ ザ・リング 二つの塔』 "The lord of the rinngs; the two towers" 監督ピーター・ジャクソン
2001 米 179分 (C)

 第一部はわけがわからず、第二部に期待していたのであるが、期待はずれであった。この分だと第三部も似たり寄ったりだろう。製作年度を見ても分かるように、これら三部作は一度に作られているからだ。前作のフィードバックが次回作に回らないのである。
 今回、一体主人公は誰なんだろう。そして、本編は3っつに分けれられてそれぞれ話が進むのであるが、その地理的な位置関係はどうなっているのだろう。総じて誰が何をしていうるのかさっぱり分からないのである。第一、指輪の話はどうなったのだ。
 樹木の精が出てくるが、これが二本足で歩くのにはがっかりさせられたし、宮沢喜一(スメアゴルのこと)が出てくるに至っては気持ちが悪くなるばかり。原作があまりにも有名なので誰も文句は言わないみたいだが、やっぱり失敗作でしょう。(M.K.)(2003/3)


『リメンバー ミー』 "同感" 監督キム・ジュングォン
2000 韓国 111分 (B)

 お伽噺。通じるはずのない無線機が取り持つ時空を越えた恋物語。ふた昔前の日本を見ているようで懐かしい。ここに見られる情感は日本人なら理解できるだろう。
 時空を越えた恋、その題名図張りの韓・日映画『時越愛』(邦題「イルマーレ」)も同年に公開されているが、出来としては『リメンバー ミー』の方が上だろう。どうぞ見てください。(M.K.)(2003/1)


『サイダーハウス ルール』 "The cider house rules" 監督ラッセ・ハルストレム
1999 米 (B)

 望まれないで生まれてきた子どもたちを預かる孤児院で、孤児として育ち、院長の有能な助手として堕胎の手伝いもしてきた青年の話。外の社会に出て様々な経験をし、自分の存在意義が孤児院にあると悟り、戻っていく。
 なんでもない話のようであるが、映画はなかなか含蓄があっていいのである。テーマは重いし、挿話も明るくはない。しかしここには、見捨てられたものに対する暖かな視線が確かにあるのである。(M.K.)(2002/10)


『スターウォーズ2』 "Star wars episode U: Attack of the clones " 監督ジョージ・ルーカス
2002 米 143分 (C)

 ルーカスはこのシリーズの作り方を間違ったようだ。エピソード4,5,6の後は7,8,9を作るべきだったのだ。なぜなら、1,2,3は4,5,6の話に繋がらなければならないという制約があるので、大体話が分かってしまっているからだ。見ているほうはドキドキもハラハラもしない。「やっぱりね」といった感じで見ている。CGはもうみんな驚きもしない。
 映画は物語が主役なのだ。1,2,3は作る必要がなかったのだ。次に作られるエピソード3もたいしたことはあるまい。(M.K.)(2002/7)


『ファーストフード・ファーストウーマン』 "Fast food,fast women" 監督アモス・コレック
2000 米・仏・伊・独 98分 (B)

 小品ですが、結構いいです。有名な俳優などは出ていません。随所にユーモアある場面が散らばっていて、クスッと笑ってしまう。国籍不明の映画です。
 30代半ばで将来の望みもたいした事もなく、かといって現状に満足しているわけでもなく、不倫相手にもうんざりしてきた独身女性が、これまたたいした事もない男と出会ったことをきっかけに人生の転機を図ろうとする。
 棚ボタ式のハッピイエンドになるのですが、映画全体は暖かな善意に包まれていて、見ていて気持ちがいい仕上がりです。(M.K.)(2002/5)


『不思議惑星キンザザ』


『この森で、天使はバスを降りた』 "The spitfire grill" 監督リー・デビット・ズロートフ
1996 米 116分 (B)

 なんにでも「天使」とつければいいだろうという邦題の付け方には反対だ。しかしそうつけた担当者の気持ちもわからんではない。
 とある田舎町に、人生の再出発をしようとして来た薄幸の少女が、身を捨てた行動で人々の意識を変える話だ。しかしなにもヒロインを死なせることもなかったろうにと思うよ。(M.K.)(2002/4)


『スターリングラード』"Enemy at the gates" 監督ジャン・ジャック・アノー
2001 独・米・英・アイルランド 132分 (A)

 スナイパー同士の息詰まる駆け引きが緊張感を持って描かれていて大変良い。
 ソビエト赤軍の戦い方にはショックを受けた。本当なのだろうか。スターリングラードの戦いはソビエトの国家存亡をかけた戦いということになっていてソビエトは自画自賛したが、一体誰のための戦いだったのか。しかし映画は、それに対する批判がましいことは何一つ言わない。その抑制感もまた良い。
 ジュード・ロウとレイチェル・ワイズの戦場におけるセックス場面は、明日をも知れぬ命同士の切羽詰った交歓を生々しく描き、感動すら覚える。ジャン・ジャック・アノー監督の腕の冴えだろう。
 生ぬるい映画が多い中で、この一編は骨太の傑作である。(H.T.)(2002/3)


『ロード・オブ・ザ・リング』"The lord of the rings the fellowship of the ring" 監督ピーター・ジャクソン
2001 米 178分 (C)

 三部作の第一部。導入部の指輪にまつわる因縁話のナレーションがよくない。話が良くわからない。指輪の神秘性とか力とかの根拠が脆弱である。よって指輪を捨てに行くという物語の必然性が希薄となっている。また何ゆえホビット族の少年が選ばれるのかも根拠がない。砂上の楼閣みたいな話である。第二部を見たくなるような作りにしてもらわないと困る。
 特撮に関しては見るべきものもあるが、物語が駄目なのでつまらない。失敗作であろう。(M.K.)(2002/3)


『バーティカル・リミット』 "Vertical limit" 監督マーティン・キャンベル
2000 米 124分 (C)

 まさに「ジェットコースター映画」です。文字通り「スリルとサスペンス」ばかりで作られています。ただそれだけです。3人を救助するために6人が行き、3人で戻るという馬鹿な救出劇でした。(M.K.)(2001/12)


『アタック・ザ・ガスステーション』 監督キム・サンジン
1999 韓国 113分 (B)

 むしゃくしゃしている人にぴったりのストレス解消映画です。最後まで好き勝手にやってくれます。韓国の若者の置かれている状況は、ふた昔前の日本に似ているようでもあります。これは韓国でヒットしたそうです。若者たちは窮屈な儒教社会にうんざりし、何とか突破口を開こうとしているのかもしれません。
 学校で行われているらしい体罰の一つが結構面白いもので、しかしあれは痛いだろうね。(O.K.)(2001/10)


『ミュージック・フロム・アナザー・ルーム』 "Music from another room" 監督チャーリー・ピーターズ
1998 米 105分 (B)

 この邦題からでは何も解らない。音楽映画ではない。恋をすると隣の部屋から音楽が聞こえてくるような気がするという意味らしい。
 出産に立ち会った少年が、生まれたばかりの女の子を見て、この子と結婚すると宣言する。その後20数年を経て偶然再会した二人が織り成す恋物語です。女性にはすでにフィアンセがいるのですが、様々にアタックしていきます。登場人物が皆善意の人たちで、見ていて心が暖かくなる一編です。
 終わりごろのモザイク画のところが編集ミスであるのが惜しいところでした。(M.K.)(2001/9)


『どら平太』 監督市川崑
2000 日本 111分 (B)

 山本周五郎の複数の小説を基にした映画です。さすが手馴れた演出で、安心して観ることができます。裏切り者が誰だかすぐにわかるのが欠点ですが、『雨あがる』より数段上の出来栄えでしょう。(M.K.)(2001/7)


『ヒマラヤ杉に降る雪』 "Snow falling on cedars" 監督スコット・ヒックス
1999 米 124分 (A)

 工藤夕貴が出ているので、ろくでもない映画だと思って観ていない人もいるかもしれない。でもそんなこと気にすることはありません。
 1954年、日系人が容疑者となった殺人事件の裁判を中心とした物語。主人公の回想の中で、日系人少女(容疑者の妻となっている)との交際、大戦中の日系人収容のこと、偏見や公正さなどが描かれる。失意にいた彼は、この事件の取材で自分を取り戻していく。
 映像は重厚で、静かに話は進んでいく。マックス・フォン・シドーが実にいい。日本人の描き方も無理がない。なかなか得がたい映画である。(H.T.)(2001/6)


『ザ・ハリケーン』 "The Hurricane" 監督ノーマン・ジェイソン
1999 米 145分 (B)

 この題名だけからはどんな映画か分かりません。ボクサー姿のデンゼル・ワシントンのカバージャケットを見ても面白そうだとも見えません。でもなかなかいいですよ。
 人種的偏見から冤罪を着せられた"The Hurricane"というボクサーの、無罪獲得までの闘争を描いています。実話であるらしい。
 獄中から出版した本が、長い年月の後、古本市で一人の少年の目に留まる。少年にとって初めて買った本であったが、内容に感動して、すでに世間から忘れられていた獄中のハリケーンに会いにいく。少年は彼の無罪を確信し、自分を援助してくれている3人のカナダ人と無罪獲得のための裁判を起こしていくという話です。
 この映画で教えられるのは、どんな状況であろうとも勉強というのは大切であるという事と、強い意志を持つ善意の人間というものがいるのだということです。(H.T)(2001/6)


『グリーンマイル』 "The Greenmile" 監督フランク・ダラボン
1999 米 188分 (B)

 長い映画だが最後まで飽きさせない。
 スティーブン・キングの小説はその多くが映画化されているが、つまらないものも多くある。しかしこれは成功した部類に入るものだ。登場人物は少ないし、善人は善人、悪人は悪人といった分かりやすい設定で、物語に深みがないことが欠点だが、そんなことは考えなくてもいいだろう。(H.T.)(2001/5)


『エリン・ブロコビッチ』 "Erin Brockovich" 監督スティーブン・ソダーバーグ
2000 米 131分 (A)

 実にしっかりした作りで、浮ついたところがなく、無駄のない映画である。
 アメリカは学歴社会ではあるが、同時に実力社会でもあるところを見せてくれる。エリンは学歴はないが、ヴァイタリティがあって頭がよく、倫理観があって人情家である。(この映画の中で、本物の彼女がウエイトレス役で顔を見せている。)
 ジュリア・ロバーツが生き生きと演じている。彼女はこの役で、2001年度のアカデミー賞主演女優賞を獲得した。ちなみに、プロデュースはダニー・デビートで、監督はあの『セックスと嘘とビデオテープ』で、1989年度カンヌ映画祭グランプリ史上最年少受賞監督となった人である。彼は2001年度のアカデミー賞監督賞に、この『エリン・ブロコビッチ』と『トラフィック』の2作品で候補となり、後者の作品で受賞した。(K.O.)(2001/4)


『13ウォーリア-ズ』 原題"The 13th warrior" 監督ジョン・マクティアナン
1999 米 102分 (B)

 主役のアントニオ・バンデラスはラテン系で、知的に欠けるよう見えるので敬遠していたが、サラセン帝国のバグダートで宮廷詩人という設定で、アラビア人ということなのでぴったりかもしれない。この宮廷詩人が、当時活躍中のノルマン人(ヴァイキング)のところに使者として赴き、そこでたまたま占いによって13番目の戦士とされて、さらに北方の国に行き、その国を脅かしつつある得体の知れない魔物と戦うという物語である。
 当時のアラビアは学問芸術の中心地であり、宮廷詩人は文化人である。対してノルマン人たちは文字も知らない野蛮人である。その両者が互いに信頼関係を培っていくところにテーマがある。
 映画にはかなり金をかけたと見えて、当時の風俗がまるで臭ってきそうなリアル感がでている。原作はマイケル・クライトン著『北人伝説』です。また、往年の俳優オマー・シャリフがでている。(M.K.)(2001/3)


『ゴースト・ドッグ』 原題"Ghost Dog; The way of the Samurai" 監督ジム・ジャームッシュ
1999 米、日、仏、独 116分 (B)

 『葉隠』を精神的支柱にしている「殺し屋」の話。日本刀を使って型の練習などをしている。ほかにも『羅生門』などを読んでいるインテリである。命を救ってくれた人を「主人」として選び、ストイックに仕え、彼のために死ぬことを生き甲斐にしている妙な殺し屋である。
 主役が鶴瓶によく似た黒人のフォレスト・ウィティカーであり、その仕える主人はイタリア系マフィアで、その友人はプエルトコ人でフランス語しか分からないという設定。それに賢そうな黒人の少女が絡む。WASPなど一人も出てこない。マフィアの連中はTVでマンガばかり見ているし、妙な雰囲気の映画である。しかしそれはそれで、なんだか分からないが結構面白い作品ではある。(M.K.)(2001/2)


『エイミー』 原題"Amy" 監督ナディア・タス
1997 オーストリア 103分 (B)

 目の前で大好きだった父親の死を目撃したショックで、耳が聴こえなくなった少女は、しかし、近所の青年が演奏する音楽は聴こえるのだった。言葉も歌なら分かるのだった。そのことに気づいた青年もそうだが、少女の周りの人々がなかなか味があって面白い。
 障害を持つこどもに対する、親と福祉事務所との考え方の相違も描かれていて、日本とはまた違った考え方もあるのだということも垣間見ることができる映画である。(M.K.)(2000/2)


『誤診』 原題"first,do not harm" 監督
(B)

 誤診がテーマではない。邦題は「誤治療」とでもすべきだろう。原題はヒポクラテスの言葉であるらしい。医者が見るべき映画である。似たような映画に『ロレンツォのオイル』がある。こちらも見ておくと良い。
 本当に患者のことを思っているのは医者ではなく家族である。そしてまた、医者は病気のことを全部知っているわけでもない。二つの映画の共通点は、医者が施す治療では良くなるどころかますます悪くなる状況に気づき、家族が独自に資料を研究して治療法を見つけるという点である。素朴な疑問がいのちを救うのである。
 医者は純粋な科学者であっては困る。効果のある治療法を科学的裏づけがないからといって無視するのは医者のすべきことではない。科学というのは単にその時代の仮説に過ぎないものなのだ。生きるか死ぬかというときにそんなものはどうでもよい。理屈は後からつければよいのだ。治療を受ける側も、医者の言うとおりにしたくなければしないという覚悟を持っておくべきだろう。(M.K)(2000/11)


『八月のクリスマス』 監督ホ・ジノ
1998 韓国 97分 (B)

 手を握る事もなく、キスする事さえもない純愛の悲恋物語。秋風のような映画である。寂しさとささやかな実りと。淡々と描かれている。それだけに、語られない二人の心の動きをいろいろと想像させられる。これを撮った監督は35歳だという。今後が楽しみだ。
 ところで「八月のクリスマス」に何か意味があるのだろうか。クリスマスに関係するものは何もなかったように思えるのだが。(H.T.)


『シュリ』 監督カン・ジェギュ
1999 韓国 126分 (C)

 世界配給を目指したハリウッド的な作りの映画です。説明不足なところ、理屈に合わないところも見られるが、お話としては許しましょう。
 韓国人の一般常識として、「北側」のスパイが一般市民に混じって生活し地下工作をしているというのがあるのだろう。北側は自分達が苦しんでいるのに「南側」が豊に暮らしているのが我慢できないので、戦争を仕掛ける工作をするためにスパイをおくりこんでいるという理解だ。
 物語は、こうしたスパイを摘発する立場の男と彼を愛してしまった女スパイの悲恋です。目新しい話ではないけれど、多くの韓国人が見たという理由で一見の価値があるかも。(H.T.)


『雨あがる』 監督小泉尭史
1999 日本 91分 (F)

 第一にミスキャストである。寺尾總が剣客だといっても誰も信じるまいよ。特殊撮影で身体の素早い動きを見せるべきである。城主役の俳優が下手である。第二に役者のアップがほとんどない。よって表情が判らず、感動が伝わらない。第三に鬘である事がミエミエである。頭の剃り跡が青すぎる。あんな頭の人間がいるわけがない。特殊メイクも使っていない。第四に城主が浪人とじかに言葉を交わすことなどありえない。また自ら追いかけることもありえない。第五に主人公のすばらしさが描かれていない。内助が市井人と交流する所がない。第六に全体が暗い。見終わってすがすがしい気分になどなれない。
 映画は時代の最新の技術を取り入れることで進歩してきた。そういった研究姿勢がこの映画にはない。時代錯誤の映画作りをしている。実に詰まらん。(M.K.)


『ファミリー・ゲーム』 原題"The parent trap" 監督ナンシー・マイヤーズ
1998 米 128分 (B)

 赤ん坊のときに、両親の離婚によって離れ離れになった双子の姉妹が、偶然出会い、親たちをまたいっしょにしようと策略をめぐらせるというお話。『ふたりのロッテ』が下敷きになっているそうである。
 父親はアメリカ人、母親はイギリス人である。父親に育てられた方には女性のお手伝いが、母親に育てられた方には男性の運転手がいて、それぞれユニークである。なんと言っても、美人で品のいい母親がおっとりしていて少しおっちょこちょいなのが良い。なんとなく「イギリス人」という感じ。彼女の父親もいい味を出している。一人二役で双子を演じた少女も芸達者である。安心してみていられる良質の一品といった映画です。
 ところで、母親役のナターシャ・リチャードソンはどこかあのダイアナ妃に似ているが、彼女が出演している他の映画を誰か知りませんか。(M.K.) 


『ノッティング・ヒルの恋人』 原題”Notting Hill” 監督ロジャー・ミッチェル
1999 米 123分 (B)

 ジュリア・ロバーツの笑顔がいい。彼女はいつのまにか大女優になってしまった。笑うと耳まで裂けそうに口が大きいが、口が大きい女性は活力があってよろしい。それはともかく。
 東男に京女ではなく、アメリカ女にイギリス男の場合は女性の方が積極的らしい。『9ヶ月』でもそうだったが、ヒュー・グラントは優柔不断な男を演じてぴったり。
 話には少し無理があるが、脇役たちの言動が面白さを倍加していて、見てて楽しい映画である。
 同じ年に、ジュリア・ロバーツは『プリティ・ブライド』に出演しているが、こちらは取り立てて言うほどのこともなし。(M.K.)


『聖なる嘘つき』  原題"Jakob the liar" ピーター・カソビッツ監督
1999 米 120分 (B)

 邦題の「聖なる」は余計だ。「嘘つきジェイコブ」でよかったろうに。 オープニングの新聞紙が飛んでいく場面はいただけないが、あとはよく仕上がっている。
 ドイツのユダヤ人迫害の時代。絶望的な日々をおくるユダヤ人のゲットー内で、偶然知りえた情報を漏らしたことから、仲間達の一縷の希望を背負ってしまったおとこの悲喜劇が描かれる。嘘つきというが彼は嘘はついていない。彼の言動を周りの人間が都合よく解釈してしまうのである。そして人々はそこから得られる希望で命をつないでいく。希望はまことに命の糧である。ロビン・ウィリアムズはこういう役にはうってつけである。
 同じような設定で『ライフ・イズ・ビューティフル』がある。これはアカデミー賞を3部門獲得した映画であるが、評者は早送りでみてしまった。よって評価は(F)。ありそうも無い話だからだ。こちらが単なるお伽噺なら、前者は伝説ということになるだろう。(H.T.)


『ボーイズ・オン・ザ・サイド』 原題"Boys on the side" 監督ハーバート・ロス
1995 米 117分 (B)

 原題は、「男たちは関係ない、女には女の世界があるのよ」ということ。したがってこれは女たちの物語です。邦題からはこれが判らないので、見逃している方もおられるでしょう。
 活躍の場を探すしがない歌手でゲイの女性と、見知らぬ土地に死に場所を探す余命幾ばくも無い女性と、つまらぬ男に恋してしまう「恋が命」の少女との三人が、新天地を目指して旅をするというロードムービーです。三人は道中いろんな衝突を繰り返しながらも、絆を深めていくという話である。こう書くとなんと言うこともない話だが、ちょっと人生を考え直すきっかけになる作品でもあります。(A.H.)


『忘れられない人』 原題"Untamed heart" 監督トニー・ビル
1993 米 102分 (B+)

 こういうのを「佳作」というのだろう。恋に恵まれない女性が、純な愛情を知るという話。こう書くとなんでもないが、一見して忘れられない映画になった。
マリサ・トメイはいいね。彼女は『いとこのビニー』にも出ていた。クリスチャン・スレイターもまたいいね。才能ある役者である。
 ちなみにこの映画は、1993年MTV大賞でベストキス賞を受賞したという。どんなキスか知りたい人は見てください。(M.K.)


『フェアリーテイル』 原題"Fairy tale a true story" 監督チャールズ・スターリッジ
1998 英 98分 (B)

 子供が撮った妖精の写真が引き起こすひと騒動。コナン・ドイルや奇術師フィディーニ等が登場する。
 近頃珍しく、最後まで「お話」を貫いた映画である。
 さて、妖精たちは何処へいったのでしょう。(H.T.)


『ウエイクアップ!ネッド』 原題"Waking Ned" 監督カーク・ジョーンズ
1998 英 92分 (B)

 700万ポンドの当たりくじを巡ってのコミカルな映画である。脚本が率なく出来ていて、気持ちのよい作品に仕上がっている。
 二人の老人の友情、老夫婦の愛情、好意をもちながら一緒になれない恋人たち、欲のない人々と欲張り婆さん、芯のある子供、などが物語に奥行きを与えている。終り近くの事故は、村人たちの行動が肯定されたということであろう。
 終りに流れるアイリッシュ音楽も快い。(M.K.)


『エバーアフター』 原題"Ever after" 監督アンディ・テナント
1998 米 121分 (B) 

 シンデレラの話は本当だったのだよと、フランス国王の子孫が語るお話。レオナル・ド・ダビンチが出てくることから、そのときの王子は後のフランソワ一世であろう。
 ドリュー・バリモア扮する「シンデレラ」は、土豪の娘らしいが、ルネサンスの空気をすって育った、度胸も教養もある女性として描かれている。ハッピイエンドが分かっているので、ストレスなく楽しめる一編になっている。
 ドリュー・バリモアは品のある田舎娘といった感じで、いかにもヤンキー娘という風情である。『ウエディング・シンガー』『100万回のウインク』『25年目のキス』等が立て続けに公開された。どれもそこそこの出来である。(M.K.)