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夜行列車の未来

2002121日のJR東日本のダイヤ改正で、夜行列車がまた消えました。東北本線の寝台特急「はくつる」と中央本線(東線)の急行「アルプス」です。この後も九州特急(元祖ブルートレイン)の削減計画が進んでいます。

このところ、夜行列車の需要は衰退するばかりです。特にひどいのが九州口のブルートレインで、旧態依然のサーヴィスの提供から客足が遠のくばかりです。

夜行列車はかつて、鉄道輸送の花形でした。東海道新幹線開業前は東京駅を10分間隔で夜行列車が出発していたのです。さらにそれ以前は鉄道の表定速度も低く、長距離の列車は必然的に夜行列車でした。

夜行列車のメリットは、寝ている間に目的地に到着、もしくは接近できることにあります。寝ていると言う無防備な状態ですから、安全な輸送機関の方が有利です。これを考慮すれば、日本の場合は鉄道が一番メリットがあることになります。しかし、旅慣れていないと疲れると言う大きなデメリットもあります。

飛行機の運賃が安価になったことと新幹線網の拡充で手軽に高速で移動できるようになり、夜行列車のデメリットの方が大きくなってしまいました。

夜行列車にもはや未来はないのでしょうか?

実は、長距離を走る列車には速度には換えられないメリットがあります。移動制約者にとっては、乗り換えが少ない方がいいのです。この点、夜行列車は明らかに優れています。しかも、乗り降りする駅のバリアフリー化は日を追うごとに進んでいます。

それから、長時間乗ることを逆手に取って、「列車に乗ることそのものを楽しみとする」、発想の転換があります。鉄道輸送が旅行の「手段」から「目的」になるわけです。ヨーロッパのオリエント急行、日本ならカシオペアやトワイライトエクスプレスが該当します。

上記は2002年に執筆したものですが、それからおよそ14年、夜行列車の削減はさらに進み、ついにブルートレインが消滅してしまいました。乗ることが目的に近いトワイライトエクスプレスや北斗星はすでになく、20163月のダイヤ改正でカシオペアも廃止になります。夜行急行のはまなすもまた廃止となり、終戦直後以来の急行列車全廃となります。

夜行列車の残りはもはやサンライズ瀬戸・出雲のみです。

これらに代わって「列車に乗ることそのものを楽しみとする」列車はJR九州の「ななつ星」を筆頭にJR西日本の「トワイライトエクスプレス瑞風」、JR東日本の「四季島」が運行、ないし運行に向けてプロジェクトが立ち上がっています。

しかし、これらは思い立った時に乗れる列車ではありません。個人的には「鉄道のシステムを借りた鉄道ではない乗り物」の印象ですが、それが21世紀の夜行列車の姿であるのなら、それはそれで仕方がないとも思います。既に北米ではそのようになっています。

なお、こうした列車の需要が一番期待できるJR北海道で「列車に乗ることそのものを楽しみとする」列車プロジェクトが立ち上がらないことに危機感を感じますが、昨今の状況をみると手遅れのように思えます。地元と一体となって盛り上げないと鉄道業は成り立たないことを痛感します。

2016年1月1日加筆

 

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