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ヘッドフォンの音質評価

コストパフォーマンスを中心にヘッドフォンの音質評価をしてみました。今のところソニーが多いですが、他社製品も実機購入を進め、詳細評定を進めます。個人的にはオーディオテクニカのATH−W5000、ATH−AD7、ATH−AD9、ATH−AD2000とゼンハイザーのHD650、HD580、AKGのK1000、GradoのRS−1が気になっています。価格的に手が出ませんがUltrasoneのEdition7やSTAXのオメガ2も非常に気になります。

このうちHD650とRS−1、そしてEdition7は実機を購入してしまいました。

所有するヘッドフォンについては得意なジャンル、音の傾向について付記しました。しかし、これらはあくまで管理人の評定であり、一般論ではありません。また、エージング等により記述を訂正することがあります。

試聴についてはあくまで参考です。同一の機材・楽曲で比較をしていませんので、ファーストインプレッション以上のものではありません。

なお、どのページでもそうですが基準点はMDR−Z900です。実機の音質判定にはCDP−228ESD(CDプレイヤー)+TA−FA7ES(アンプ)を用いています。通常の使用時は直差しが多いです。

また、100円ショップのヘッドフォンについては別に評価していますが、ここに記載してあるどのヘッドフォンと比べても最悪ですのでここでの論評には値しません。

1.ソニー MDR−Z900(実機3台所有)

得意なジャンル:ロック、ジャズ、生録音、矩形波

音の傾向:低音強め、高音が弱め、録音機材の性質を愚直に表現

管理人常用・推奨のヘッドフォンです。音質の判定をするに当たってはこのヘッドフォンを使っています。

海外モデルはMDR−V900として販売していますが、性能は同一です。

定価2万5000円+消費税で、海外ではUS$260+taxですので国内の方が若干安価です。(しかし、MDR−F1は国内で2万5000円に対して海外ではUS$300ですので価格差は小さいと言えるでしょう。)

モニターヘッドフォンなので、ソースの音源や機材の癖を素直に(愚直に?)反映します。悪い音は悪く聞こえますから、気持ちよく音楽を聴くのには向かないことがあります。特に圧縮音源、中でもMP3が最悪です。

3Wの入力に耐えますから、多少ラフな扱いをしても大丈夫です。低インピーダンス(24オーム)と言うこともあり、音量も稼げますからパッシヴスピーカーの代用と言う外道な使い方もありです。

何と言っても低音の表現力は得意です。高音はざらつきませんが、HD650などに比べると曇っています。高音が物足りない場合はトーンコントロールを活用して持ち上げるといいかも知れません。響きがオーディオテクニカのアートモニターシリーズに似てきます。

名機MDR−CD900の直系の子孫(MDR−CD999の後なので孫に当たりますね)ですが、12年発売しているロングセラーです。復刻版のMDR−CD900STと比べると素性の良いパーツを使用している分高額で、粒立ちの良い音に仕上がっています。

MDR−CD900の後継者である証としてアモルファスダイヤモンド蒸着振動板を使っています。磁石はMDR−CD900のサマリウム系からネオジウム系に変更しています。

製造当初は日本で製造していましたが、最近は中国で生産を移管しているようです。1993年に購入した1台目は日本製、2005年に購入した2台目と2006年に購入した3台目は中国製です。

なお、2台目を購入して実感したことなのですが、エージングをしないと音が非常に硬いです。エージング前の音を聞いたらMDR−Z900の音質は屑だと多くの人が思うことでしょう!なので、BBSではMDR−Z900を酷評する記事も多く存在します。MDR−Z900本来の音にするには、ある程度鳴らし込む必要があります。

エージングが完了したMDR−Z900の低音の表現力は他のヘッドフォンの追随を許しません。スタジオの足音やギターの胴のびびり、演奏者の息遣いまで聞けるのは、Z900ならではです。

MDR−CD3000やCD900STの陰に隠れていますが、ソニーのヘッドフォンでは名機に属します。2005年に入り、ハイファイ用ヘッドフォンでは最古参となりました。2005年秋のモデルチェンジがあるかが一つの注目点でしたが、ありませんでした。その後、2006年に後継機のMDR−Z900HDが出ました。(こちらの方はまだ持っていません。)

2.ソニー MDR−34TV(実機所有)

得意なジャンル:Jポップス、映画音楽、圧縮音源

音の傾向:薄い低音とシャリシャリした高音

オープンエアータイプのヘッドフォンでローエンドモデルのMDR−34に、音量調節がついたものです。軽いので長時間かけていても苦痛になりません。

チープな低音とシャリシャリした高音が特徴です。MP3のような圧縮音源とも相性が良いです。

古い時代のヘッドフォンなので日本製です。

3.ソニー MDR−CD3000(実機所有)

得意なジャンル:クラシック

音の傾向:柔らかいがしっかりとした高音、全体としてしっとりした音

密閉型ダイナミックヘッドフォンの頂点との評価もある、名機です。クオリア010(25万円+消費税)が出る前のリファレンスヘッドフォンにMDR−R10(36万円+消費税)がありましたが、そのノウハウをぐっと凝縮しています。

後輩が持っていたので試聴したところ、その音質に感銘を受けました。その値段ゆえに購入は躊躇していたのですが、当時新宿にあったヨドバシカメラのアウトレットで3万円+消費税で出ていたので買ってしまいました。

今は故人になってしまった別な後輩(男性)も持っていました。オーディオショップでアルバイトをしていた彼は1万9800円で入手したそうです。しかし、彼はMDR−CD3000に対してはそれほど良い評価をしていませんでした。そんな彼が一番評価していたのが装着感でした。

装着感については大型ヘッドフォンであることを考慮すると非常に良好です。

まろやかな高音と、記載スペックが過小評価ではないかと思うほどのスケール感の広さは特筆に値します。

しかしながら価格が定価5万円+消費税(海外ではUS$700ですからゼンハイザーのHD650より高いです!)と高いのが難点です。12年余りのロングセラーで末期は中国で生産していました。現在は生産中止しています。

生産中止後、中古品がびっくりする値段でオークションに出るようになりました。

4.ソニー MDR−CD780(実機所有)

得意なジャンル:Jポップス、映画音楽、圧縮音源

音の傾向:こもり気味だが元気な低音とシャリシャリした高音

型落ち品が税込5220円で販売していましたので衝動買いしました。(定価は11000円+消費税です。)フィリピン製です。最近のソニーはハイエンドのは中国での生産、ミドル〜ローエンドはフィリピンでの生産のようです。

正直なところ余り期待をしていなかったのですが、価格の割によくできています。かけ心地(ヘッドフォンはこれも重要です)は非常に良く、手持ちのヘッドフォンの中では最高です。(後述のRS−1と対極です。)

開放型なので高音が比較的良く出て、下品にざらつきません。ただし、開放型の宿命として音漏れがしますから、スタジオや公共空間での使用には留意する必要があります。

MDR−CD3000に良く似た傾向の音がしますが、高音が少し曇っている代わりに元気な音がします。MDR−Z900やHD650と比べると低音が物足りないのですが、この値段でMDR−Z900レヴェルの低音を要求するのは贅沢と言うものでしょう。

音質を厳しく問う環境でなければ十分な品質です。加えて、MP3のような圧縮音源の場合は「アラ」が目立たないのも優れています。

5.ソニー MDR−SA5000(実機所有)

得意なジャンル:クラシック

音の傾向:かなり強調した、透き通った高音

MDR−CD3000の後継機で、110kHzの音を再現できるのが最大の売りです。

クオリア010のノウハウを凝縮したお買い得機ですが、定価7万4000円+消費税ですから決して安くはありません。

実は購入は一度、躊躇したことがあります。オーディオテクニカのATH−A1000と一緒に試聴した際、これと言った感銘は受けませんでした。

結局、中野のフジヤエービックで購入しました。4万7200円でした。絶対的な価格は決して安価ではありませんが、ヨドバシカメラに比べれば1万5000円程度安いです。ポイントを加味してもこの値段には太刀打ちできません。

高音が非常に得意なヘッドフォンです。Lawrence WelkのCDのシンバルが生き生きとしていました。しかし、これは好みが分かれるところです。人によっては、あるいは音楽の種類によっては刺さるような高音が不快感をもたらすかも知れません。

また、HD650と並び、篭り感のない音も特徴的です。

過日、ヨドバシカメラのヘッドフォン試聴コーナーに行きましたら、MDR−SAシリーズが壊れていました。耐久性については少々難があるようですから、優しく扱う必要がありそうです。

6.ゼンハイザー HD650(実機所有)

得意なジャンル:ほぼ全部(圧縮音源、Jポップスが不得意です)

音の傾向:強調した帯域はなく、自然な音

開放型ダイナミックヘッドフォンの頂点に立つ名機です。2005年4月現在、ドイツ本国では300ユーロ程度ですが、日本では定価が7万5000円+消費税です。これでは手が出ません。なので買っていません…などと書いていましたが、誘惑に負けて現地調達を待たずに買ってしまいました。正規品5万2000円です。高いです。

もし4万円程度であればヘッドフォンとして万人に推奨できます。低音派も高音派も納得させることのできる、数少ないヘッドフォンですから。

試聴機の音質についてはMDR−CD3000とMDR−Z900の良い要素だけを融合したイメージです。高音が崩れず、低音の表現力も最高です。

STAXのイヤースピーカー オメガ2と聞き比べてみましたが、圧倒的な差がなく複雑な気分でした。

側圧が強いのですが慣れました。最初は高音が少し暴れていましたが落ち着きました。

低音の表現力はMDR−Z900とほぼ同水準です。開放型とは思えない、豊かな低音です。クラシックからPC-9801-86のFM音源、ファミコンの矩形波まで何でも忠実に再現します。ですので圧縮音源は最悪です。シンバルの高音が死んでいるのがはっきり分かります。

ドイツのメーカーなのですがアイルランド製とあります。

HD650の唯一の不満を挙げるとすれば、外観の安っぽさに尽きます。逆に言うと、この外観からは信じられないすばらしい音がします。オーディオテクニカの高級機と違い、所有欲を満たす要素は余りありません。しかし、慣れてくればこれはこれでいいデザインのように思えてくるので不思議です。

7.ゼンハイザー HD590(実機所有)

得意なジャンル:ロック

音の傾向:全ての帯域が強調気味、迫力のある音

型落ち品が1万8000円+消費税で売っていましたので買いました。中高音が元気なヘッドフォンです。

HD650と比較すると曇った感じは否定できませんが、どの帯域も前へ出ている感じがするため、ノリの良い音楽との相性は非常に良いものがあります。

音楽に迫力を求めたいなら、これはいいヘッドフォンです。しかし、新品を日本国内で求めるのは難しくなってきました。

キャラクターがRS−1とかぶるため、最近は出番が少なめです。

8.Grado RS−1(実機所有!)

得意なジャンル:ヴォーカル系一般(Jポップスさえも!)他も基本的にOK

音の傾向:高音が強めで耳に心地よく着色された臨場感のある音

HD650に続く、禁断の音に手を出してしまいました。税込7万4800円ですから、私がこれまで購入したヘッドフォンの中で最も高価です。(この後、Edition7を買いましたが…。)正直ためらいましたが、職場で不愉快なことがあった憂さ晴らしに買ってしまいました。衝動買いとは恐ろしいものです。

外観が安っぽいと言う評価を事前にたくさん見聞していたため、覚悟ができていたのかも知れません。それほど衝撃を受けませんでした。でも、これが国内定価9万8000円+消費税のヘッドフォンとは世の中の人は信じてくれないでしょう。

機材が違うせいか世の中のレヴューとは違い、低音はモリモリ出ません。パンチはそれなりに効いていますが、MDR−Z900には全く及びません。しかし、雰囲気については極めて良好です。

ロックやヒップホップが良いとの評判がありますが、基本的にオールラウンドです。ただ、HD650と比べると全て明るめの色づけです。

スポンジが紙やすりのごとくざらつくので耳は痛くなりますので、長時間のリスニングにはそれなりの覚悟が必要です!これは世の中のレヴューと同じでした。

解像度が高いのに雰囲気を楽しませる、不思議なヘッドフォンです。意外なことにMP3音源もいけます。ビットレートが1段上がった錯覚を感じさせます。Jポップスにしても同じ傾向です。

基本的に高音が強めなため、この後にHD650を聞くと、篭って聞こえます。

9.AKG K501(実機所有)

得意なジャンル:クラシック中心に高音がきれいな音源

音の傾向:やや高音寄りの音

AKGの名ヘッドフォンです。K1000と今後出るK601、K701を除けばハイエンドです。

安価に入手できる機会がありましたので買いましたが、プラグ付近のコードが壊れているので修理に出しました。修理には1ヶ月かかりましたが、舶来品の弱点ですね。

ウォームで上品な音でした。クラシックは最適なように思えますが、他のジャンルも悪くはありません。1万円台前半で買えれば、お買い得です。

10.Ultrasone Edition7 (実機所有!)

得意なジャンル:ほぼ何でも

音の傾向:全体として明るめ、程よい低音

特に音の特徴は感じさせませんが、音質的な欠点の見当たらない「優等生」的なヘッドフォンです。しかし、日本国内の定価が45万円+消費税と言うのは唯一にして最大で致命的な欠点です。これが10万円を切れば、世のほとんどのヘッドフォンは無用の長物になってしまうでしょう。

当初、買うつもりは毛頭なかったのですが、禁断の音にまたしても手を出してしまいました。フジヤエービックでB級品が出たので買ってしまったのです。27万5000円です。事情はGradoのRS−1を買った時と同じです。ストレスとは本当に恐ろしいものです。

…とは言え、放出したB級品(フジヤエービックのブログによるとそれぞれ4個ずつ)が2回ともあっと言う間に完売ですから、これまた恐ろしいものです。これだけで220万円の売り上げです。

イヤーパッドが黒い(本来は白)以外はシリアルナンバーや付属品などもあり、何ら変わりはありません。転売するのでなければこれで十分です。

インピーダンスが低いらしく、機材の雑音がよく聞こえます。間違いなくいいヘッドフォンですが、27万5000円の価値があるかどうかについてはまだ判断できません。

なお、この反響に味をしめたのか、噂通りEdition9が発売となりました。

11.Goldring DR150(実機所有)

得意なジャンル:テクノ、トランス、ロック、ポップス

音の傾向:明るめ、強調気味の低音

フジヤエービックで紹介し、話題になったヘッドフォンです。最近ではヨドバシカメラでも売っています。

輸入品ですが、現地での価格と余り変わりない値段で入手できるのも隠れたポイントです。

低音のパンチ力が独特で、テクノやトランスと相性が良いように思えました。

12.ゼンハイザー HD580Precision(試聴のみ)

コストパフォーマンスに優れた開放型ヘッドフォンです。現地では120ユーロ程度で、日本でも2万4000円程度で購入できるようになりました。

HD650に比べると少し荒削りです。高音が少しきんきんします。

ほぼ同一の設計思想で高級仕様のHD600があり、HD650出現まではリファレンスヘッドフォンの地位にありました。

13.オーディオテクニカ ATH−W11JPN(試聴のみ)

MDR−CD3000購入時に比較視聴したヘッドフォンです。当時、オーディオテクニカの最高峰のヘッドフォンであったにも関わらず、高音(特に「サ行」の音がざらつくなど)の表現に難があったため、購入を見送りました。

14.オーディオテクニカ ATH−AD2000(試聴のみ)

開放型ヘッドフォンの最高級機です。あくまで私の耳での話ですが、オーディオテクニカのヘッドフォンは概して「サ行」がざらつく傾向があります。高音をよく出すためのチューニングの影響なのかも知れません。しかし、ATH−AD2000は高音が伸びながらざらつきは余りありません。残念ながらゼンハイザーのHD650と比べると高音のあらが目立ちますが、エージング次第で何とかなるのかも知れません。

安価に入手できるチャンスがあれば、ぜひ手に入れたい一台です。

15.オーディオテクニカ ATH−A1000(試聴のみ)

限定3000台と言う言葉に惹かれ、購入の前に試聴をしました。結果については実機を所有していないことから察して下さい。

正直なところ高音(特に「サ行」の音がざらつくなど)の表現に難がありました。MDR−CD900STの方がよっぽど良かったぐらいでした。

2005年4月に生産を中止した後、急に評価が上がっているようですが、最近は良い評価も悪い評価も聞きません。

16.KOSS PortaPro(試聴のみ)

ヘッドフォンから湧き出るような元気な低音が売りのヘッドフォンです。ロックと相性が良いように思えました。MDR−Z900とは明らかに違います。解像度の低い音楽はむしろ、Z900やDR150より楽しく聴けるかも知れません。

17.ソニー MDR−CD900ST(試聴のみ)

プロユースのヘッドフォンです。名機MDR−CD900の復刻版で、プロのスタジオが復刻を熱望したことからSTがつきました。色が白い特別ヴァージョンもありますが、これは限定品で現在は入手するのは非常に困難です。

折り畳みができなくなっていること、ステレオ標準プラグのみになっていることなど、MDR−CD900と違う仕様がいくつかあります。

音の感触はMDR−Z900が少しやんちゃになった感じです。落ち着きはありませんが、元気で素直な音です。

18.STAX SR−007(オメガ2)+SRM−007t (試聴のみ)

低音から高音まで余すことなく表現する、息を呑む高音質です。ただ、値段も息を呑む高価格です。

HD650よりは明らかに良い音なのですが、その差はわずかですから値段を考えると購入を躊躇してしまいます。

音質上は文句ありませんが難点は構造上、ドライヴァーユニットが必要なことで、これが機動力を損ないます。それよりもドライヴァーとセットで20万円を軽く超えることが最大の欠点です。

 

 

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