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「りいちゃんぺいじ」トップ>音楽>ヘッドフォンの選び方ヘッドフォンの選び方
音楽の初心者にとって(あるいは中級者にとっても)ヘッドフォンの選び方は難しいものです。
あくまで管理人の私見ですが、ヘッドフォンの選び方について少し触れてみたいと思います。
1.ヘッドフォンの形状
形状からインナーイヤー形、耳かけ形、ヘッドバンド形に分かれます。
インナーイヤー形にはウォークマンなどによく付属している標準的なものから、耳栓仕様のカナル形、ソニーやゼンハイザーが販売しているヘッドバンド一体のヴァーティカル・インザイヤー方式などがあります。基本的に廉価なものに採用が多いですが、シュアーのインナーイヤータイプにはびっくりするほど高額のものもあります。
ヘッドバンド形はオーソドックスなもので、高級機から廉価なものまで様々です。最近はカジュアルタイプのを中心にネックバンド形も出現してきました。
耳かけ形はヘッドバンド形からヘッドバンドを取り除いたようなもので、カジュアルタイプを中心に普及しています。
2.ヘッドフォンの形式
密閉型とオープンエアー形に分かれます。密閉型は低音の、オープンエアー形は高音の表現力が得意な傾向があります。なお、オープンエアー形は音漏れがありますから、公共空間やスタジオでの使用には留意する必要があります。
3.選び方
さて、本題の選び方です。
まず、重要になるのが予算です。予算が無制限であればSTAXのオメガ2(SR−007)とゼンハイザーのHD650を買えば多分、満足するはずです。さらにもっとと言うのでしたらソニーのクオリア010とMDR−CD900STに手を出せばいっぱしの評論ができることでしょう。さらにもう1台となるとオーディオテクニカのATH−L3000、あるいはAKGのK1000、GradoのRS−1と言ったハイエンドに手を出せばお腹一杯です。
所有欲を満たしたいのでしたら、ゼンハイザーのオルフェウス(海外でUS$150程度、国内定価280万円!)やウルトラゾーネのEdition7なども視野に入れると良いかも知れません。
しかし、通常はいきなり数十万単位の投資をすることはないでしょう。そこで、予算とにらめっこをしながらターゲットを定めるのです。
基本的に高額な投資をすれば良い音のヘッドフォンを買えますが、高いから必ず良い音がするわけではありませんから、試聴は必須です。
まず、どんな用途で使うのかを考えて下さい。室内での音楽鑑賞、室内での映画鑑賞、アウトドアでの使用、音楽制作、DJによって選ぶヘッドフォンが変わります。
3.1 室内での音楽鑑賞
音楽鑑賞では正直なところ、聞くジャンルによってヘッドフォンが変わります。ロックやジャズでは低音を重視、ポップスは低音に加えてヴォーカルの再生能力、クラシックは低音よりは高音重視で選ぶと良いと思います。
録音状態も重要です。粗製濫造で音としての品質に難がある(音楽としての品質は別な問題ですので念のため)Jポップスの多くなどの場合はむしろ安いヘッドフォンの方が心地よく聞けることがあります。
MDR−Z900を始めとして低音が得意なヘッドフォンは多いですが、高音が得意なヘッドフォンはそう多くはありません。特に高音を重視する場合は相当の出費を覚悟しましょう。
かつては同じ値段であれば概して低音の表現力はソニーが、高音の表現力はオーディオテクニカが優れている傾向がありました。しかし、最近は高級機も高音特性に有利なオープンエアー形が主流になっており、棲み分けは微妙です。むしろ、低音を美しく奏でるヘッドフォンが少なくなりつつあるような気がします。
3.2 室内での映画鑑賞
これは簡単です。ドンシャリ形のヘッドフォンで十分です。予算に余裕があれば低音の表現力に優れたものを選んで下さい。長時間の鑑賞でしたらオープンエアー形の軽いものがベストですし、低音を重視するのでしたら大型の密閉型を選ぶといいでしょう。コードレスタイプでも良いかも知れません。
映画用のヘッドフォンには多額の投資をしないのが吉です。ただ、既に高級ヘッドフォンを持っているのでしたら、試してみるのもいいかも知れません。今まで聞こえなかった音が聞こえるなど、新しい発見があるかも知れません。
3.3 アウトドア
なるべく音漏れのしないものを選ぶのがマナーです。重いヘッドフォンは持ち歩きたくはないでしょうから、インナーイヤータイプが主体になるでしょう。
また、基本的には駆動力の小さいポータブル機を使うでしょうから、ヘッドフォンのインピーダンスは低いものを使うのが基本です。目安として100オーム以下です。
もう一つ。アウトドアでは見た目も重要です。以前、電車の中でMDR−CD3000をかけていた人を見かけましたが、正直なところ見てくれがいいものではありません。(ただ、音漏れはしにくいのでそうした観点からすると軽薄な安ヘッドフォンよりはましなのですが。)ヘッドフォンを選ぶ際は、鏡で自分を見てみましょう。
3.4 音楽制作、DJ
音楽制作は良い音を聞くためではなく、悪い音を聞き分けるためにヘッドフォンが必要です。ですので、ヘッドフォンのキャラクターがなるべく出ないものが望ましいです。
また、周囲に雑音を撒き散らしたり、逆に周囲の雑音を拾ってはいけませんので開放型はどんな理由があっても不可です。ですので音が良くてもSTAXのオメガ2やゼンハイザーのHD650、オーディオテクニカのATH−AD2000は諦めて下さい。
密閉型ヘッドフォンはかつてソニーが得意としていた分野で、MDR−CD3000やMDR−CD900(復刻版のMDR−CD900STが今も手に入ります)が代表例です。特にMDR−CD900STは音楽制作の定番です。これを元に音質を決定していますから、持っていて損はないでしょう。似た音作りのヘッドフォンとしてはMDR−Z900、MDR−Z600、MDR−7506があります。
オーディオテクニカの音が好きな人(ソニーの音が嫌いな人とほぼ同義ですが)でしたらアートモニターシリーズがお勧めです。
DJ御用達としてはオーディオテクニカのATH−PRO5があり、ソニーではMDR−Z700DJなどがあります。ただし、ソニーのは耐久性に難があるので扱いには注意が必要です。
4.まとめ
ヘッドフォンはオーディオ製品であると同時に衣類です。一人一人に似合う服が違うように、似合うヘッドフォンも違います。また、TPOによって着る服が違うように音楽ジャンルや状況によって使うヘッドフォンも変わります。
一度の買い物で優れたヘッドフォンに出会うのは難しいかも知れません。はずれを幾つか引いてみるのも勉強ですから、最初は定価ベースでせいぜい1万円程度のものから始めるといいかも知れません。
特に定価ベースで5万円を超えるヘッドフォンはキャラクターが強いですから、ある程度自分の好みの音質が分かってから手を出すと良いように思います。(MDR−CD3000とATH−W1000のどっちが良い音なのかは個人個人の持つ耳によって変わります。)
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