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コラム03「東京電力解体指令!」

東日本大震災の後の東京電力のぐたぐたぶりについては今さら言及する必要はないと思いますが、このままの企業体で存続させることは首都圏および東北の人間にとって何一つ良いことがありません。

しかし、電力供給のない社会は今の日本ではあり得ません。それにあぐらをかき、「自分たちは何をやっても潰れない」とたかをくくっている東京電力の企業体質には消費者として怒りを覚えます。

さて、この「自分たちは何をやっても潰れない」の雰囲気、どこかで覚えはないでしょうか?そうです。かつての日本国有鉄道がそれでした。首都圏では電車のない社会はあり得ません。それにあぐらをかいていた人たちです。しかし、国鉄は今は存在しません。でも、国鉄が消えた後も電車は走っています。国鉄に代わる受け皿、JRを用意したからです。なお、JR各社は国鉄の直接の継承団体ではありません。これはしがらみを絶つ上でとても重要なスキームです。

JRに変わってからは決して十分ではありませんが、一定のサーヴィス向上やバリアフリーの推進、黒字体質(=納税)など、多くの事象で状況が好転していることは事実として見て良いでしょう。

今、東京電力に必要なことはまさに国鉄改革の電力版です。

東京電力を直接の継承法人の「原発清算事業団」と、発電・給電・配電サーヴィスを行う別企業体「関東電気サーヴィス株式会社」(どちらも勝手につけた仮の名称です)に分離し、東京電力の社員を一旦全員解雇した上で国鉄改革と同じ方式で人員振り分けを行えば良いのです。なお、しがらみを絶つため、東京電力と言う名称は廃止します。

一旦解雇すれば再雇用において賃金水準を下げることが可能で、電気料金の値上げ圧力を緩和することができます。(酷かも知れませんが、役員や従業員も会社を健全に導かなかった責任はあります。)

「関東電気サーヴィス株式会社」は国鉄改革の成功から判断すると純民間企業である必要がありますが、インフラが膨大で、受け皿を作るのは大変です。恐らく多数の会社の出資(コンソーシアム)は避けられないでしょう。

コンソーシアムの候補はJR東日本、関東大手私鉄8社、NTT東日本、東京ガス、3大メガバンクで、これらの出資で足りない場合はKDDI、JR東海が加わることになるでしょう。

さらに期間限定で国、地方自治体にも援護(固定資産税の軽減措置、簿価の減額)を求める必要があるかも知れません。

JR東日本は自前の発電設備と送電網を持ち、関東大手私鉄はその多くが歴史的経緯から配電事業をしていたことがありました。NTT東日本は各家庭に配線を引き込む設備を持っています。東京ガスは「オール電化」の意趣返しがしたいところでしょう。

出資比率については自前の発電設備と送電網を持つJR東日本が筆頭になるのが順当ではないかと思っています。信濃川発電の不祥事からの名誉挽回にまたとないチャンスと言う側面もあります。ただ、あまりJR東日本が突出しても他社が面白くないでしょうから、せいぜい3割と言ったところでしょう。

この「関東電気サーヴィス株式会社」は東京電力から原子力発電所以外の発電所と送電網などを買い取り、これは原発の後始末の原資(廃炉や賠償金など)とします。火力と水力の発電所を持つJR東日本といえども原子力発電所の運営ノウハウはないと思われるため、原子力発電所の引き継ぎは現実的ではないと考えます。

ただ、この売却益だけでは恐らく廃炉の費用はまかなえないため、東京電力は「原発清算事業団」に変更後も原子力発電(柏崎刈羽と場合によっては福島第2も)のみは担当し、その売電でしばらく生き延びさせる必要はあります。(水俣病を起こしたチッソのような企業の立ち位置です。)場合によっては福島第1原発跡地に核廃棄物施設を設け、その運営も行って企業体として比較的長期に存続させる方法もあると思います。

なお、「関東電気サーヴィス株式会社」には将来の東海地震(中部電力への応援)に備えて送電の60Hzもして欲しいところですが、JR東日本は交流設備がほぼ全て50Hzと言う問題を抱えています。これは「関東電気サーヴィス株式会社」にとって大きな難題となることでしょうが、JR独自の発電網だけ50Hzでしばらく存置で逃げる方法があります。

なお、家電製品はよほど古いもの(目安として1980年代より前)でない限り50Hz/60Hz両対応なのでまず心配はありません。

(初稿:2011年4月10日)

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