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★ジオジオからのメッセージ
           




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458号



2024年になりました。明けましておめでとうございます。 今年も、どうぞ仲よくおつきあいいただけますよう よろしくお願いします。


お正月気分が飛んでしまう一年の始まりになりました。
この寒い時期です。阪神大震災の記憶が残る私たちには、直視しにくい、つらい能登地方での地震のニュース映像です。
津波の情報にも、原子力発電所の状況にもハラハラしながらでした。
そして、慎重な安全対策の中での何かの手違いでしょうか…。航空機同士の衝突事故…。

私たちは、今、何を優先しなければいけないのか、助けを求めている人たちに応えるには、国が、私たち個人が何をしなければ いけないのか…。
何度も繰り返され、反省してきた問題が再び…です。
ごく普通の日常の中で、私たちは、命を、暮らしを、未来を脅かすたくさんの危機と共存しています。
そのために存在する国であってほしい、駆使する人間の知恵と力であってほしい、お互いを思いやり、助け合う一人一人で あってほしい、いえ、あらねばと思います。

どうぞ、被災地の一日も早い復興を望んで止みません。
そして、まだまだ起こるであろう地震国日本に対しての、さらなる慎重な 備えを政府にたいして望みます。

人を殺す軍事費よりも命を救う政策に重きを置き、税金を使ってください。


世界から戦火が消えないまま年を越しました。
なぜ戦争を止められないのか、なぜさらなる武器を作って人を殺そうとするのか、 "戦後"という言葉に甘えて、深く考えることなく、見せかけの平和を生きてきた私たち世代です。

私の人生も残り少なくなってきました。
望むのは、これからを生きていく子どもたちが、もうこれ以上、大人が起こした戦争で傷つかないこと、国のためなどという言葉に騙されて、人間同士、殺したり、殺されたりしないこと。
それを切に切に望みます。

宇宙は、地球は、私たち人間に、「戦争なんかしている場合か!」と警告しつづけています。

謙虚になりましょう。耳をかたむけましょう。そういう一年の始まりにしたいと…。

平和で、子どもたちの笑顔あふれる年に、未来に、なりますように。




2015年のBookland 352号で、紹介させてもらった2冊です。そのまま再掲載することをお許しください。(少し短く編集しています)
ブッククラブの配本や、選書会にもよく使わせていただいています。


「未来を生きるきみたちへ」     鎌田 實 作   1000円+税

大人でさえ混乱し、答えの出せない時代を今の子どもたちが生きています。
世界の国々の争い。民族、宗教の対立。日々、起こる子どもを巻き込む様々な事件。学校で直面する理不尽ないじめ。
子どもたちは目や耳をふさいで生きているわけではなく、 命や人間、そして世界、時代、自分たちの未来にたくさんの不安と疑問を持ちながら過ごしているはずです。
医師の鎌田 實さんが、ご自身の体験を踏まえ、今の時代を見据えた上で、人間として生きるとはどういうことなのかを伝えます。
鎌田 實さんは諏訪中央病院のお医者さんです。
信州で地域の医療に携わるかたわら、チェルノブイリ、イラク、パレスチナ、そして東日本大震災の被災地、福島と医療支援を続けて来られました。

今、まさにこの時代、人間とは何か、家族とは何か、世界でなぜ戦争が絶えないのか、自由とは、勉強とは…。子どもたちをそして大人をとりまく 問題をどう捉えて、子どもたちはどう生きていけばいいのか…。
歴史的なことも含めて、たくさんのテーマについて語ります。
子どもたちには、夢を追って自由に生きていってほしいと願う鎌田さんから小学生へのメッセージです。


「アハメドくんのいのちのリレー」    鎌田 實 著 安藤俊彦 絵 ピーター・バラカン 英訳     1800円+税

「未来を生きるきみたちへ」 の中にもこのアハメドくんとお父さんの話が出てきます。
パレスチナ人であるアハメドくんは、買物に行く途中、イスラエルの狙撃兵に撃たれ、脳死の状態になります。
運ばれたイスラエルの病院でアハメドくんのお父さんは、臓器の提供を提案されます。苦渋の決断で、お父さんはそれを承諾します。
敵国イスラエルの6人の命がアハメドくんの臓器で助けられるのです。
それを知った鎌田さんが、お父さんに会いに行き、またアハメドくんの 心臓を移植されたイスラエルの少女との対面をはたします。


アハメドのお父さんの言葉です。
「海でおぼれている人に、国は? 宗教は? 民族は? と聞くだろうか。私は人間として正しい事をしただけだ。」
心臓をもらった少女は医療の仕事をめざしています。
歴史的に相いれないイスラエルとパレスナチナ。今なお戦闘が続きます。
武器にたよらない平和への戦いもあります。  ピーター・バラカンさんの英語訳がついています。






                               

 2024.1.


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新刊より




クレヴィス

「The ABCえほん」   ブライアン・ワイルドスミス     
色彩の魔術師と言われるB・ワイルドスミスの"ファースト英語ブック"が新たな形で出版されました。
絵のダイナミックさ、力強さ、豊かな色彩。
こういう絵にふれながら言葉と出会う幸せ。
AからZまでのそれぞれのモチーフは生命力あふれんばかりの絵です。
QRコードから発音も聞けます。
1500円+税 


福音館書店

「でんしゃ すきなのどーれ」      岡本雄司 さく       
これは電車の好きな子、喜ぶだろうなあ。182の車両が登場。電車がいっぱいの絵本です。
新幹線、私鉄、貨車、機関車、ドクターイエロー、路面電車…昔の電車も。
鉄道会社名、愛称や型式も表記されています。
それぞれのデザイン、色、特徴などを楽しんでください。
 「すきなのどーれ?」 
900円+税


理論社

「あめ  Rain or Candy?」   二宮由紀子 作    高畠純 絵    
同じ発音でも意味が全然ちがう、あめ(雨・飴)のように…。
日本語のおもしろさは、ことばあそびにぴったりです。
クマの紳士と2匹のブタたちの一日が同じフレーズで進んでいきます。
「にじ(二時・虹)だ!」のように、まったくちがう展開になります。
高畠さんのユーモラスな絵と状況の英文で日本語の自由さ、豊かさを楽しんでください。
英文のオマケ解説もあります。
1500円+税


福音館書店

「しゃぼんだま」 小林 実 ぶん   林 明子 え  
林明子さん、デビュー50周年の限定復刊になります。
1975年4月号として刊行された「かがくのとも」です。
あたたかく、美しい絵で、しゃぼんだま遊びのおもしろさやふしぎを描きます。
吹くストローによって変わるしゃぼんだまの形や大きさ。しゃぼんだまの表面に流れる色。
いろいろくふうして、ためしてみると発見がいっぱいです。身近で楽しい遊びです。
1000円+税


偕成社

「わたしたちのケーキのわけかた」  キム・ヒョウン さく   おおたけきよみ やく 
わたしたちは5にんきょうだい。だからどんなものも5つにわけなくてはなりません。
わけるのが かんたんなものもあるし、むずかしいものもあります。
計算も必要です。状況を把握し、アピールし、知恵をしぼります。
りんご、チキン、扇風機の風、たったひとりのおじさんも! なんだってわけっこです。
それぞれのわけっこのバトルがユーモラスに描かれます。
そして、きょうだいならこそのわけあうことのあたたかい思いも…。
韓国の絵本です。
1500円+税


合同出版
「世界でいちばん リクエストのおおいくつ屋さん」 十河 孝男 ・十河ヒロ子 文   本田 亮 絵   星川安之 編集協力         
てぶくろ工場を経営するそごうさんは、友人から「お年寄りがころびにくい靴をつくれないか」と相談されます。
そごうさんは工場の人たちを説得し、500人以上のお年寄りの足元を研究して、2年間かけて靴を完成させます。
ところが、そごうさんには気になることが…。
それは10人に一人は左右の足のサイズが違うことでした。
困っている人をだれ一人とりのこしたくないというそごうさんが考えた方法とは…。
実話から生まれた絵本です。 
1800円+税


小学館

「ごちそうごよみ」         谷山彩子 
お正月から始まって日本には一年中たくさんの行事があります。
そして行事には、行事にちなんだご馳走がつきもの。神さまにお供えして、神さまと同じものを食べて力をいただくという意味もあるそうです。
春夏秋冬、それぞれの季節の食材を使って、1月から12月までの行事ごとのご馳走を紹介していくこよみ絵本。
ユーモラスなイラストも含めて、たくさんの知識を楽しめます。
ハロウィン、クリスマスもあります。もう日本の行事なのですね。 
1600円+税


光村教育図書

「しゅうくんかぞくのしあわせレシピ おせちりょうり」   はまのゆか    
シリーズ3作目はおせち。わかりやすい簡単レシピの紹介です。
幸せが重なりますよう願いをこめた重箱につめるのは…。
お金がたまりますようにと くりきんとん。子宝にめぐまれますようにと 数の子。勉強ができるようにと(!) だて巻。長生きできますようにと えびのうま煮。 家族仲良く…の煮しめ。
地域によってちがうお雑煮も紹介しています。
おせちの残りで作るおやつ お正月まんも…。
うん、できそう! 来年! がんばってみる!   
1400円+税


ほるぷ出版

「くらべて発見 食べものはどこからきたの?」   ユリア・デュア 作   木本 栄 訳   藤原辰史 日本語版監修      
毎日、食べたり、飲んだりするいろんなものたちは、いったいどこから、どうやってきたのでしょうか。
この絵本は、ドイツに住む作者がいろんな食べものを作っているところを訪れて、実際に見たり、聞いたりしたことを、楽しいイラストでわかりやすく 描いています。
作っているところも、家族で営む小さなところから、会社が経営する大きいところ、規模もいろいろです。
それも比較しながら、“食べもの"となっていく工程を楽しんでください。
まるで一緒に見学しているような臨場感のあるイラストと解説です。
毎日飲む牛乳。美味しいパン。いろんな料理になる卵、魚、肉。ソースやジャムになるトマトやりんご。
スーパーやお店に並ぶまでには、たくさんのドラマがあります。
命を提供してくれる動物たち。そして、たくさんの人々の愛がこめられた仕事があります。
食べることで、私たちは生きています。子どもたちは成長していきます。食べ物を知ることは大切なことです。
そして感謝も、ですね。
2900円+税


小学館

「砂漠の旅ガラス」   長谷川まりる 作・絵      
AIがおこした戦争で世界は壊滅。植物は消え、防腐塵という腐食を防ぐ特殊な砂の砂漠の下には古代人の町が埋まっている。
それを掘りおこし、お宝を探してきままに暮らす旅ガラス。
かじりかけのりんごの絵がついた手のひらサイズの板も見つかるが何の役にも立たない。
古代人のビル群に居る居住地の者たち。汚染された海のそばにいる海の民。高台に住む砂賊。
旅ガラスのミサゴに拾われた居住地から出た少年ツバメ。言葉の話せないキツツキ。
そしてツバメの持つ植物の種バンクシア…。
AIの戦争とはなんだったのか…。結果、人類が激減し、文明が崩れ、文字すら価値を持たない世界になった。
それでもバンクシアはそれぞれの民の生きる希望になるかもしれない。
1300円+税


童心社

「空と星と風の歌」    小手鞠るい 作    堀川理万子 絵    
差別とは何なのか。在日という言葉をどうとらえるのか。
私たちは、35年にわたる日本の植民地支配と、南北に分断された朝鮮半島の歴史を正しく理解しているだろうか。
親の職業体験で在日朝鮮人の金さんの話を聞くことになった 空奈。
母が韓国人ということで、いじめられ、アメリカに渡った 美星。
アメリカで、車椅子でも日本とはちがう自由を感じたという 風太。
3つの短編が、一冊の詩集を軸に語られます。
朝鮮半島の文化や知識、技術など、多大な影響を受けて日本という国は発展してきました。
日本の犯した過去の侵略を恥じ、差別意識から解放され、自由にならなくてはいけないのは日本人です。
そのことをまず、きちんと子どもに話せる大人でありたいと思います。
1300円+税




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