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★ジオジオからのメッセージ
           




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451号



6月、ジオジオは子どもたちで図書室に入れる本を選ぶ、いわゆる選書会の シーズンに入ります。
今年もお声をかけていただいて、嬉しく思っています。

体育館や図書室、多目的ホールなどに、ずらーっと並べられたまっさらの本たちに、 子どもたちが群がっている光景には、
いつもわくわくした幸せをいただいています。
今年も、子どもたちと本を共有できる時間を楽しみにでかけます。

ご成長の過程の一時、ジオジオがお届けした本を通り過ぎてくれること、そして、選書会のことが思い出の一つになってくれること、私にとって無上の喜びです。
本との出会いは、じわじわと効いてくる生きる力をもらえる…そう信じています。
どうぞ、それぞれの人生に寄り添ってくれる本との出会いがありますように…。




大人があまり子どもたちや若い人たちのお手本とはなれない時代のようです。
私たちも自分が生きてきた時代にたくさんの反省があります。そのままの価値観をもう次の世代に引き継いではいけないという自覚とともに、
あまりに多くの問題を背負わせることになるであろうことに、心が痛みます。

今に子どもたちは、私たち大人にではなく、AI(人工知能)にさまざまな答えを求める時代になるのでしょうか?

止まない戦争のこと、差別と格差、地球温暖化と暮らし、複雑な人間関係のこと、多くのデーターを熟知したAIはどういう答えを出していくのでしょう…。
AIは、逡巡や迷いの中で言葉を濁してしまうこともなく、一応、的確な答えが返ってくるのかもしれません。
私のように読んだはずの本の中身が思い出せないとかいうこともないでしょう。 不完全で失敗を繰り返し、能力も次第に衰えていく人間です。
でもAIにはない温かい体温があります。心があります。多様性もあります。と、強がる必要もないのでしょうけど…。

人間が創り出した目にはみえない完全さ(!?)を備えたAIの世界。
愚かだけれど愛すべき生身の私たち人間の世界。
どのように共存して、どんな時代になっていくのか…。子どもたちは、どういう未来に生きることになるのか、警戒心と不安があることも正直な気持ちです。
AIの世界の何を選択するのか、難しい問題に直面していきます。
せめてAIが弱きものにとって、とりこぼしなく、温かく、やさしくあるようにデーター化されていくことを願わずにはいられません。




「奇跡のフォント 教科書が読めない子どもを知って UDデジタル教科書体 開発物語」   高田裕美   1800円+税  


UD(ユニバーサルデザイン)とは、文化や国籍、性別、年齢、障害の有無などを問わず、より多くの人が利用しやすいデザインのことです。
長年、書体デザイナーとしてフォントに関わり、弱視や識字障害の人に限らず、見やすく、読みやすく、間違いにくく、伝わりやすい書体の開発にと、執念ともいえる情熱でUDデジタル教科書体を 生みだした著者の8年間の軌跡を追ったノンフィクションです。
字体の太さ、形、字のはね、はらい、とめ、などの表示で読み取ることに混乱をかかえてきた子どもたち。
弱視や識字障害の人たちがどのような見え方をしているのかという現場の聞き取りや研究、気の遠くなりそうな努力と試行錯誤の結果、生まれた奇跡のフォントです。


視力に問題がなくても、読み書きが苦手、勉強ができない…と思われていた子どもたちが、実は文字の判別がつきにくい、いわゆる 識字障害・ディスレクシアではないか…ということが、わかってきました。
児童文学でも、字を読めない、書けないことを知られたくないと悩む子どもたちのことが描かれている物語があります。
実に日本では子どもたちの 5~8 %がディスレクシアではないかと言われています。
対策のひとつとして教科書のフォントを変えることで、読むことができ、理解が進み、救われている子どもたちがいるという報告もあり、
「僕はバカではなかったんだ」と子どもたちに、自分を再発見させることができているというのは、とても嬉しいことです。

ひらがな、カタカナ、漢字、数字、アルファベット。日本語のなんと複雑なこと。書体も明朝体やゴシック体をはじめ、たくさんあります。
私も今まで、深い考えもなしにフォントを選んできましたが、今回のブックランドは、UDデジタル教科書体を使ってみました。
このフォントを開発してくれた人たちに感謝しながらです。
高齢者、老眼の人にも読みやすいフォントです。




「はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで」    絵本ナビ編集長 磯崎園子    1600円+税  

"絵本は自由だ"宣言 があります。(一部抜粋)
〈 絵本をどんな風に楽しむか。それは読む人の自由であり、子どもたちの自由だ。わからないまま、読んでもいい。 わかったふりして読むのだっていい。
「この本は面白いよ」と言われても、面白いとおもわなくてもいいし、読まなくてもいい。絵本は自分のために読めばいい。
 誰かのためだと思っても、それやっぱり自分のためなのだ 〉


共感です! 嬉しくなりました。
我が子のために…と足を踏み入れたはずの絵本の世界。知らないよりは知った方が何より、生きていく上でお得(!)な世界です。
そして、抜け出せない…。

たくさんの絵本が成長と共にゆるやかに紹介されています。





                               

 2023.6.


 ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、
配本に追加する、あるいは配本に入れる、 という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。         
不明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。  注文    


新刊より


       


光村教育図書

「しめしめ」   丸山誠司 作       
ハチが花のみつをすいにきた。 しめしめ ハチをたべちゃうぞとカエル。
大蛇は よろこんだ。しめしめ カエルをたべちゃうぞ。
しめしめとハゲタカ。しめしめとティラノサウルス! 
そこに、しめしめ とあらわれたのは…。にげろ、にげろ、にげろ。
いったい、たべたのはだれ? たべられたのはだれ?
絵の迫力がすごい! オチにまいった! そうきますか…(笑)
1400円+税 


文響社

「しりながおばけ」       たなかひかる    
プッ! と思わず吹き出してしまいます。
お笑い芸人さんでもある作者のおばけ第二弾。
まえからみるとふつうのおばけ、よこからみると しりながおばけ。
あそべる、あそべる。そして べんり、べんり、役にも立つのです。そして、おしゃれ ?!  
もうもう ご自由に楽しんでください、としか言いようがなく…やっぱり見るたび笑います。
1150円+税


福音館書店

「おじいちゃんのくしゃみ」     阿部 結       
くしゃみをこらえるおじいちゃんの表情  くしゃみするおじいちゃんの表情、とてもいい ! 大好きになります。
  「あっ !」「 くる !」 
あ――――――っちょ―――――――ん!
だいめいわく!(笑)おじいちゃんと孫との関係がとても温かくユーモラスです。
世界一というくしゃみで、とんでいったおじいちゃん。
 お、お、おじいちゃ―――ん!!
1400円+税


あすなろ書房

「イタリアのむかしばなし プッチェットのぼうし」   中脇初枝 再話    アヤ井アキコ 絵 
くりかえし、そしてめでたし、めでたしの昔話は王道ですが、ついつい引き込まれます。
プッチェットのすてきなぼうしがなくなります。
みつけたぼうしを、かえしてもらおうとするのですが、次々と交換条件がだされます。
ひとつ、ひとつ手に入れていくプッチェットですが…。
そのくりかえしの積み重ねがとても楽しい。
読みきかせにぴったりです。柔らかなタッチの絵もいいです。
1400円+税


福音館書店

「おばけえんは すぐそこです」   山崎るり子 詩   石黒亜矢子 絵   
石黒亜矢子さんのおばけや妖怪の絵、大好きです。
山崎るり子さんのリズムのいいおばけうた(!)も楽しい。
おばけたちが通うおばけえん。
せんせいはふたまたしっぽのふるぎつね。こわくてふしぎなお話。
やまんばは人間の子を食べておなかがいたくておやすみ。ろくろっくび、カッパ、からかさお ばけ、おおにゅうどう…。
みんなそれぞれに、おばけえんを楽しんでいます。
お絵描きもしているよ。さあて、いったいだれでしょう。
こたえが、ぜんぶわかったら、さようなら、またあした。
1000円+税


評論社
「だれのうんちがせかいいち?」    マリー・パブレンコ ぶん  カミーユ・ガロッシュ 絵  おがわひとみ訳    
落ち着いた豊かな色彩で描かれた動物たち、背景の森や植物の絵が生き生きしています。
動物たちのうんち自慢。世界でいちばんすてきなうんちと、リスが、ネズミが、イタチが、ケナガイタチが、アナグマが…。
次々と動物たちがやってきて、自分のうんちを自慢します。
それぞれのうんちの形もおもしろい。
とうとうりっぱな角を持つオジカまで登場します。
でもその時、猟銃をかまえた猟師が…。なんと、みんなのうんちが大活躍。世界一は…。
1500円+税 


金の星社

「ちきゅうのかいだん」     松岡たつひで 作・絵 
ドアをあけると、なが~い階段が続いています。
時代をさかのぼる地球の46億年の旅のはじまりです。
2万年前、槍を持った人間がいます。たくさんの動物たちも出てきます。哺乳類です。
長く続いた恐竜の時代も小惑星が地球に衝突して6600万年前に終わります。
もっともっとさかのぼると水中から陸上に出てきた生き物たちに出会います。
やがて地球の旅は海の中へ、そして生き物がいない時代になります。
生まれたての地球はマグマです。
時代をさかのぼってみること、再発見ありのおもしろさです。
1500円+税


偕成社

「はじめての梅しごと 梅シロップをつくろう」    髙野紀子       
今、スーパーで青梅が並んでいます。
梅しごとの季節です。
私も毎年、梅干しを漬けます。梅シロップや梅酒をつくることもあります。
さわやかで美味しくて、大好きです。絵と共に、わかりやすく、やさしく手順を説明してくれています。
今年はぜひ、ご家族で挑戦してみてください。
梅シロップのおいしいレシピやシロップ以外の梅しごとも紹介されています。
1400円+税


福音館書店

「ちょっとこわいメモ」    北野勇作    森本晃司 絵        
はっきりいって、こわがりのぼく。
こわいものをメモしておけば、後から読んで、なあんだって思えるだろ。そういうメモが四つ。
路地の水たまりに落ちていた水色のクマのぬいぐるみのこと。
学校のプール掃除のときに見つけて持って帰った緑色の皿。
空地のゴミの中から見つけたたそがれ時にだけ映るテレビ。
ぼくが小さい頃、こわがったという路地。
だいじょうぶ、ちょっとこわいだけだから。
でも、ざわざわした余韻がじんわりと…。
1500円+税


ほるぷ出版

「図書委員は泣かない」   小松原宏子 作   あわい 絵  
青空小学校いろいろ委員会シリーズ 5  
4年1組図書委員ホン子こと本田シオリ。
ものしずかで本が好きで、教室以外では、ほぼ図書室にいる。
ある日、図書室にやってきた2年生のユウキに「おかえし」という絵本を読んだことから、ユウキは毎日やってくるようになり、おまけにけんか相手 のカズヤまで図書室へ…。
そんな時、図書室のリニューアル工事で図書室は閉鎖になるというニュースが…。
ユウキを通して、読み聞かせの楽しさを知ったホン子が、その間、図書室の本を活用しようと思いついたアイデアとは…。
そしてホン子には秘密の特技があるのも楽しい。
本の好きな図書委員さん!ぜひ!
1300円+税 


フレーベル館

「ひとりかもしれない」     岩瀬成子         
小学4年生の貝。ママが再婚して、幸介さんが私のお父さんになった。
4年生になって、保育園の時に一緒だった高広くんと同じクラスになった。高広くんはなんだか感じが変わっていた。また高広くんと仲よくなりたい。
私が別れたパパのことを思い出していることをママも幸介さんもしらない。
だれにも言えない思いを天井にむかって言う。ため息も言葉もすうっとあがっていって天井にくっつく。
わたしはひとりかもしれない…。
貝の日常、柔らかな心の揺れ、逡巡が、せつなく伝わってき ます。岩瀬成子さんの作品には、いつも子どもの頃の自分に向き合わされます。
いつのまにか、天井にくっついていたことばは、すうっと窓から外へ…。
ひとつひとつ前に…です。
1400円+税 


岩波書店

「地図と星座の少女」   キラン・ミルウッド・ハーグレイブ 作   オリア・ムーザ 絵    佐藤志敦 訳      
海に浮く島、美しいジョヤ島は、総督がやってきてからすっかり変わってしまった。
島はつなぎ留められ、多くの人が追放され、島には〈見捨てられた領地〉ができた。
地図職人の父さんと暮らすイサベラ。母さんが作ったかつてのジョヤ島の地図を形見として大切にしている。
総督の娘ループとイサベラは、身分は違っても親友だった。
ある朝、少女カータが死体で発見されたことから、ループが真相を追いかけ、消える。
イサベラの、伝説もからめた島を救う冒険ファンタジー。
2300円+税 




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