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★ジオジオからのメッセージ
           




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446号


2023年、明けましておめでとうございます。今年も、どうぞよろしくお願いします。

新しい年になりました。
一年の計といっても、何事も長続きしない私には、さりとて、特別には思い浮かばないのですが、今年もたくさんの本と出合いたいなと思っています。
また、その一方で、今まで読んで通りすぎてきた本にも、もう一度きちんと向き合いたいとも思っています。

まあ、ええんちゃうか…と肯定感を持たせてくれ、生き方を楽にしてくれたのも本でした。
私のずっと前にいて、進む方向を照らしてくれたのも本でした。
思えば、長く生きてきて、たくさんの本に助けられてきたように思います。

まだまだ未熟感がいっぱいなことを自覚しながらですが、残りの人生、ぼちぼちと前へ進んでいけたらと思っています。

こんなジオジオですが、今年も、仲よく、楽しくおつきあいいただけたら、こんなに嬉しいことはありません。




ずいぶん前のことになります。記憶ちがいがありましたらお許しください。

長く続いた「ウルルン滞在記」というテレビ番組がありました。
日本のタレントの方が、外国へ行ってその国の暮らしを体験する 様子を放映するというドキュメント番組でした。
ネットの情報なども少ない時代です。楽しんで見ていましたが、その中でも特に心に残っている 回があります。

その日に海で獲れたものを島の民で分け合って食べるという南方の島へ行かされた若者は、日が追うに従って、空腹もあって かストレスがたまってきた様子がみてとれました。
若者は島の長老のリーダーに聞きました。「こういう暮らしをしていて幸せですか?」

ところが、その島には「幸せ」の概念を表す言葉がないようでした。
通訳の人がいたと思うのですが、「幸せ」についての若者の説明を、しばらく 聞いていたその長老のリーダーは言いました。

「それは 『みんなが笑う』 ということだな」と。

私は体に電気が走ったような感動を覚えたのを記憶しています。

"みんなが笑うことが幸せ"人類が生きていくうえでの原点ではないかと。



私たちの国の為政者の人に、お願いします。

"みんなが笑う"ことができる理想の政治を追求してください。

憲法の軽視、軍備の増強、原子力発電の推進、どれも子どもたちの未来に、笑うことができない大きな負の遺産を残すことになります。
子どもたちの時代に戦争も、放射能も要りません。未来に必要なのは、みんなにとっての 平和、希望、笑い、幸せ…です。



「こころのねっこ」「こどもの詩」55周年精選集(2017~2021)   読売新聞生活部      1400円+税

読売新聞の「こどもの詩」に2017年1月から2021年12月までに掲載された作品のうち220編が納められています。

選者は詩人の平田俊子さん。イラストはヨシタケシンスケさん。こどもたちのまっすぐな世界観に心が浄化されるようです。










「点 きみとぼくはここにいる」  ジャンカルロ・マクリ カロリーナ・ザノッティ 文・絵  内田也哉子 訳     1800円+税  

絵本「たいせつなこと」の翻訳や、母である樹木希林さんとの共著「9月1日母からのバトン」などを出されている内田也哉子さんの"訳"と"あとがき"の文章は、
分断や紛争など多くの問題をかかえる世界に、私たち一人一人の意識に、ひとすじの光を与えてくれます。


ぼくは黒い点、たくさんのともだちがいて、暮らしも楽しく、食べ物にも困らない。
私も点。白い点。たくさんのわたしたちがいます。でも暮らしはよくありません。住むところも食べるものもありません。
そちらにおじゃましてもいいですか?
白い点と黒い点を分かつものは何か。
間にある見えない線を取り払い、お互いを受け入れ、みんなで新しい点の世界を創り出すこともできるのではないか。
子どもたちも含めて話し合うきっかけになれる絵本。



                               

 2023.1.


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新刊より




光村図書

「日々臆測」   ヨシタケシンスケ       

児童文学雑誌「飛ぶ教室」に連載されている「日々臆測」が単行本になりました。
臆測でものを言うのはいけないこと…だとしても
心の中では、臆測はこんなにも限りない妄想を呼び起こし、楽しめます。
小さなお話もあるあると心ほっこり。


P136の「私の神さま」ためしてみました。っ!えっ!いました!見えました! 
1600円+税 



アノニマ スタジオ

「いろって なあに?」  アリス&マーティン・プロベンセン さく・え     こみや ゆう やく    
絵本作家プロベンセン夫妻が、幼い娘に「色」の世界を伝えるために作った絵本です。
あらゆるところに色は存在し、変化をしている。
におわないし、あじもしない、ふれてもわからない。
けれど、この世界は色でできている。
ひとつひとつの色の個性や特徴が、リズムあるユーモラスなことばと絵で描かれています。
50年以上も前の絵本ですが、それぞれの色が、まるで生きているかのような斬新さです。
手書き文字も温かい…。
1800円+税


岩波書店

「アグネスさんとわたし」  ジュリー・フレット 文・絵   横山和江 訳   
カナダの作家による、カナダの先住民クリー族の少女のお話です。
海辺の町から、野原をみわたす丘の上の家に、かあさんと二人で引っ越してきたキャセレナ。
となりにはアグネスさんというおばあさんが住んでいる。
アグネスさんの家に遊びにいくようになったキャセレナは、アグネスさんの生き方にふれ、好きな絵を再び描くようになる。
アグネスさんとの交流が深まっていく。
季節は巡り、アグネスさんは生活の助けが必要となってきた。
たいせつな友のためにキャセレナは…。
心にしみる静かで美しい絵本。
1800円+税     


好学社

「アナトールとねこ」 イブ・タイタス さく   ポール・ガルドン え   石津ちひろ 訳   
「ねずみのとうさんアナトール」の続編。
誇りを持ってチーズ工場のために働くねずみのとうさん、アナトール。
ある夜、いつものようにチーズ工場の試食室で仕事をしていると、猫の足音が聞こえます。
その恐怖といったら!!夢にまで出てきます。
何かいい方法はないかと考えた末、昔からよく言われる猫の首に鈴をつけることを思いつきますが、さてだれが…。
そこはかしこく勇気あるアナトール。
フランスでもっともほめたたえられ、尊敬されるねずみのお話です。
1600円+税


偕成社

「ちいさなトガリネズミ」     みやこしあきこ  
ちいさなトガリネズミは、とてもはたらきものです。
そして、規則正しい毎日を送っています。
一話では、その一日を描きます。決まった時間に起きて、仕事へ出かけます。
仕事は大忙し。帰ってからのお楽しみも一週間、決まっています。でも そんな毎日の中でいいこともあるのです。
2話ではガレージセールで古いテレビを手に入れます。
3話では一年に一度訪ねてくる友と過ごす楽しい時間が描かれています。
みやこしあきこさんの絵の力が大きい。
愛らしいトガリネズミ、好きになります、きっと。部屋の小物の絵がいいなあ。  
1400円+税


岩波書店
「箱舟に8時集合!」  ウルリヒ・フーブ 作   イョルク・ミューレ 絵   木本 栄 訳
雪と氷でおおわれた世界にいる3羽のペンギン。チビペンギンと2羽のペンギンは、いつもケンカしている。
ある時、やってきたハトが、もうすぐ とてつもない大洪水が起こる。
ノアの箱舟には2羽のペンギンのスペースがあると言って、乗船チケットを渡されます。
2羽のペンギンは、チビペンギンをどうするかで悩みます。
ノアに不満いっぱいのハトの存在もあって、ドタバタのお笑い物語かと思うと、
なかなかの神の存在を問う哲学的な会話もかわされるのです。
はたしてノアの箱舟とは…?神とは…?
おもしろく、そして、深い…のです。
1500円+税 


ゴブリン書房

「ジャングルジム」   岩瀬成子   網中いづる 絵   
今を生きる子ども、大人、そして家族。歯車が合わなくて心がすれ違いながらも、時間を共有し重ねていく。
そこには、それぞれの立場でのドラマがある。
定職にはつかない亨おじさんと過ごした時間。
おねえちゃんをいじめる上級生とジャングルジムからとびおりる決闘をした話。
リュックにいれたワニのぬいぐるみから聞こえてくる離れて暮らすママや別れたともだちの声。
死んだパパが残した色鉛筆。
しばらく一緒に暮らしてみることになったおじいちゃんのこと。
5話収録。岩瀬成子さんの描く子どもに、いつも少し痛みを感じつつ共感し、惹かれます。
1400円+税


ポプラ社

「ぼくたちは まだ 出逢っていない」   八束澄子         
イギリス人の父を持つ陸は、同じバスケット部の豪大に目をつけられ暴力を受けていた。友人の樹だけが味方だ。
母の再婚で岡山から京都で住むことになった美雨。いきなり父と一つ年上の兄ができ、家の中には自分の居場所がない。
美雨はある骨董屋におかれた器に惹きつけられる。そこから漆で焼き物の欠けを修復する伝統的な手法 金継ぎ に導かれていく。
陸は父エリックに連れていかれた山で漆の木のことを知り興味を持つ。
出逢いと修復、再生。金継ぎも人と人との関係も同じかもしれない。
陸、樹、美雨の新しい一歩が始まる。
1400円+税


講談社

「Poetry Dogs  ポエトリー・ドッグス」    斉藤 倫  
三軒めに入ったバーのバーテンダーは犬だった。
ジンリッキーをたのんだぼくに、出されたお通しは犬のマスターが選んだ詩。
マスターとぼくが31篇の詩を語りながらの十五夜のストーリー。
詩は嫌いではないけれど、難解な詩は、ちょっと敬遠したいのが本音です。
でも、堅苦しい解説ではなく、控えめに、また自由に語りあうふたり(!)の会話に、いつのまにか詩の世界に引き込まれていきます。
なぜ酔ってからこのバーに来るのか、なぜマスターが犬なのか、物語に余韻が残ります。
詩によって呼び起こされる何か…。
最後の日、ぼくは言った。「やっぱり詩はわからない」だけど胸はなみうち、高鳴る…。      
1600円+税


文研出版

「絵で旅する 国境」   クドル 文 ヘラン 絵    なかやまよしゆき 訳      
2年余りをリュックひとつで世界を旅した著者が、韓国に帰ってから イラストレーターの友人と6年をかけて作った国境の本。
この本は国と国を隔てる線というよりも、その線を越えて生まれる「出会い」に光をあてて作ったと "あとがき" に書かれています。
地球上の土地を分け合っている約200の国々。
国境を超えると、言葉や文字、お金、肌の色や服装が違うことがある。
おおきく開かれているところも 閉まっているところも。
国境のさまざまな顔を描いた興味深い一冊です。
2500円+税




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