TOPへ


★ジオジオからのメッセージ
           




最新のBOOKLANDに戻る




442号


ただただ暑かった!という記憶を焼き付けて、夏が去っていこうとしています。
いつのまにかセミの声が消え、夜には澄んだ虫の鳴き声が 聞こえるようになりました。
夏の間にたまった疲れを感じたまま、「よっこらしょ」と かかりにくいエンジンをかける9月です。

長い夏休みも、済んでみるとあっという間です。子どもたち、お父さん、お母さん、それぞれに おつかれさまでした。
まだまだ厳しい暑さと気の抜けないコロナ事情の中での2学期です。ぼちぼちといきましょう。

やなせたかしさんの「手のひらを太陽に」という歌の最初に「生きているから悲しいんだ」という歌詞があります。
生きているから、しんどかったり、悲しかったりするんだよなあ…。嬉しいことばっかりではないよなあ…。
そうなんですけど、やっぱり「よっこらしょ」と毎日がやってきます。昨日とちがう一日に「生きているから嬉しいんだ」が見つけられたらいいなあ、そう思って…秋です。




噴出してきた政治への不信感と怒り。これに蓋をしてしまうような閣議で決定された元総理の国葬。ある意味、滑稽さすら感じます。
カン違いしないでください。
私たちの税金は、献金ではありません。生きている私たちの命と暮らしを守るために使ってくれなくては困ります。
強行することで、怒りがあきらめに変わることはありません。怒りはさらに大きくなり、持続していきます。



ひまわり バザー      ご協力、ありがとうございました。

19日間に渡ったバザーの収益は カンパも含めて 175,525円 になりました。
全額 特定非営利活動法人 難民支援協会 に送金しました。

ご協力、ほんとうにありがとうございました。

バザーは終わりましたが、世界から戦争や紛争がなかなか終わらない今、微力ではありますが、また何かできることをしていけたらと思っています。
これからもどうぞよろしくお願いします。

なお残りましたバザーの品物は、出品してくださった皆さまのお気持ちを無駄にしないよう、使っていただけるところに声をかけています。
必要とされている方や団体がありましたら、ご連絡をお願いいたします。 079-426-6704(ジオジオ)   ひまわりバザーの会一同



「長い長い夜」    ルリ 作・絵  カン・バンファ 訳   1400円+税

名前のないぼくの物語。
地上最後のシロサイとなったノードン。そして、動物園の中で、見捨てられた卵を温め守ってくれたペンギンのチクとウィンボ。
このぼくの三人の父は、卵に寄り添い、そして、生まれたぼくに生きることの大切さを教えてくれた。
たくさんの選択と後悔を繰り返しながらの人生。
つらくて長い長い夜が続いても、悲しい別れがあっても、たくさんの奇跡にめぐり合えて生きていけることを…。
美しく、哀しく、そして希望のあるイラストに感動します。
生きている、生き続ける、それは一人ではなく、たくさんの意志に生かされていることを感じさせてくれる物語です。




「旅のネコと神社のクスノキ」    池澤夏樹  黒田征太郎    1700円+税

敗戦から77年。同時に広島、長崎への原爆投下からも77年の夏でした。
作家 池澤夏樹さんと、イラストレーターの黒田征太郎さんが、戦争の被害と戦争をささえたもの、そして未来を見据え、核兵器廃絶と再生への希望を描きます。


77年前、広島に米軍が投下した原爆に耐えた「被爆建物」で現存する最大級の"りくぐんひふくししょう"(旧広島陸軍被服支廠)を舞台に描かれた絵本になります。
陸軍被服支廠は兵隊さんの服を作ったり、死んだ兵隊さんの服を繕って、また使えるようにしたりするところ。
近くにある神社のクスノキは、何かがおこるとおびえていた。そして、まもなくこの建物にけがをした人たちがたくさんやってきた。
そこで亡くなった人もいる。その状況のむごさや悲惨さは経験した人でなくては語れない。
今も、たくさんの死んだ人たちの目が、草や木の葉のあいだから見ている。 世界を、これから先を。
被爆建物の記憶と、そして戦争の罪はアメリカだけではないことも心に刻まなくては…。




「その本は」    又吉直樹    ヨシタケシンスケ       1500円+税

魅力あるお二人です。そのコラボとあれば見逃すわけにはいきません。
期待を裏切られることなく笑いました。ウームとうなりました。お二人の才能に頭がさがりました。 
その本は、この本、とばかりに…。


本の好きな王様がいました。王様は年寄りで、目がほとんど見えません。
王様は二人の男を城に呼び、言いました。
「お前たち、世界中をまわって『めずらしい本』について知っている者を探し出し、その者から、その本についての話を聞いてきてくれ。そしてその本の話を、わしに教えてほしいのだ」
世界中を旅するためのお金を渡され、二人の男は旅立ちました。
そして一年後。二人が帰ってから王様に語った十三夜にわたる話、「その本は…」は、一冊の本になりました。
が、まだまだ、まいった~!の"オチ"があるのです。さすが!の本です。


                               

 2022.9.


 ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、
配本に追加する、あるいは配本に入れる、 という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。         
不明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。  注文    


新刊より


                                        


世界文化社

「でんしゃが とおりまーす!」   オームラトモコ  
「まもなく でんしゃが つうか します。きいろい てんじブロックまで おさがりください。」
というアナウンスのあと、ゴーガタタン ゴーガタタンと通過した電車。
なんか変です。またまたやってきた電車も、やっぱり変です。
電車の乗客にびっくりです。で、行先はどこ?
カバーの裏がポスターになっています。帯を使って電車がつくれます。
電車も動物たちも、いろいろと楽しめま~す。
1300円+税 


金の星社

「アニマルランド」   オームラトモコ  
こちらも オームラトモコさん。
動物たちが、いっしょうけんめい どこかに むかっています。
なまけもの  かば  ほっきょくぐま… とど  あしか  かめ…。
なんと100種類の動物の大行進です。
日が暮れてきて、みんな急ぎます。着いたところは…。
「わーい、まってたよ!」
1400円+税


KADOKAWA

「まよなかのおしっこ」   さいとうしのぶ      
「きょうから ひとりで ねます」と言ってしまった夜、トイレにいきたくなって目がさめてしもた。
2時や、おばけのでる時間や。
いてへん、いてへん、おばけなんか いてへん。
ない、ない、そんなん ぜったいない。
と言いきかせながら、なんとかトイレへ…。 おしっこ、まにあったかな…。
妄想の中のおばけがユーモラスで笑います。
小さなおばけの絵探しも楽しめます。
1300円+税    


あかね書房

「がっこうに まにあわない」   ザ・キャビン カンパニー  
7じ47ふん。ぼくはげんかんをとびだし ゴウゴウと はしりだした。
いそげ  いそげ  いそがないと…がっこうに まにあわない。
きょうは8じまでに ぜったいに いかなきゃいけない。
7じ49ふん。いつもの みちなのに なんか へんだ。はしっても はしっても がっこうに たどりつけない。
7じ54ふん。ふみきりだ。ながいれっしゃ!
7じ59ふん。がっこうがみえた!
迫力のある絵から、一緒にドキドキハラハラ。あせります。
8じ。じつは素敵なことがあるのです。いいなあ~。
1500円+税


エクスナレッジ

「けなげな魚図鑑」  松浦啓一   さいとうあずみ イラスト   若井夏澄 デザイン   M・J・ミラー 写真      
この本に収録されている79種の魚は、すべて 日本に生息しています。
北から南まで約3000Kmもある日本列島は 多様な海洋環境に恵まれ 4000種を超える魚が住んでいます。
全魚類の13%を占めるなんて 驚きです。
魚の習性や生態を 人間目線からユーモラスに 紹介した本です。
エサを手にいれるために。子孫を残すために。そして、いいことばかりではない進化。人間のカン違いとありがた迷惑。
人間で苦労しているのですね。
生息地の分布図や全国の水族館も紹介されています。
1600円+税


光村教育図書
「わたしと あなたの ものがたり」  アドリア・シオドア 文  エリン・K・ロビンソン 絵  さくまゆみこ 訳  
クラスには、茶色いはだの子どもは、私ひとりしかいなかった。
学校で学べるのはありがたいことだけれど、奴隷制や公民権運動キング牧師のことを勉強した時、みんなが、わたしをじっと見ているような気がした。
そして今、同じ立場にいる娘に、私は伝えたい。
ほかの人にどうみえるかではなく、自分らしくあるために 誇りをもちなさいと。
先祖が奴隷だったことを恥じるのではなく、その豊かな遺産を感じ取ってほしいと…。
1700円+税 


さ・え・ら書房

「アフガニスタンのひみつの学校 ほんとうにあったおはなし」  ジャネット・ウィンター 作   解説 清末愛砂  福本友美子 訳   
アフガニスタンが タリバン政権に支配されていた 1996年から2001年の間。
教育を受けることを禁止されていた女の子のための 秘密の学校をつくり、こっそりと勉強を教えていたグループがありました。
実話をもとにした絵本です。
今もアフガニスタンはきびしい状況が続きます。
"自分たちの権利を必死で守ろうとする女性たちがいることを、どうかわすれないでください"
解説者 清水愛砂さんの言葉です。 
1500円+税


さ・え・ら書房

「母の国、父の国」   小手鞠るい      
かつて日本で暮らしていたころ、わたしは常に目立つ子だった。
悲しい記憶だけれど、思い出すたびに 私は笑ってしまう。
肌の黒い私を置いて結婚した母。私は叔母のかすみちゃんに引き取られた。
壮絶ないじめと差別の中で、荒れた生活を送る私は  父のことを知り、父の国、ドミニカ共和国を訪れた。
ここでは、日本とちがって私は マジョリティ。家族として大歓迎された。
そして、私は、猛烈に勉強して、ニューヨークの大学に行くことに…。
私は自分に言い聞かせた。私は負けない。踏まれても起き上がる。そして、母の国でもなく、父の国でもなく、これからは私の国で生きていく。
小手鞠るいさんが一気に書き上げたという物語。
少女の涙。傷、闘い。旅立ち。心の傷を抱えて生きるすべての子どもに、子どもだった大人に、本書を捧げます…とあとがきに…。
1400円+税


小学館

「パンに書かれた言葉」     朽木 祥      
イタリア人のママ、日本人の父。私は3つの名前がある。"光・S・エレオノーラ"イタリアのノンナ(おばあちゃん)が喜んだという名前。
東北大震災と福島の原発事故の後、一人でイタリアに行くことになった。
そこでノンナから聞いた戦争の話。ドイツ軍に殺されたノンナの兄パウロの話。パウロが最後に血でパンに書いた言葉とは…。
そして帰国後、広島のおじいちゃんから聞いた戦争と原子爆弾の話。おじいちゃんの妹の死。
あとがきで書かれている第二次大戦後の〈記憶の義務〉と〈警戒の義務〉
負の記憶を伝えることは、二度と同じ過ちを繰り返さないという 警戒 と同義だという。
パウロがパンに書き残した言葉 Speransa 希望。Sで始まる私の名前だ。
言葉の力の大きさ。反戦、反核を叫び続け、記憶を伝え続ける言葉にこそ希望がある。
戦争で命を奪われた人たちからの遺言である。
 1400円+税


講談社

「きらめきを落としても」    鯨井あめ     
ジオジオともご縁があった鯨井あめさんの 「晴れ、時々くらげを呼ぶ」「アイアムマイヒーロー」に続いて3冊目の作品です。
「ブラックコーヒーを好きになるまで」 「上映が始まる」 「主人公ではない」 「ボーイ・ミーツ・ガール」 「燃」  「言わなかったこと」
の6篇が収録されています。
若い人たちのちょっと鬱々とした日々の中にあるドラマ。
たとえ小さな出来事でもこういう時間が積み重ねられていくことが"幸せを生きる"ことつながっていくことを感じさせてくれます。
どの作品も、まっすぐです。
気持ちよく読むことができました。特に「燃」が心に残っています。
ご活躍、嬉しく、今後の作品にも期待しています。      
1450円+税




  ★上へ



子どもの本●ジオジオ  
〒675-0012  加古川市野口町野口119-9
TEL 079-426-6704 FAX 079-426-5660 ziozio@fan.hi-ho.ne.jp