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★ジオジオからのメッセージ
           




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425号


今年もまた、さまざまな思いを抱えた4 月のスタートとなりました。

ご入園、ご入学のみなさま、そしてご進級のみなさま、心からおめでとうございます。新しい世界へ一歩を踏み入れるすべての人に 心からエールを送ります。

こういう時代ではありますが、こういう時代を受け入れ、生き抜いていくしかないと思っています。
そして、こういう時代ならこそ見えて くるものもあるかと思います。そこから、何を学び、吸収していくのか、変えていくのか、しっかりと興味深く、探索していってください。

思いがけない おもしろくワクワクする出会いがあるかもわかりません。そう願っています。



延期になっていたオリンピック、パラリンピックの開催に向けて、聖火ランナーが走り始めました。
大切な何かに目をつぶり、大切な何かを置き去りにしたままで、果たして五輪を開催することが、平和や希望につながるのかどうか、 疑問がふくらむばかりです。

2011 年3 月11 日に発令された原子力緊急事態宣言は10 年経った今も解除されていません。

福島第一原子力発電所からは今も大量の放射性物質が放出され続けています。
故郷と暮らしを奪われたままの人々。被曝の危険の中で廃炉に向けて作業に携わる人たち。汚染水、核廃棄物、何万年も続く環境汚染など、解決できない多くの問題を、次の世代に 引き継がせなくてはならない現状。

さらに、このコロナ禍のもとで、あえて五輪開催を強行しようとするのは、どういう意図があるのか…。

目をそらさないでいなければと思っています。今、オリンピックに多額の税金を使っている場合なのだろうか。正直な気持ちです。



 「いぬとふるさと」     鈴木邦弘 絵・文      1400 円+税    

「国道6 号線から見える放射性物質によって大量に汚染された帰還困難区域は、まさに「放置」されたままで「復興」 の欠片もなかった。」

作者は2015 年から原発事故後の福島県双葉郡の取材を始め、現地を歩くことで目にしたものを 絵に描き続けている。

  原子力 明るい未来のエネルギー   という看板を町に掲げていた双葉町のその後…。

かつてここに住んでいたのでは、と思われる犬を保護し、ともに双葉町を訪ね、犬の視点で絵本にしたものです。




 「佐野洋子 とっておき作品集」    佐野洋子    1600 円+税   

亡くなられて10 年。編者の方からのひとこと

「なぜか何年経っても珠玉の未収録作品が見つかるのですね。まるで埋蔵金のように。」

なんて嬉しい! 未知の佐野洋子さんに、またお会いできるなんて! まさに埋蔵金です。発掘、まだまだ続けてほしいです。


「長生きしても、何かがよくわかるようになるわけではありません。たぶん自分の心が一番わかりません。
悲しみや怒りがどうして体中を圧倒するのでしょう。
それが生まれるところは目ですか?心臓ですか?頭のどこかですか?
でもそれは生まれ落ちた時から、やがて死ぬまで一瞬も私から離れないでしょう。
たくさんの喜びや悲しみや怒りを 子どもたちが十分に受け止めて生き続けてほしいと思います。」 「円・こどもステージ」上演  「丘の上のおばさん」より


童話。ふしぎなショートストーリー。エッセイ。こどものためのお芝居の脚本。イラスト・私の服装変遷史。谷川俊太郎さんの質問に答えた私的な手紙。 谷川俊太郎さんとの生活エッセイなどを収録。

佐野洋子さんがよみがえりました。




生きづらい世の中のすべての人へ   「にげて さがして」    ヨシタケシンスケ  900円+税   

よのなかには、いろんなひとがいる。
たくさんいれば、そのなかには「そうぞうりょくをつかうのが にがてなひと」 がいる。
もしきみが そういうひとに ひどいことをされてしまったとき、するべきことは ひとつしかない。
じぶんをまもるために その ば から にげること。
きみのあしは にげるためについているんだ。
そして もうひとつのやくめは「きみをまもってくれるひと きみをわかってくれるひと」をさがして そのひとのところに いくこと…。
(一部抜粋)

ヨシタケシンスケさんから、きみがすてきななにかに、すてきなだれかに であうためのメッセージの絵本です。




「草木鳥鳥文様   くさきとりどりもんよう 」    梨木香歩 文   ユカワアツコ 絵   長島有里枝 写真    2900円+税 

月刊「母の友」に連載されていたエッセイが鶯色のクロスで装丁され、ケースに入ったすてきな一冊になりました。

古い抽斗(引き出し)に描かれた野鳥と草木。
その絵の四角の世界に思いがけない風景を与え、違和感なく鳥に命を吹き込んだ写真。
梨木さんは"ごく個人的な内界を覗き込む新しい形のバードウォチング"とあとがきに書かれています。
それぞれの鳥と草木への思いを綴られたエッセイは、深い知識のない私でさえも想像力をかきたてられ、
草のしげみに、枝に、池に棲む鳥たちの生態、生命力、優雅さ、気配、その場の風やにおいなどを 豊かに感じさせてくれます。





                               

 2021.4.


 ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、
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新刊より


   


ポプラ社


「カシャッ!」   北村 人 
バナナさーん  わらって  わらって  はい チーズ!
カシャッ!   いいおかお 
すいかさんも  たまごさんも  おまめさんも  カメラをむけると  はいっ  チーズ!
みんな  みんな  いいおかおです。
たのしいくりかえしです。
1000円+税


アリス館


「なんでもない」   鈴木のりたけ    
「とんでもない」に続く絵本です。
今度は前向きです。(笑)
カラスって みんな同じ色で つまらなさそう、 のろまな カメは いや、 一日、土の中、モグラは かわいそう…。
そんなの "なんでもない" 。
みんな みんな ポジティブなんですから。
1500円+税


理論社


「うろおぼえ一家のおかいもの」  出口かずみ 
そろいもそろって 、"うろおぼえ" のにたもの一家です。
おかあさんに たのまれて、かいものに出かけましたが、 しかくいもの?  おもいもの?  しまるもの?  つめたい…?
みんな  うろおぼえのまま  おかいものです。
おかあさんも、たのんだものを うろおぼえ…。
それでも、ほのぼのしあわせ一家です。     
1300円+税


ひかりのくに


「だんご どっこいしょ」二宮由紀子 文 長野ヒデ子 絵     
落語にもなっている笑い話です。
ごちそうになったおいしい おやつ 「だんご」
わすれないように 「だんご だんご」 と口でくりかえしていたのに、
犬にとびつかれて 「おっとっとっと」 
のらねこがじゃれてきて 「だめだめこらこら」
いつのまにか 「だんご」 の名前はどこへやら…。
一年生の教科書にでてくる おはなしシリーズ より。
1300円+税   


ブロンズ新社


「たまごのはなし」   しおたにまみこ   
ながくキッチンで、じっと ただ ころがっていたたまご。
ある日、立ち上がり、動き、話せることに気がつく。
マシュマロとキッチンの外に 散歩にもでかける。
雨の日は 考えごともする。
わたしは、いいたまご? わるいたまご?
マシュマロからは、こまったやつと…。
ひねくれているようで、すごく正直。
そんなクールなたまごのはなし。
個性的な絵とともに 引き込まれます。
1100円+税


福音館書店

「は からはじまるカルシウムのはなし」 伊沢尚子 作  ダイスケ・ホンゴリアン 絵   
土に埋めたぼくの歯から 飛び出したカルシウムは、めぐり、めぐります。
そんなカルシウムの旅を 追いかけていきます。
地球が誕生してから、水だけではなく、すべての物質は 循環しているのです。
ぼくの歯のカルシウムは、いつかだれかの歯や骨に…。
1200円+税  


あすなろ書房


「絵で見る統計 世界の国ぐに」  ミレイア・トリウス 文  ジョアナ・カザルス 絵  宇野和美・中山 映 訳   
世界の人びとのくらしぶりを、数値化して絵にあらわした "地球の「今」が学べるインフォグラフィック絵本" 
よくある名前(日本はハルトとメイ)
人気のある犬 
国ごとに見る家の広さ 
世界の朝ごはん 
義務教育の時間
学校へ行っていない世界の子どもの数 
学校の制服 
宿題が多い国(日本は8番目です)
気候 人口 宗教 言葉 ボディーランゲージもあります。
その他、インターネットやSNSなど、世界の国々の情報がいっぱいです。
大型絵本です。カラフルで楽しいイラストを見ながら、世界のいろんな国の人々のことを想像してみて下さい。
2500円+税 


小学館


「さくら村は 大さわぎ 」 朽木 祥 作 大社玲子 絵       
さくらの木がいっぱいうわっているさくら村。
こどもが生まれるたびに さくらを植えるのです。
だから、それぞれのさくらには 名前がついています。
風色の森、風色湾。畑や海の集落、そして雨かざり山には 小学校があります。
そんなさくら村では、毎日、いろんなことが起きています。
びっくりしたり、わくわくしたり…。
さくら村のゆかいなおはなしを楽しんでください。
1400円+税


あすなろ書房


「ぼくは おじいちゃんと戦争した」 ロバート・K・スミス  こだまともこ 訳    
おばあちゃんが亡くなり、ぼくたちは おじいちゃんと一緒に暮らすことになった。
ところが ぼくのお気に入りの部屋を おじいちゃんに明け渡し、ぼくは暗い3階に移るという。
おじいちゃんと一緒に暮らせる喜びは、怒りに変わり、部屋を取り戻すため、ぼくはおじいちゃんと戦争を始める。
あの手この手の攻撃と仕返し…。
映画にもなりました。
1200円+税 


理論社


「あしたの幸福」  いとう みく  松倉香子 絵      
あっけなく事故でパパが死んだ。
二人家族だった。このまま、一人で暮らしたいという願いは、まだ中学生だということでかなえられない。
突然「私と住みますか?」という電話がかかる。
赤ん坊の時に家を出た実の母だった。
おばあちゃんが言っていた"欠陥人間"。パパはユニークな人だと…。
心に距離をおいたまま 二人の生活が始まり、やがて妊娠していたパパの恋人との三人の暮らしになる。
微妙な思いが交錯していく中で、いつのまにかできてきた関係は、それぞれに幸福に近づいていく。
1400円+税 


福音館書店


「見知らぬ友」マルセロ・ビルマヘール 宇野和美 訳 オーガ フミヒロ 絵    
1970年代、アルゼンチンの独裁政治が終わりの頃、ブエノスアイレスを舞台に、ちょっとさえない「ぼく」をめぐる10編の物語。
ピンチになると 現れて助けてくれる「見知らぬ友」のもくろみとは…。
子どもの頃からよく物を失くし、人生の大半は探し物をしているという「黒い石」の行方。
フォークランド紛争で兄が戦地に行った友人の家の「立ち入り禁止」の部屋、など。
日常の中のふしぎな出来事の ちょっととぼけた味のある短編集です。
作者は 映画「僕と未来とブエノスアイレス」の脚本も手掛けています。
1700円+税 


岩波書店


「物語のものがたり」    梨木香歩     
物語のつくり手からの視点で 読み込まれた児童文学をめぐる梨木香歩さんのエッセイ。
岩波ブックレットとしても出ている「『秘密の花園』ノート」を収録。
「赤毛のアン」のモンゴメリと村岡花子、「木かげの家の小人たち」のいぬいとみこ、 石井桃子とビアトリクス・ポターなどの考察。
「読書とは、時代を超えて永遠に生き続ける作品と、限定された各々の時代を生きる個人という読者との協働作業」だという。
視野や背景を広げ、物語をより深く味わうための読書の楽しみを再発見させてくれます。
「物語をめぐって」の鶴見俊輔氏、別役実氏との座談会はとても興味深く読みました。
1400円+税 




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