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★ジオジオからのメッセージ
           




393号


地球はほぼ40億年も前から、地球なりの営みで、今もなお生き続けています。
専門的な知識はありませんが、記録的な大雨も、 突然の地震も、進路定まらない台風も、体温を超える経験したこともない熱暑の夏も、その証なのでしょう。
私たちは、またその恩恵を受けながら、尊い命を得て、大切につないでいるのです。
時としてやってくる抗うことのできない自然の力の暴走から、命を守ることを優先して、何より慎重に…と祈らずにはいられません。
たとえ夏休みの楽しみが半減しても…。こういう夏もあります。
一つしかない命です。どうぞ大切に、どうぞお気をつけて、この夏をお過ごしください。


不快な暑さの日々の中で、私たちの国も、国民の割り切れない思いを踏みつぶすようにして、あらぬ方向にころがっていきます。
それでも、それでもと思います。
私たちの国であり、私たちの子どもであり、未来です。国があっての私たちではありません。
国の暴走はひとりひとりのあきらめない意志で止められます。
その力は、盲目的に権力にすりよるものたちより強いと信じています。




「こどもあそびうた」     谷川俊太郎   山田 馨 編     1500円+税


谷川俊太郎さんのひらがな詩集です。たのしくて、おもしろくて、そしてびっくり!もする詩が50編。
知っている詩もたくさんあると思います。
読んでいると、心がはずみます。げらげら笑えます。元気がでます。
詩のむこうに、今まで見えなかった世界が現れてきます。
詩は、ことばは、とても自由です。そして生きています。
谷川俊太郎さんの詩をわくわくしながら、遊んでください。
きっと好きな詩が見つかるはず…。
谷川さんが「かっぱ」の詩を手書きされたTシャツを100名に抽選でプレゼント。本の帯に応募券。しめきり2018年11月30日



安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから   広島市原爆死没者慰霊碑の碑文

73年前の夏、人類初の原子爆弾が広島と長崎に落とされました。
核分裂の中心温度は約10000度。
その熱線と放射能は、 一瞬の内に、広島、長崎の人々と町を焼き尽くしました。
それが人類最後の核兵器使用となることを祈らずにはいられません。

が、世界にはアメリカ、中国をはじめとして9か国が、核兵器を保有しています。核弾頭の数はほぼ15000発。
武器を持たないはずの日本も、核兵器の材料となるプルトニウムを原爆6000発分も保有しているのです。
唯一の被爆国であるはずの日本の73年間の反省も含めて、人類としての過ちを、二度と繰り返さないために、
核兵器の廃絶を心から願っています。


「ある晴れた夏の朝」   小手鞠るい         1400円+税

はたして広島、長崎への原爆投下は必要であったのかどうか、

アメリカの中学生8人が、肯定派、否定派に別れて 討論会を開きます。
もちろん第二次世界大戦についても、開戦、終戦についても日本とはちがった視点で教えられ てきています。
討論の参加者は多様です。日系、中国系、ユダヤ系、アイルランド系、そしてアフリカ系。
それぞれの立場で、肯定派、否定派の意見が述べられていきます。


戦争終結のための原爆投下だったという肯定派の意見。
いや新兵器の人体実験だった。カラードの国への差別意識。真珠湾攻撃の真実は?。日本兵の中国での虐殺行為。 ナチズムなど、
討論は原爆に止まることなく展開していきます。

「今、戦争の悪をじりじりあぶりだしていくようなイベントが必要なの。」
討論会を企画したメンバーの言葉です。
読んで、考えてほしい一冊。著者はアメリカ在住。


「この計画はひみつです」  ジョナ・ウィンター 文 ジャネット・ウィンター 絵  さくまゆみこ 訳      1500円+税

ニューメキシコの名もない砂漠の町に、世界中から優秀な科学者が集められました。
まわりの人々には、何ひとつ知らされていませんでした。
研究しているのはウランとプルトニュウムを使って巨大な力を生みだすガジェットというものでした。
2年間の研究の後、とうとう完成し、トラックに積まれて広大な平原に運ばれ、その威力を試す実験が行われました。
1945年7月16日のことです。
その3週間後にアメリカ政府は日本の広島と長崎に原子爆弾を落としました。
実験の爆発地点から半径160キロの範囲で高濃度の放射能が見つかり、それは2万4000年後でないと消えないと言われています。
人々のガン発症の調査が始まったのは、ようやく2014年になってからでした。        


                                          

 2018.8



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今月の新刊より

   

  


アリス館
「みえるとか みえないとか」    ヨシタケシンスケ さく   伊藤亜紗 そうだん  
「目の見えない人は世界をどう見ているのか」伊藤亜紗 著 
をきっかけに、
ヨシタケシンスケさんが伊藤亜紗さんに相談しながら作った絵本です。
見えないことをマイナスととらえることより、見える人と見えない人が、おたがいにきちんと好奇心を持って目を向けあうこと。
ちがうところを知り「へー!」とおもしろがること、実はとても大切なことです。
「ふつうに笑いながら読んでもらえたら、一番嬉しいです。もし「なにか真面目に考えなきゃいけない」と 思ったとしたら、それは僕のミスです。」とヨシタケシンスケさん。
宇宙人がたくさん出てきて、とても笑います。
そして読み終わったあと、自分のなかの何かが変わっている。
これは、おもしろく生きていくみんなの絵本です。 
1400円+税


BL出版

「ぼくに まかせて!」    デイヴィッド・ウィーズナー     
文字なしの絵本です。
ようやく野球のチームに入れてもらった少年。外野を守ることに。
バッターの打ったボールが高くあがり、飛んでくる。
「オーライ オーライ ぼくに まかせて」 グラブを持った手を思いきりのばす。
でも、もし取れなかったら…。チームのみんなのあきれた表情がよぎる。
転ぶかもしれない…。
ボールがグラブにおさまるまでの短い時間。少年の心は不安でいっぱい。
その心象風景が見事に描かれています。
「やったー!」緊張のあとの、その瞬間!喜びが伝わります。
1600円+税


理論社
「ふくろうのオカリナ」   蜂飼 耳 文    竹上 妙 絵   
野原の駅の駅員はふくろう。
ふくろうは代々つたわるふしぎな力をもつオカリナを大切にしていました。
でもおぼえることができたのは5つの曲だけでしたが…。
ある夜、もう列車の走らない時間に、予定になかった列車にのって、生まれたばかりのひよこがやってきます。
「朝をさがしにきたんです。」と泣くひよこに、ふくろうは〈野ばら〉という曲をふきます。
〈月の船〉という曲をふくと、月に窓が開いて、うさぎのうさまるが降りてきました。
そして次にふいた曲は…。
朝がくるまでの野原の駅の一夜のおはなし。 
1500円+税


評論社

「月とアポロとマーガレット 月着陸をささえたプログラマー」 
ディーン・ロビンズ ぶん    ルーシー・ナイズリー え    鳥飼玖美子 訳   

1969年7月20日、人類ははじめて月に降り立ちました。
訳者は当時、衛星中継で同時通訳をされた方です。
そしてこのアポロ11号の成功を陰でささえたのは、マーガレット・ハミルトンという一人の女性でした。
女性が職業につくことが少ない時代、マーガレットは何にでも興味を持ち、勉強に励みました。
特に数学は大好きでした。
そしてたどりついたのがコンピューター。
NASAのアポロ計画に参加し、あらゆる問題を想定してプログラミング。
途中のトラブルも解決して成功に導きました。ほぼ50年前のことです。
大きな可能性を大切に育ててほしい。たとえ女の子であってもです。
1500円+税


廣済堂あかつき

「いっしょに おいでよ」   ホリー・M・マギー 文   パスカル・ルメートル 絵   なかがわちひろ 訳   
テロ、ヘイトスピーチ、難民…テレビからニュースが流れてきます。
女の子はこわくなります。
「こんなのはいやだ、どうしたらいいの?」
「いっしょに おいで」
とおとうさんとおかあさんは、ちょっぴり勇気をだして、小さな壁をのりこえることを教えてくれます。
ちいさなことでも、あなたのまわりはかわってくるはず。
世界をすてきなところにするのは、そんなにむずかしいことではないのかもしれません。
1500円+税 


アリス館
「まなぶ」     長倉洋海  
「いのる」「はたらく」に続く"まなぶ"をテーマにした長倉洋海さんの世界の子どもたちの写真絵本です。
習ったことを忘れないように、先生の言葉に手を合わせる女の子。
たくさんの字を書いた跡で傷ついた机は、子どもたちが夢に向かった証。
戦争が終わり、平和になって新しい学校の工事を手伝う子どもたち。
けっして恵まれた環境ではないけれど、子どもたちの表情は学ぶ喜び、学校に行ける喜びにあふれている。
心が洗われる写真ばかりです。
世界中の子どたちが学び、知ることで、子どもたち自身も、世界もきっと変わっていく。
この写真から伝わってくるもの、学ぶさきにあるものは、私たちが命をかけても守らなければいけない希望です。
1400円+税


西村書店

「私はどこで生きていけばいいの?」  ローズマリー・マカーニー 文    西田佳子 訳      
普通に暮らしている人々も、戦争が起こったり、危険がせまると安全な場所を求めて移動しなければならなくなります。
荷物をまとめ、車で…歩いて…船で…。
戦争や紛争で難民となった人たちは、2016年末時点で約6560万人と言われています。
過酷な状況におかれ、不安の中で過ごす難民の子どもたちの写真絵本です。
平和に暮らせる場所、温かく迎えてくれる国に希望をつなぎながら、今、私たちと同じ時間を生きています。
「ここで安心して暮らして」と笑顔で迎える国、人がいますように。
その一人になれますように。
1500円+税


偕成社

「わたしが少女型ロボットだったころ」    石川宏千花        
フワフワのオムレツ。「あれ?どうしてわたしがそんなものを食べなくちゃいけないの?」
わたしはロボットだった。それを忘れたまま生活するようにプログラミングされていたのだ。
でも思い出してしまった。
もう人間のふりをして生きていくことはできない。
わたしは食べることができなくなった。
ママと二人の生活。食べないわたしにいら立つママ。
ロボットだということを否定しないで、痩せてくるわたしに寄り添ってくれる少年。
置かれた状況と人間関係の中で、揺れながらも模索して自分をみつけようとする少女の姿を、摂食障害を通して描く物語。
1500円+税


小学館

「ナチスに挑戦した少年たち」   フィリップ・フーズ    金原瑞人 訳    
1940年4月9日、デンマークは抵抗することなく、ドイツ軍の占領を許した。
ドイツと戦ったノルウェーやイギリスを知る少年たちは、自転車を使ったレジスタンス活動を始める。
その活動は次第に過激になっていくが、やがて共感を得るようになり、大人たちを変えていく。
そのグループ、チャーチルクラブのメンバーだったクヌーズ・ピーダスンのインタビューやメールをもとに書かれた史実の物語。
子どもたちは国や戦争と決して無関係ではない。彼らの戦争への自問、逮捕や裁判への思い、銃殺の恐怖も描かれている。
彼らの純粋な正義感も勇気も讃えたい。ただ戦争下の恐怖を思うと、英雄視しただけでいいのかどうかも考えさせられる。
1943年の終わり、デンマークは、強制収容所行き寸前の国内のほとんどのユダヤ人をスウェーデンに送った。
少年たちの行動が大きなレジスタンスの意識につながっていったのかもしれない。
1500円+税 




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