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★ジオジオからのメッセージ
           




386 号


 2018年です。今年も、ジオジオと仲よくおつきあいくださいますよう、よろしくお願いします。

 「大三十日 愚なり 元旦 猶 愚なり」  正岡子規の新年の句です。

病床にあった子規には、私などには計り知れない思いもあったのでしょうけど、クスっと笑いました。
大晦日も元旦も変わりなく続いていく一日です。新年になったからといって、昨年の愚が、急に改まるわけではありません。

「雑煮腹 本ヲ 読ンデモ 猶 ヘラズ」  こちらも思わず笑いました。

その通りのお正月でした。新年早々、重いお腹をかかえての後悔です。
昨年は、運動不足を思い知らされた年でしたので、 今年こそは、何か体にいいことを…と思っています。
本を読んで、運動不足が解消できればいいのですが、そうもいきません。
やっぱり…体を動かさなあかんか…。

 

心の中にいつもある谷川俊太郎さんの詩です。これが、谷川さんが18歳の時に書かれた詩だということに驚きます。
悠久の時間の中で、生きること、死ぬことを、明るく見きわめた思想は、70年間、ぶれないままに、言葉を発し続けてくれています。
谷川俊太郎さんの詩集も含めて、私自身、生きていく上で、たくさんの本に助けられています。
生き続ける力をもらい、そして、 独りにはなりましたが、来るべき時の覚悟のためでもあることを楽しく自覚しながらです。
いい本に出合えること、ラッキーです。
今年も、いろんな本に出合って、みなさまと、その世界を共有できたら、こんな嬉しいことはありません。
どうぞよろしくお願いします。




 ◆    新刊 から   ◆  


  「星につたえて」           安東みきえ 文    吉田尚令 絵  1500円+税

「ワンス・アホなタイム」や「頭のうちどころが悪かった熊の話」など、(タイトルにも魅かれます。)
安東みきえさんの本は、配本にも、よく 使わせてもらいます。
この度、切なくて、ちょっと心痛い愛おしい絵本がでました。
絵は「希望の牧場」の絵を手がけた吉田尚令さん。


遠い昔。まだ海にはクラゲぐらいしか生きものがいなかった頃。
夜の海で、たったひとり浮かんでいたクラゲは星に声をかけられます。
ひとりぽっちで何万年も旅をしていた星とクラゲは、
広くて果てのない空と、広くて深い海の話を語りあって夢のような一夜を過ごします。
夜明けがきて、クラゲはたずねます。
「今夜もまた会えますか?」
                  「私はほうき星。何百年かたてば、またここを通るかもしれません。」

クラゲは大事なことを言おうと思ったのですが、体中が涙になって言えませんでした。
何百年か先がどのくらいなのか、わからないままクラゲは待ち続け、死ぬときにはその言葉を子どもクラゲに伝えました。
愛とはやっかいなものです。
長い時間がたって、相手がだれかわからないままに、その言葉は伝え続けられます。  きっと今も…。



「絵物語 古事記」       富安陽子 文   山村浩二 絵    三浦佑之 監修   1600円+税 

日本最古の歴史書である「古事記」の神話の部分を、絵物語としてまとめたものです。
人気の富安陽子さんの文、表情豊かな迫力 ある山村浩二さんの絵で、神さまたちの世界を描きます。
個性的で、人間くさく神さまらしくもない(!)生き生きとした奇想天外な話を作り上げていった私たちの遠い昔の古代の人たち、
そのユーモアのセンスにも、あらためて嬉しくなります。
神さまの名前が、なかなか覚えられませんが、国のはじまりに、こういうドタバタ(!)な物語があったこと、
この機会にぜひ楽しんでみてください。


むかし、むかし、大むかし、この世にまだなにもなかったころから、この物語ははじまります。
天と地がわかれ、神さまがつぎつぎと生まれるのですが、でもすぐに姿をかくしてしまわれるのですね。
大地はまだぶよぶよ。
そしてついに男神イザナキと女神イザナミが生まれます。この二人が国づくりをまかされることになります。
二人は夫婦になり、たくさんの子どもを生みます。といっても島です。
淡路島、四国、隠岐の島、九州、壱岐の島、対馬、佐渡の島、本州の八つ。
さあいよいよ国づくりの始まりです。でも、波乱万丈、なかなかうまくはいきません。



 2018.1



 ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、
配本に追加する、あるいは配本に入れる、 という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。         
不明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。  注文    


今月の新刊より

 
 


福音館書店


「はじまるよ」  熊谷守一 絵  ぱくきょんみ 文    

画家 熊谷守一の残された絵に、詩人のぱくきょんみが、一日の 流れの中の、自然や生きものの営みをやさしく見守 ることばをつけました。
まばゆい朝の太陽。緑の風。 蜂や小鳥。ひなたぼっこの猫。蟻…。お月さま。
心地よいことばと絵の力がみごとに調和した絵本。 
800円+税


童心社
「あいうえどうぶつえん」 詩 小林純一  画 和田誠 
改訂版です。
詩や童謡、絵本、紙芝居など多くの 作品を手がけた作家による"あいうえお"から "ん"までの詩がとても楽しい。
動物たちがユーモラスに描かれています。
リズムのある詩と和田誠さんの絵。子どもたちはすぐに覚えそうです。
1200円+税


すずき出版

「おかしな めんどり」       林 なつこ 作/絵      
とりごやから、わらのしきものごとめんどりを持ち去ったぬすっとぎつね。
わらの下には、ひよこと卵が…。きつねはそれを知りません。
きつねは、家に帰ると、ローストチキンにしようとオーブンをあたためはじめます。
めんどりは、ひよこと卵を守ろうと、知恵をはたらかせます。
物語の展開がおもしろい。
絵も生き生きしてとても楽しめます。
それにしてもきつねっていつもドジでまぬけ!
 1300円+税


BL出版
「おしり つねり」  ぶん 桂文我  え 北村裕花    
子ども向けの「親子寄席」も開かれている桂文我さんの落語絵本です。
絵は北村裕花さん。お尻の絵がたまらなくいい!
子どもながら一生懸命に働くでっちさんの落語です。
でっちのつねきちは、とてもいい子なのですが、
言われたことを覚えるのがとても苦手。
忘れた時には、おしりをつねってもらって、その痛さで思い出します。
ところが、おしりの皮が厚くなり、少々つねられたって痛さを感じません。
1300円+税


アリス館
「人情えほん 灰屋灰次郎 灰はございー」       飯野和好
飯野和好さんの絵には、いつも離れがたい魅力を感じています。
江戸時代には、通りで天秤棒をかついで物を売り買いする"振り売り"をする人がいました。
このお話は、今はあまり見かけなくなった"灰"を買い集める灰屋灰次郎の長屋の人情物語です。
ご飯を炊いたり、風呂をわかすために、薪を燃やすと必ずできる"灰"。
その灰は布を染めたり、器を作る時、和紙を作る時などに役に立ちました。
体の悪いおっかさんと暮らす正太は、いつもやさしい灰次郎が大好きでした。
ある日、長屋の壁を通して聞こえてきたのは…。
1400円+税


ほるぷ出版

「しずかに あみもの させとくれー!」 ベラ・ブロスゴル さく  おびかゆうこ やく      
作者のはじめての絵本。
たくさんの家族といっしょにくらすおばあさん。寒くなるまえに大事な編み物をしなくては なりません。
ところが孫たちがじゃまをして、まったくはかどりません。
そこで袋に毛糸玉をつめて森の奥へ。でも熊の親子が…。
おばあさんはどなります。「しずかにあみものさせとくれー。」
おばあさんは、袋をかついで山へ、月へ…。
1500円+税 


教育画劇

「おなかのなかで」  島野 雫            
池のほとりで、かもくんをのみこんだきつねくん。
でも次の瞬間、きつねくんは、大きな魚に飲み込まれてしまいます。
真っ暗なお腹の中で、ここから出られないならと、かもくんを吐き出します。
小さな光のすじが見えますが、どうしようもありません。
かもくんはのどにあったりんごを吐き出します。
そこからいもむしが出てきます。
さあ3にんは、魚のおなかから出られるのでしょうか…。
絵もストーリーもいいですね。       
1300円+税


評論社

 「あたしの すきなもの、なぁんだ?」 バーナード・ウェーバー ぶん  スージー・リー 絵   松川真弓 訳 
お父さんと女の子ならではの絵本です。
「あたしのすきなもの、なぁんだ?」「なにがすきなの?」パパとの会話が続いていきます。
なんどでもパパはやさしく、その会話に応えていってくれます。
愛と幸せがいっぱいの絵本です。
秋の公園を散歩する二人の背景の絵がすてきです。
「なみ」や「かげ」を描かれたスージー・リーさんの絵です。
女の子の成長の途中の、ほんとに大切な宝石のようなひとときです。
1400円+税 


福音館書店

「貨物船のはなし」  柳原良平 作          
速さでは、鉄道や自動車、飛行機にかないませんが、船は重いもの、大きいもの、たくさんのものを運ぶことができます。
船は、人間の生活にむすびついて発達してきました。
時代を追ってその貨物船の歴史を描いた興味深い科学絵本です。
カーフェリー。コンテナ船。液化天然ガスのタンカー。クルーズ客船。ソーラーハイブリッド船など、
たくさんの貨物船がしくみなどもわかりやすく描かれています。       
1300円+税


偕成社

「帽子から電話です」    長田 弘 作    長 新太 絵
新装版、復刊です。
43年前の作品ですが、長田弘さん、長新太さんとなれば、見逃すわけにはいきません。
電話もスマホではありません。表紙の受話器の絵がなつかしい。子どもたちにわかるでしょうか?
お父さんの青いしましまの帽子から電話がかかります。
どうやらお父さんは、コーヒー屋のテーブルに帽子を忘れてきたようです。
「早く取りに来て」という電話です。
半信半疑ながら、ぐいぐいと物語に引き込まれます。あぁ~いいなあと…。
1200円+税 


あすなろ書房

「テディが宝石を見つけるまで」   パトリシア・マクラクラン    こだまともこ 訳     
巻頭の作者の言葉。
「犬は、言葉をしゃべります。でも詩人と子どもたちにしか聞こえません。」
共に暮らした詩人シルバンさんが亡くなり、つらい日々を過ごすアイリッシュ・ウルフハウンド犬  テディは、
吹雪の中、途方にくれる幼い兄妹を救い、家に連れてきます。
連絡が途絶えたままに数日を共に過ごす間、テディは詩人との暮らしを二人に語ります。
やがて再び、別れの時が…。でもシルバンさんがテディに残した言葉の奇跡が起こります。
1200円+税


あすなろ書房

「笑う化石の謎」    ピッパ・グッドハート    千葉茂樹 訳   
19世紀末、ダーウィンの進化論によって、キリスト教信仰の支配に変化がおきようとしていた頃、
イギリス、グランチェスター村では、コプロライトという資源が良質な肥料になることがわかり、村の暮らしが一変。
ビルの父は園芸家の仕事を失う。
13歳のビルは家計のためにコプロライトの採掘場で働くようになるが、そこで見つけた化石が売れることを知る。
科学者シーリーから化石の知識を得たビルは、ある日採掘場で笑うワニの化石を発見。
それで苦境を救おうと、なんとか手にいれようとするが…。
変わろうとする村。ビルに隠された家族の秘密。
そしてビルが見つけた化石の正体とは…。
1500円+税




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