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★ジオジオからのメッセージ
           



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381 号


暑い、暑いとぼやいているうちに、8月7日は立秋、そしてお盆、夏も、夏休みも後半に向かいます。
エアコンの涼しさの中で本を片手にうとうと...、そんな怠惰な夏も許されるかな...と、あまり外へは出ず、ジオジオに潜んでいます。

子どもたちは、暑さをものともせず、元気ですね。そのエネルギー、たのもしく思います。
夏休みの宿題、みんな、がんばっているかな?と、よけいなお世話です。
"記憶にありません。 記録にありません。 廃棄しました" こういう手もある...
だめですか...。

空しい答弁が続く大人の世界を見ていると、現代の妖怪よりも、古来からある妖怪のほうが、ずーと愛らしく、親しみを覚えます。
いや、年を重ねるうちに私自身が妖怪に近づいてきたから、そう思えるのでしょうか。
砂かけばばあ あたりで かわいくいきたいな...。


 おかべ りか さん 突然の訃報です。          

1950年生まれのおかべりかさん。亡くなることなど思いもよりませんでした。
ジオジオでも人気のシリーズ「おばけやさん」の7巻が出た ばかりでした。
親と離れて暮らす主人公のたもつは、おばけやさんの仕事をしながら働く小学生です。
おばけを貸し出してほしいという いろんな依頼がきます。
その設定が、なかなかおもしろく、私も楽しんでいました。
時々手紙がくる両親が、登場しないままに...。

「よい子への道」「コドモの定番」 絶版になっている作品。たくさんの挿絵。
おかべりかさんが描く子どもは、大人の私たちが忘れていた 子どもの目線、とまどいや不満、嬉しさなどがストレートに出ていて、
肩の力が抜け、子どもたちと一緒にゲラゲラ笑えます。
子どもに寄り添ったユーモア精神と、この絵の才能が失われたこと、残念でなりません。


復刊されました!   「コドモの定番」          おかべりか     1200円+税


ころぶ→泣く



ソフトカバー新装版 「ピラミッド帽子よ さようなら」    乙骨淑子   長谷川集平 イラスト        1600円+税

ジオジオを開店した頃に、清水眞砂子さんの 「子どもの本の現在」(絶版)の乙骨淑子論を読み、この作家の作品を読むようになりま した。
この 「ピラミッド帽子よ さようなら」 は、乙骨さんが、死を生きながら書き続けた最後の作品であり、未完に終わっています。
40年前の作品になりますが、物語の豊かさは、古さを感じさせません。
未完の部分への可能性も含めて、ぜひお楽しみ下さい。


映画「君の名は」の新海 誠 氏の解説が巻末にあります。
数学の成績が1だったことにショックを受けた洋平は、少しは頭が良くなるんじゃないかと、
ピラミッド帽子のパワー頼みで、それをかぶって勉強する。
ある時、そのピラミッド帽子をかぶっている時だけ、 向かいの棟の空室のはずの404号室に灯りがともることに気づく。
映像研究会の先輩クマさんとその謎を解こうと404号室を訪れ、洋平が魅かれている ゆり とそっくりの少女に出会う。
そして、その少女に導かれて、映像研究会のメンバーと共に地球の内部にあるというアガルタという世界に出かけることになる。
地球空洞説、エジプト文明、消えたアトランティス大陸の謎、過去の地球に何があったのか...。



「 「いる」じゃん 」       くどうなおこ 作 松本大洋 絵     1600円+税

帯に"うれしいなあ。松本大洋との合作って"という くどうなおこさんの言葉があります。
くどうなおこさんと松本大洋さんは、親子です。
松本大洋さんは漫画家であり、絵本「かないくん」の絵を描かれた絵本作家でもあります。
母の詩から浮かび上がるイメージを、大きく、 あたたかな包容力で受け止めた絵のように思います。
ゆったりと心地よく、肌にふれるような絵と詩です。
年齢を重ねて、こういうコラボができること、親子ならこその信頼感と太い絆を感じます。


ひとりじゃない  「いる」じゃん
太陽 地球 光 風 雨 トマト 葉っぱ テントウムシ ダンゴムシ ミミズ...
ぼくは 「ひと」
太陽が ウッス  今日が イエイ  つなぎあいたい空っぽの手   
なかま 「いる」じゃん 

やわらかで、嬉しく、そして少し泣きたくもなる...
スケールの大きい幸せな浮遊感を感じさせてくれる絵本です。



「すごいね!みんなの通学路」           ローズマリー・マカーニー(国際NGOプラン) 文  西田佳子 訳   1500円+税    


映画「世界の果ての通学路」を見た時の感動がよみがえりました。
学校へ行く。
行けない子どもたちもいます。学校への道のりが困難な場合もあります。
災害によって学校が壊れてしまったところもあります。
飲み水や机をもって通学する子どもたちもいます。
川をわたって、山を越えて、崖を登って、動物に乗って。
どんなに大変でも、子どもたちは学校に行きます。 そこには、未来につながる希望があるからです。
世界の国々の子どもたちの通学路の写真絵本です。



 2017.8



 ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、
配本に追加する、あるいは配本に入れる、 という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。         
不明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。  注文    


今月の新刊より




あすなろ書房


「夏がきた」      羽尻利門 作        

朝から元気なセミの声。今年もまた風鈴の音。お茶が冷たい麦茶になり、「あーそーぼー」という友だちの声。
海に向かって走る子どもたち。海開きの準備の大人たち。まちにまったぼくらの季節。
なつかしさあふれる夏です。
でも、作家の方がお住まいの四国は、今もこういう夏なのでしょうね。
夏の音、夏の青。夏の風。夏の空気、夏の子どもたち。夏の暮らし。
どのページにも、夏!心弾む、躍動感いっぱいの絵本です。
1300円+税


佼成出版社
「ようかい りょうりばんづけ」   澤野秋文   
とうふこぞう、ざしきわらし、すねこすり、
妖怪の三人は、人間の世界で妖怪好みのおいしいものを探す「グルメふくめんちょうさいん」です。
ある日、見つけたおとうふのおいしいこと!
"ようかいりょうりばんづけ"の大関です。
妖怪たちがおしかけます。ところが、いつのまにかおとうふの味が...。
出てくる、出てくるユーモラスな妖怪がいっぱい! 楽しい絵本です。
1300円+税


福音館書店
「手おけのふくろう」ひらののぶあき ぶん あべ弘士 え         
北国の里山、民家のそばのサクラの木で毎年子育てをするふくろう夫婦。
ある年の春、そのサクラの木が倒れてしまいました。
父さんふくろうは、新しい巣を探しますが、見つかりません。
そんな時、民家の軒下にぶらさがっている手おけを見つけ、
そこを巣にして子育てをすることに...。
ふくろうの子育ての様子と人との共生を描いた心あたたまるおはなしです。
1400円+税


アリス館

「海のぷかぷか ただよう海の生きもの」 高久 至 写真 寒竹孝子 文   
海には、ぷかぷかくらす生きものがたくさん。
魚や、エビ、カニのなかまは、こどもの時にぷかぷか。
クラゲやカメガイのなかまは、一生ずっとぷかぷか。
何メートルもあるクラゲから、ほんの数ミリの小さなエビやカニのあかちゃんまで。 すきとおったもの、ふしぎなすがたのもの。
大きさも形も生き方もさまざまです。
美しい写真絵本です。
1400円+税


ほるぷ出版
「エルマーとブルーベリーパイ」 ジェーン・セアー さく シーモア・フレイシュマン え おびかゆうこ やく    
1961年にアメリカで出版された絵本です。
ようせいのエルマー。 姿は誰にも見えません。
庭のブルーベリーで作ったパイの残りを食べたエルマーは、とろけるように甘い その味を忘れることができません。
もう一度、作って もらおうとあの手この手でアピールしますが、なかな か思いが届きません。 
楽しい幼年読み物です。
1400円+税


偕成社

「靴屋のタスケさん」  角野栄子 作  森 環 絵           
1942年 夏、おもて通りに引っ越してきた靴屋のタスケさん。
一年生のわたしは、毎日タスケさんの仕事を見に行った。
もう材料の革は手に入らない時代、タスケさんは靴の修理をし、大切にとっておいた革で自分の靴を作った。
そしてわたしも無理を言って赤い靴を 作ってもらった。
やがて、目の悪いタスケさんも戦争へ行き、私たちが疎開している間に、
家も、タスケさんの 店も、赤い靴も焼けてしまった。
靴職人さんの仕事を 飽きず見ていた子どもの頃。
いつのまにか忘れていた 戦争の日々の中での思い出がよみがえる。
1200円+税

● 人気のシリーズ  続編  が 出ています。 ●
         


BL出版

「お化けのおもてなし」    川端 誠       
お化け屋敷に住むお化けたちのゆかいなおはなし。シリーズ5冊目 です。
お化けたちのところに、お化け郵便が届きます。座敷わらしと袖ひき小僧が遊びにくるというのです。
「うわーい」とみんなでおもてなしの準備です。
ひょろけが竹を切り、一つ目小僧が野菜を収穫。三つ目の大入道が小麦粉をこねます。
ろくろっ首と砂かけ婆はいなり寿司のお昼を用意。
ふたりが到着しました。お化けのおもてなしは、なにかな? 夏!ですね。
1300円+税


講談社

「おさるのよる」     いとうひろし 作・絵       
ぼくは おさるです。みなみのしまに すんでいます。で、はじまるこのシリーズ10冊目になります。
おさるのくらしが、のんびりと楽しそうで、それでいて哲学的です。
しみじみといいのです。
あたり前のように、朝をむかえていたのに、ある夜、目が覚めて、ぼくは全然ねむれません。
夜、よくおしっこにおきるおじいちゃんは、昼間より夜となかよしだと言います。
昼間が特別で夜が普通なのだといいます。
おじいちゃんの言葉はいつも、なかなか深いのです。 
1200円+税


偕成社

「アイちゃんのいる教室 6年1組にじ色クラス」高倉正樹 文・写真        
1年、3年、そして6年と3冊目になります。
漢字が好きで、絵が好きなアイちゃんとクラスのみんな36人。
クラスの合い言葉は「みんな輝け!にじ色に」
にじ色に対する36人の思いは みんなちがいます。
虹のかくれている半分は、いじめや 悪口かもしれない。
できないの?やらないの?ダウン 症のアイちゃんへの思いも揺れ動きます。
「なんにでも 答えがあると思わないで」先生の言葉です。
1200円+税


ポプラ社

「ファーブル先生の昆虫教室 2 昆虫研究の楽しさ」   奥本大三郎 文  やましたこうへい 絵   
朝日小学生新聞に連載されているこのシリーズ、1冊目は大人気でした。
虫の生態の不思議さ、おもしろさに、昆虫好きには見逃せないシリーズです。
わかりやすくて楽しいイラストも魅力です。
牛乳は飲んでも、脱脂粉乳はペッと吐き出すカマキリ。
サソリの毒が効かない虫がいる!などなど。
観察と実験をくりかえしたファーブルの世界に、ぜひ親しんでください。
1800円+税


講談社

「青春は燃えるゴミではありません」    村上しい子     
「うた部」 3冊目。桃子は高校3年生。うた部の部長です。
ある日、桃子は両親から、父の仕事の事情で、パティシエの専門学校をあきらめるように言われます。
うた部にも新入生が入部し、老人養護施設、天授苑での交流など 部活動に力を入れながらも、
桃子は、進路が思い通りにいかないことで、3年生の綾美や彩との関係もぎくしゃくしてきます。
そして今年は、天授苑の入居者 重朗さんとのある約束もあって、
宮崎の日向市で行われる牧水短歌甲子園に参加することになります。
それぞれの思いを三十一文字にこめて...。完結編 
1500円+税


ほるぷ出版

「もうひとつのワンダー」  R・J・パラシオ  中井はるの 訳      
顔に異常があるオギーが学校に来たことで、オギー自身、クラスメイト、家族、それぞれの立場から、一年を描いた前作「ワンダー」。
オギーを受け入れられず、転校をする道を選んだジュリアン。
幼なじみのクリストファー。同級生のシャーロット。
オギーの存在も加えての3人のそれぞれの物語を描きます。
子どもたちは、人とのかかわりで、悩み、迷い、そして変わり、成長して いきます。
とりわけオギーをいじめていたジュリアンは気になる存在でした。
そしてジュリアンも変わります。
その物語には心を打たれました。  
1500円+税




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