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★ジオジオからのメッセージ
           



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379 号


6月。ジオジオは選書会の季節になります。
毎年、お声をかけていただいている小学校ですので、比較的新しい本を選本して、お持ちすることになります。
学校それぞれに、いろいろと思い巡らせながらの本選びです。

体育館や多目的のホール、図書室などに100冊~200冊の本を 並べて、子どもたち自身が選んで図書室に入れる本を決める、
この試みを始めたのは、もう30年も前になるでしょうか…。
たくさんの本との出合いの場になり、本に興味を持つきっかけになれば…と
亡くなったジオジオのおじさん、図書の先生、ボランティアの 保護者の方たちと試行錯誤しながら続けてきた選書会です。

年齢的なこともあって、毎年、いつまで続けられるのだろう…という思いも ありますが、
こんなおもしろい事、やっぱりやめられないなあ~というのが、正直な気持ちです。今年も楽しい選書会になりますように。

こうやって学校で、そしてブッククラブで、またジオジオでの子どもたちとの出会いはジオジオの宝物です。
たくさんの子どもたちが、成長していく間でいっとき、ジオジオに立ち寄り、ジオジオを通り過ぎていってくれることは、
本屋を続ける上での何よりの私の喜びです。

ジオジオでどんな本に出合って、どんなふうに励まされ、心に残り続けていくのだろう...。
そしていつか自分の子どもたちに、出合った物語のすばらしさや、それにまつわる思い出を語ることがあるかもしれない。
本を買っていただくことの先にある子どもたちのこれからの人生に思いを馳せては、温かい気持ちになります。


どうぞ、子どもたちが、安全で、平穏な社会で成長していきますように。
そして自由に夢を追いかけられる平和な時代を、子どもたちに バトンタッチしていかなければ…、
子どもの本屋としての思いはそこにつきます。



 「 河童のユウタの冒険 」 上巻 下巻      斎藤惇夫 作  金井田英津子 絵           各2500円+税


北国の海に近い湖にひとりの河童が棲んでいました。名前はユウタ。
いったい何歳でいつからその湖に棲んでいるのか誰も知りません。
それでも、虫も魚も鳥も動物たちも、みんなわけへだてなく遊んでくれるユウタが大好きでした。
ある年の春の夕暮れ、ユウタは見なれないキツネから声をかけられます。
キツネの娘アカネとユウタは、龍川の水源をめざして旅にでることになっているという。
傷ついた白鳥、カナタをおいての思いもかけなかった旅立ち。

目的もわからないままに、アカネと途中で加わった天狗 ハヤテ、3にんは、行く先々で鳥や動物たちに助けられながら水源をめざします。
おいかけてくるカラスの群れ。無数の不気味な黒い影。味方なのか敵なのかもわからない。
3にんは、自分自身がいったい何ものなのか、何が魔法なのか、旅の目的は何かを考え続けます。
やがて3にんの姿が人間に見つかり、追われることに…。
追われながらも水源をめざす3にん。何があるのか、そこで何が起こるのか…。


「冒険者たち」シリーズの著者 斎藤惇夫さんによるこの作品は、
瀬田貞二さんの「天狗が最後の戦いに挑む物語を書きたい。」という 一言。
そして亡くなる前の「これほど自然破壊がすすんでは、もう天狗の話は書けない」とつぶやかれ、
そのアイデアを譲ると言われた ことから導かれた物語だと あとがき に書かれています。

かつては豊かな自然の中で、人々の心に畏れとともに、ちゃんと存在していた日本の妖怪や妖精。
私たちがいつのまにか、忘れたものたちです。
自然に対して傲慢になり、心の故郷を失っているのは人間だけかもしれません。
取り返しのつかない自然の破壊、罪のない無数の生きものに無念の死をもたらした2011年の原発事故も、物語は避けてはいません。
河童、九尾の狐、天狗たち3にんが水源での役目を果たした後も、それぞれに生き続けていくことは、著者の希望であり、願いだと思います。

上下巻ともに、その本に厚みに、最初はちょっととまどいますが、読み始めたら一気に…魅力あるおもしろい物語です。



「子どものアトリエ  絵本づくりを支えたもの」    西巻茅子    1400円+税

絵本 「わたしのワンピース」 に、幼い頃を重ねる人は多いと思います。
そのラフスケッチ なども含めて、絵を描くこと、そして絵本をつくること、子育ての話などが書かれた初の エッセイ集です。

絵の教室"子どものアトリエ"で出会った子どもたち、ご自身の二人の 子ども、
幼い頃の自分、西巻茅子さんは常に子どもに向けて、絵本を作ってきたといいます。

なぜ、大人になると描けないのか、子どもの生き生きした表現を失ってしまうのか、
十代で身につけた絵の技術はいったん捨てて、
アトリエで出会った子どものように、心をこめて、無欲で楽しみながら絵を描くしかないと…
数々のロングセラー絵本が生み出された理由がここにありそうです。




■シリーズの続編が出ています。  また配本にも入れていきたいと思ってますが、ご希望のかたはお知らせください  

■ 「おたすけこびとのにちようび」       なかがわちひろ 文  コヨセ・ジュンジ 絵  1500円+税    
■ 「おばけやさん 7 てごわいおきゃくさまです」        おかべりか 作・絵    1000円+税   
■ 「ポケット のはらうた」     のはらうた選詩集です。    くどうなおこ 詩 ほてはまたかし 画  1700円+税    
■ 「キキに出会った人びと 魔女の宅急便 特別編」「キキとジジ 特別編 2」 角野栄子 作 佐竹美保 画 各1300円+税  
■  「サバイバーズ 5 果てなき旅」 エリン・ハンター 井上 里 訳  1500円+税   「ウォーリアーズ 4期 夜のささやき」も!                                            
■ 「続・カンヴァスの向こう側 リディアとトラの謎」     フィン・セッテホルム 枇谷玲子 訳  1500円+税  

 2017.6



 ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、
配本に追加する、あるいは配本に入れる、 という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。         
不明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。  注文    


今月の新刊より


                                               


童心社


「おさるのこうすけ」    武田美穂        

おとうとって、かわいい?かわいくない?
わたしのおとうとは、おさるみたい。どこにでも ついてきたがる。
こっそりでかけてもおいかけてくる。
きょうのおまつりも、「おねえちゃんと いくんだ」とついてきた。
こうすけがいるから、わたし、ぜんぜんたのしくない。ちっともおとなしくしていない。
で、ちょっとしたできごころで…。
おねえちゃんってつらいね。
でも、こうやって姉弟になっていくんだね。わかるよ。
1300円+税


教育画劇
「ほうちょうさん ききいっぱつ」  みやにしたつや 作・絵     
ここは だいどころの とだなの中。
さいばし、おなべ、しゃもじ…。もう二日も出番がありません。
カップめん、レトルトカレー、パックのごはんたちが大活躍です。
とうとうがまんできなくなったほうちょうさんがとびだします。
カップめんにとびかかろうとしたとき、止めにはいったまないたのおやぶん。
料理の道具はけんかしちゃいけねえ、しんぼうしてくれぇ。
そして、ついに腕をふるう時が…。ハンバーグ、コーンスープ、カレー。
この家の母の病気が良くなったのです。
カップめんたちとも仲直りです。 どちらも美味しい!よね。   
1100円+税


白泉社
「つまんない つまんない」   ヨシタケシンスケ      
つまんない つまんない どうして?だれのせい?
つまんないってなんだろう。つまんない について、いっぱい考える男の子。
「ずーっと なにかが おなじ」っていうのが つまんないのかな。
ダンゴムシは「つまんないな」っておもうんだろうか。
つまんない人が 300人くらいあつまったら、おもしろくなるのかな。
それとも300ばい つまんなくなるのかな。
つまんない を考える続けるっておもしろい。
でも、大人ってつまんないかも…というオチもおもしろい。
つまんない時は、ヨシタケシンスケさんの絵本を読もうね。
1300円+税


岩崎書店

「ねぇ、しってる?」  かさい しんぺい 作   いせ ひでこ 絵    
あんなに おにいちゃんになるのを楽しみにしていたのに…。
弟ができると、ちょっとへんてこな気持ち。
空色のぞうのぬいぐるみ、そらさんに、はなしかける。
「ねぇ、そらさん、ぼくは もう、おかあさんのだいじっこじゃなくなったのかも…」
そんな時、そらさんが、とってもいいことを教えてくれた。
おかあさんのはなし、そらさんのはなし。そして ぼくのはなし。
みんながきみのことを待っていたんだよ。だいじな、だいじっこだったんだよ。
弟、妹ができることで、乗り越え、成長していく一時期を、心温かくなるストーリーと絵で描きます。 
1500円+税


福音館書店
「このあいだに なにがあった?」 佐藤雅彦+ユーフラテス  
NHK Eテレ「ピタゴラスイッチ」の企画、制作者である佐藤雅彦さんとそのグループによる科学絵本。
福音館の月刊誌"かがくのとも"がハードカバーになりました。
事の"前"と"後"の2枚の写真から、その間にどんなことが起こったのかを推理します。
次のページの写真で、種明かしがされますが、なかなか、どれもドラマがあります。
いい企画です。幼い子どもさんも一緒に、ご家族で楽しむのもいいですね。  
900円+税


講談社

「ちょっと おんぶ」  岩瀬成子 作 北見葉胡 絵          
○月○日 ではじまる7つのおはなしが入っています。
もりあがってる地面につまづいて、ころぶと「ちぇっ」という声が聞こえます。
もぐらさんです。「まぶしい」「あなをほってるんじゃないか」おこっているようです。
夜、庭に出て、フクロウの鳴き声を聞いていると「ねえ、ちょっとおんぶ」クマの子です。
おかいものの帰り、みちばたの草のかげで「さむい さむい」と言っているのは、とかげのしっぽです。
つきちゃんは、声が聞こえるのです。おはなしもできます。
家にはネコのヨモギがいます。 つきちゃんのひとりで過ごす時間のおはなしです。
1350円+税


ブロンズ新社

「アームストロング 宙飛ぶネズミの大冒険」     トーベン・クールマン 作   金原瑞人 訳    
「空飛ぶネズミ リンドバーグ」の第2弾。
1969年7月、人類ではじめて月の表面におり立った飛行士アームストロングは、月面で何を目にしたでしょうか?
それよりさかのぼる1955年、月はチーズだと思ってる仲間のネズミに
「月はまるいでっかい岩だ」と発表するかしこい小ネズミがいた。
でもだれも信じない。
ある日、ニューヨークから一通の手紙が届く。
それはかつて大西洋を飛んだ 空飛ぶネズミ リンドバーグからだった。
小ネズミは、ニューヨークまで行き、空飛ぶネズミに会い、 「だれよりも先に月にいってやるぞ!」と 決心する。
街に戻った小ネズミは、図書館に 通い、大学の授業にしのびこみ、宇宙服を研究し、宇宙カプセルを作り…
失敗と実験を何度も重ね、ついに…。
応用科学大学でイラストレーションやデザインを学んだ作者の 緻密で質の高い絵で、スケールの大きいストーリーを楽しめます。
「リンドバーグ」は27言語に翻訳されています。
 2500円+税


講談社

「絵本 江戸のまち」     太田大輔      
関西にいて、あまりなじみがないにしても、江戸にタイムスリップ してしまったようなわくわくした気持ちになります。
妖怪小僧の案内で、400年前に徳川家康が作った江戸の町を楽しみます。
隅田川と両国橋。日本橋と魚河岸。品川と御殿山。浅草。そして江戸の火事。
にぎやかな大通り。高輪でのお月見。長屋のお正月。
隅々まで丁寧に描かれた綿密な絵から江戸の町の活気、人々の表情や暮らしがいきいきと伝わってきます。
大火で江戸城の天守閣が焼け落ちたことから、火事の時に逃げられるように作られたのが大きな両国橋など
知識も盛りだくさんです。
妖怪小僧はどこに?絵探しの楽しみもあります。
江戸の文化に造詣の深い絵本作家による思い切り楽しめる江戸絵本です。
1600円+税


西村書店

「楽しい川辺」    ケネス・グレアム 作  R・イングペン 絵  杉田七重 訳 
新訳、そしてロバート・イングペンの情感あふれる美しいさし絵による豪華愛蔵版です。
(横書き版)
ケネス・グレアムが自分の息子のために作った100年を超えてなお愛され続ける名作。
動物ファンタジー物語です。モグラ、ネズミ、ヒキガエル、アナグマ、ウサギ…。
それぞれの個性のユーモラスなこと。
イギリスの田園でくりひろげられる心おどる冒険。
自然の美しさ、豊かさが文章から伝わってきます。
さし絵が見事で、さらに想像力をかきたてられます。    2200円+税
岩波書店の石井桃子・訳の 「たのしい川べ」 も、ハードカバー、少年文庫ともに版を重ねているロングセラーです。
E・H・シェパード 絵 石井桃子 訳     2000円+税    文庫 760円+税




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