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★ジオジオからのメッセージ
           



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361 号

今年も ジオジオと おつきあいしてくださって ありがとうございました。


12月、今年も終わろうとしています。残念ながら、たくさんの宿題を残したままの年の瀬です。
“来年のことを言うと鬼が笑う“ ですが、鬼も、笑っている場合ではありません。
2016年は、なんとかそのたくさんの宿題に、いい答えが出せる年になってほしいと心から思います。いえ、出さなくてはいけませんね。

願うのは、子どもたちが未来に希望の持てる平和な時代を生きて欲しい、それだけです。
私たちに、今、出来ることはなにか…。大きく、大切な宿題です。
子どもたち、孫たちに、戦争や差別、貧困、放射能の恐怖を残すかもしれない責任は、時代に鈍感だった私たち大人にあるのですから。
来年は必ず選挙にいきましょう!  ここからです。


今年もみなさまに本をお届けできたこと、幸せに思っています。
配本を考える時は、それぞれのお子さまたちのご成長を感じさせていただきながらです。
ブッククラブでお付き合い頂いて、10年をこえるお子さまもたくさんいらっしゃいます。20年(お子さま!?)になる方も…。
ほんとに感謝しています。
楽しんでいただけているかな…といつも気になっていますが、
本の感想や、続きを早く読みたいとか、また お母さんから「元気をもらえました~」など、おたよりをいただくと何より嬉しく、励まされます。

どうやって本を選んでいるのですか…とよく聞かれます。
申し訳ないのですが、子どもの成長に合わせて綿密な理論のもとで熟考を 重ねた結果…とは、正直、言えません。ごめんなさい。
根底にあるのは、子どもたちに 「笑ってほしい! ワクワクしてほしい! おもしろかった!と言ってほしい! 知らなかった~と驚いてほしい!」
そんな本に出合える手助けができたら…これが本を選ぶときの気持ちです。

一冊の本から広がっていく想像の世界は、みんなちがってあたりまえですし、それは個人的な、自分一人の楽しみです。
いい子、賢い子という理想の子ども像を念頭に置かれて、本を与えられるのは、子どもにとっては、この上もない迷惑なことではないかと思います。
この本を読めば “いい妻になれる、いい母になれる” なんて本は私も読みたくもありませんので。(笑)

本を読むのは、こっそりとかくれて、思いもしなかった世界に没頭できる至福の時間です。
「宿題すんだの!」という言葉の侵入もまま、あるとは思いますが…。
また心地よい(たまには眠そうな)そばにいてくれる人の声から想像する世界も、幼い子どもたちにとっては、 言葉にできない不思議な絵本の魔力にちがいありません。
心の中にそんな不思議や目に見えなくても胸躍らせてくれる世界を受け入れる場所を持つことは、
いつか一人でも楽しく生きる力になっていくにちがいない。 本の世界に助けられて生きてきた私の、ブッククラブの子どもたちへの願いでもあります。

こんなジオジオですが、もう少しの間、がんばって続けていけたら…と思っています。    来年もどうぞよろしくお願いします。


エリック・カールさんの新刊です! 「いちばんのなかよしさん」 エリック・カール 作 アーサー・ビナード 訳     1400円+税

ジオジオのブッククラブの配本は、エリック・カールさんに ずいぶん助けられています。
「はらぺこあおむし」をはじめとして「くまさんくまさんなにみてるの?」 「1・2・3どうぶつえんへ」 「パパ、お月さまとって」などなど。
届いていらっしゃる方も多いと思います。

色を染めた紙を、形に切り抜いて 貼りつけるというコラージュの手法で 表現された絵本の世界は、
豊かな色彩、ダイナミックな絵、ユーモラスで驚きと 遊びがあって、子どもはもちろん、大人も引き込まれます。
私の好きな「えをかく かく かく」という絵本の中での エリック・カールさんのことば。

「えをかくこと それはのびのびといきることだ。まちがったいろ?そんなものはない」

そのご活躍、そして、こうやって新しい絵本に出会えること、とても嬉しく思います。エリック・カール絵本美術館、行ってみたいですねぇ。


幼くして アメリカからドイツに渡り、仲良しだった幼なじみの女の子との別れ、
それでも会いたいという気持ちをずっと持ち続けた エリック・カールさん自身の思いを もとにしてできた絵本です。

なかよしは二人から始まる。そのなかよしの女の子との突然の別れ。男の子は女の子を探して会いに行こうと決めます。
川を泳ぎ、星の下で眠り、でっかい山を登り、草原を進み…。そしてついに女の子に会えた。「けっこんしよう!」
男の子の会いたい気持ちが、川や山、草原や森のおおらかな絵に反映されています。
この絵本が世に出た後、思いがけずエリック・カールさんは、80年前に別れたその友だちが、元気でいることがわかったそうです。
会いたいという気持ちが「むかし」と「いま」をつなげたのですね。



おもしろいです!人文字の絵本

 「ひともじえほん」   こんどうりょうへい さく かきのきはらまさひろ こうせい やまもとなおあき しゃしん     900円+税


人の体で50音のひらがなをつくってみようという絵本です。  楽しそう、ちょっと苦しそう(笑)

あ・そ・ぼ




2016年が、世界中の子どもたちにとって、笑顔の絶えない、平和な年になりますように。

私たち大人が、そういう平和な世界をめざすために 強い意志と勇気を持てますように。


 2015.12



 ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、
配本に追加する、あるいは配本に入れる、 という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。         
不明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。  注文    


今月の新刊より



鈴木出版


「どうぶつ ドドド」 矢野あけみ 

はじめに ねずみを ちょこり!とおきます。
となりにうさぎを ぴょこん!あらいぐまを ぽこん!となりにコアラを もそ!
となりにならぶどうぶつが だんだん大きくなっていきます。
なにが はじまるの?
はじめにもどって、ねずみを ちょん!とおせば…。
ドドドドー。ページがながくのびてドミノたおし。
1200円+税


ひかりのくに

「おべんとう」    さとう めぐみ 作・絵   
まえからも うしろからも よめるえほん。
おべんとうをつくりましょう ♪
からあげ、きゅーちく、チーちく、おくらチク、ブロッコリー、たまごやき、えびフライ…。
おべんとうができました。いってらっしゃーい。
ここで本をひっくりかえして、
おべんとうのじかんです。おなかぺこぺこ、いただきまーす。
850円+税


アリス館

「あと、いくつ」    ひろかわさえこ     
あと、ななつ ねたら おばあちゃんのうちへいく日。
つぎの日はあと、むっつ ねたら。つぎの日は、あと いつつ…。
くるみちゃんはたのしみで、たのしみでしかたありません。
おかあさんは りんごジャムをつくり、 おとうさんは、おばあちゃんにあげる しゃしんをえらんでいます。
いよいよ あしたはおばあちゃんのいえにいく日。
くるみちゃんは、おばあちゃんのために お花をつみますが…。
まつことのしあわせが くるみちゃんを通して伝わってきます。
そしておばあちゃんも、また…。
1400円+税


岩崎書店

「えほんからとびだしたオオカミ」   ティエリー・ロブレヒト 作 グレゴワール・マビール 作
ゾーイの本棚にはいつも本がいっぱい。
ある日、絵本が一冊、床の上におっこちてきて、中から、オオカミが一ぴき、ころがりでてきます。
太っちょネコにおいまわされて、絵本の中に逃げこむけれど、
ページが ちがったり、おはなしが ちがったりで、追い出されてばかり…。
いきあたりばったりで 入った絵本は森の中、一人の女の子が泣いていた。
オオカミにぴったりの お話の絵本のようです。
オオカミの あわてぶりがおもしろい。
1300円+税


ほるぷ出版

「おじいちゃんのコート」 ジム・エイルズワース 文  バーバラ・マクリントック 絵   
長く愛されてきたイディッシュ語(ユダヤ語)の民謡を もとにしたお話です。
移民としてアメリカに渡ってきた人たちは、よく働き、物を大切にしました。
おじいちゃんは、洋服の仕立てやになり、いっしょうけんめい働き、おばあちゃんと出会い、結婚しました。
結婚式のために作ったコートを どこへいくにも着て、とうとうぼろぼろに…。
そこで、おじいちゃんは それをすてきなうわぎに…。 そしてべストに…。
家族の歴史も、コートに合わせて楽しめます。
最後は 孫のためのおもちゃに…。
すてきな絵本です。
1600円+税


BL出版

「スワン アンナ・パブロワのゆめ」 ローレル・スナイダー 文  ジュリー・モースタッド  石津ちひろ 訳   
バレエは 一部の人だけの高尚な芸術ではなく、万人に楽しんでもらいたいと、辺境の地にも出かけてバレエを踊ったという
伝説のバレリーナ、アンナ・パブロウの人生を、美しい絵で描いた絵本です。
ロシアの貧しい家に 生まれたアンナが、お母さんに連れられて劇場で 観たバレエ 「眠れる森の美女」で
アンナの人生が変わります。
10歳でバレエ学校に入学し、ダンサーとしては 弱々しく華奢すぎる体を、
努力で克服し、 その表現力と踊りで 世界一のバレリーナへと成長していきます。
バレエの世界を描いた絵がとても楽しめます。
1600円+税


福音館書店

「オオサンショウウオ みつけたよ」 にしかわ かんと ぶん  おおき あさみ え   
オオサンショウウオ、なじみがなくて 水族館などで見てもちょっと不気味で不思議な生きものです。
寿命は 60年とも70年とも言われています。長生きなんですね。
17歳くらいで 大人になります。なんだか 人間に近いような気がします。
その生態を、日本の風景と 人間の暮らしを合わせながら 描いていきます。
3000万年前の姿と変わっていないオオサンショウオは 生きた化石と言われていますが、
今、その生存をおびやかしているのは、実は人間です。
河川工事や排水などで 隠れ家やエサを奪っているのです。
だんだんとその愛嬌のある姿に親しみを覚えてきます。
共存できる環境は、人間にとっても大切です。
1400円+税


あすなろ書房

「くだものと木の実いっぱい絵本」 ほりかわ りまこ 作  三輪正幸 監修      
季節の果物、木の実の知識絵本です。
春は苺やオレンジなど。夏はさくらんぼ、びわ、スイカ、いちじくなどなどなど。
秋はなし、りんご、かき、くり…。冬は…。
輸入されてくるバナナやパイナップルなどのトロピカルフルーツも含めて、
なんと たくさんの果物が身近にあることか、あらためて 嬉しい驚きです。
名前の由来、種類、生産農家の話、果物屋さんの情報。食べ方、料理法、保存方、育て方…。
楽しいイラストで、情報満載です。
季節ごとに、ちょっと作ってみたいな…という気持ちになりますね。
1600円+税


小峰書店

「真田十勇士 ➀ 参上、猿飛佐助」 小前 亮     
来年のNHKの大河ドラマは 真田幸村を主人公とした三谷幸喜さん脚本の 「真田丸」。
それに合わせて 出たのだと思います。
真田幸村の家臣として、戦国の世で活躍した「真田十勇士」の全3巻シリーズ、1巻目です。
実在した?はさておいて、時代背景とともに、楽しくわくわくと 読んでいただければと思います。
豊臣秀吉亡きあと、再び天下をめぐっての争いの世に…。
関ヶ原の戦いで西軍が負け、徳川家康が実権を握っていく時代、
猿とともに山をかけめぐっていた少年、佐助が 白雲斎という老人より忍びの術を学び、真田幸村に仕えることに…。
1400円+税


福音館書店

「ぼくたちに翼があったころ コルチャック先生と107人の子どもたち」  タミ・シェム=トヴ 作 樋口範子 訳 岡本よしろう 画      
ヤヌシュ・コルチャック先生。
ポーランド、ワルシャワの町に“孤児たちの家”を建て、様々な事情のもとで やってきた子どもたちに  包容力のある温かいまなざしを 向け続けたドクトル。
最後は、救済を断り、ユダヤ人の子どもたちとともに強制収容所で 命を落とします。
この物語は創作ですが、1934年から1939年までの“孤児たちの家”に引き取られてきた少年、ヤネクを通して、
孤児たちの家の日常、暮らしが描かれています。
心に闇をかかえた子どもたちの 問題行動が起こっていく中、
子どもたち自身による自治や法廷で、罰よりも謝罪、くりかえさない、そして許すことを学んでいきます。  ドクトルの大きな愛につつまれて。
ここに登場する子どもたち全員が 収容所で短い生涯を終えたこと、あまりにも惨い歴史です。
1700円+税




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