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★ジオジオからのメッセージ
           



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344 号


サッカーワールドカップの世界中を巻き込んだようなこの熱狂ぶりはなんなのだろうと思いながらも、
ボールをあやつる見事な足技や 胸のすくようなシュートの妙技に、心奪われながら過ごす日々です。
オフサイドも いまいち わからないまま…ですが。

それぞれの選手の歩んできた人生。お国の事情。応援するサポーターの期待。ボールを蹴って走る選手の背負っているものの大きさを思うと、
勝負のつく無情さに、時には思いも複雑ですが、それがまた、次のワールドカップに夢をつないでいくのでしょうね。

古いイランの映画の中で、大地震の後、小さなラジオでワールドカップの実況を聞く被災した人々の姿がありました。
そばで子どもたちがボールを蹴っていました。
そんな状況でもサッカー?とその時は思いましたが、サッカーなればこそ、なんですね。きっと。

アルゼンチンのユニフォームを着て応援する孫を見ながら、世界中のたくさんの子どもたちが(大人も)、
今、ワールドカップで心がつながっていること、悪くはないなと思います。
オシム監督の言葉通り、人と人とを、また国と国を結ぶボールになりますように。


でも、今、 ワールドカップよりも大切なこと    

日本国憲法 第二章 戦争の放棄

第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、
      国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は 武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
    2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

私たちの大切な憲法9条です。
これをどう解釈したら、私たちの国が武器をもって他国の戦争に加担してもよいということになるのでしょうか? 
解釈によるという 集団的自衛権 が、この9条にどうむすびつくのか理解に苦しみます。

ワールドカップの最中に、こういう法案が閣議決定されていくこと、
政府に私たち国民が軽くみられ、ないがしろにされていることを感じるのは私だけでしょうか?
日本の行方に危機感を抱く人が決して少なくないと思うのに、この流れがストップしないこと、恐怖を感じます。

私たちは戦争を放棄した国民です。国家が戦争にむかって暴走しないようにと作られた憲法です。
平和を希求して日本国民が歩んできた道が、あらぬ方向にそれていこうとしています。

私たちは子どもの命を国家のために差し出そうと産み育てたわけではありません。
いかなる理由や正義があろうと人を殺したり、殺されたりすることを、子どもに望んだことはありません。
どうせ国が決めること、まさかそんなことにはならないだろうと、あきらめてしまったり、無関心でいることは政府の思うつぼです。
私たちの国です。私たちの子どもです。子どもたちの未来です。今、止めないと。


「 世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ 」     くさばよしみ 編   中川 学 絵  1600円+税

南米ウルグアイという国の大統領は、
給料の大半を貧しい人のために寄付をし、公邸には住まず、町から離れた農場に 奥さんと住み、
花や野菜を作り、古びた愛車を運転して大統領の仕事に出かけるという世界でいちばん貧しい大統領です。
身なりをかまうことなく働くムヒカ大統領を、ウルグアイの人々は親しみをこめてぺぺと呼んでいるそうです。

2012年ブラジルのリオデジャネイロで、環境が悪化した地球の未来について話し合う国際会議が開かれました。
さして関心を持たれていなかった小国ウルグアイのムヒカ大統領の演説が終わった時、会場は大きな拍手につつまれました。
この絵本はスペイン語で話された演説を子ども向けの表現に変えたものです。

ムヒカ大統領の演説は、私たちの生き方の根源に問いかけるものです。
目の前にある私たちの危機は、地球環境の悪化ではなく、
社会のしくみに踊らされ、その悪循環の中から抜け出せない私たちの生き方の危機だと問いかけます。
私たちがめざしてきた幸せの中身にその原因があるのだと。
私たちは生き方を見直し、ちがった文化をつくるためにたたかいを始める必要がある。
大統領は言います。私が話していることは、とてもシンプルなことです。
人と人が幸せな関係を結ぶこと。子どもを育てること。友人を持つこと。地球上に愛があること。
社会の発展は、これらをつくることの味方でなくてはならない。なぜなら、幸せこそがもっとも大切な宝だからです。

我が国の首相のスピーチにはしたことがありませんが、遠い国、ウルグアイの大統領に心から拍手を送ります。


嬉しい復刊です。   

 「 新版 親ができるのは『 ほんの少しばかり』のこと 」   山田太一     760円+税 

テレビドラマ「ふぞろいの林檎たち」を毎週楽しみに観ていたのは、何年前になるのでしょうか?
山田太一さんの脚本のドラマは、見逃せない使命感のようなものを持って見続けてきました。
どの登場人物にも感じられる慈しみのある目線にいつも魅かれてきました。

もう手に入らないと思っていたこの本が復刊され、
また新しく 終章 として “二十年たって思うこと” が書きおろされていること、嬉しく 思います。
60歳だった山田さんが、今は80歳。でも書かれているように親子のことってそんなに変わっていない。
読み返してみても、今の時代でも、充分私たちの心に届くことばかりです。

子どもがとうに巣立った私にとっても、子どもは親の成熟していく場所だったとあらためて思います。
我が子だって他者。親がその子どもにしてやれることの基準は 時代や一般的なものではなく「他ならぬその子」にしかない。
一般的な基準を忘れて愛すること、子どもにしてやれることは、それにつきるのかもわかりません。
親や言葉では解決されない世界で ゆっくりと育っていく魂のようなものが子供にはある。記憶に留めている言葉です。
予測のつかない大変な労力のいる子育て。でも人生の意味も喜びも教えてくれます。   おすすめです。ぜひ。


 2014.7




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今月の新刊より



ポプラ社


「いろいろいろのほん」 エルヴェ・テュレ  たにかわしゅんたろう やく     

これは楽しい。いろが生きています。
絵本の中でいろが動きます。遊びます。とびはねます。くっつきます。新しいいろが生まれます。
絵本を傾けると、いろが流れます。ぱたんととじる と、いろが混ざります。
自由に遊んでください。
「まるまるまるのえほん」に続いてフランスから やってきた新感覚の絵本です。
1300円+税      


講談社

「ブービーと すべりだい」  高畠じゅん子 作  高畠 純 絵   
ブービーは、すべりだいがすべれません。
勇気をだして上までのぼってみるのですが、みんなの顔が小さく見えるとこわくなっておりてしまいます。
それをみていたカラスやネコがいろいろとアドバイスをしてくれるのですが…。
すべりだいがすべれな いと知ったおかあさんがとったすてきな方法とは!
さあブービーは、ドキドキの一歩をふみだせるでしょうか?
 がんばれ!ブービー!  
1300円+税


光村教育図書

「いえのなかのかみさま」  もとした いづみ 文  早川純子 絵 
神棚のある家、少なくなりました。
祖母が住んでいた田舎の農家に 行くと、朝、たくさんの神様に手を合わせていたこと思い出しまし た。
親戚の家に行ったともき。そこで出会った神様たち。
台所にはかまどの神様。 納戸にはつくも神。縁側の下には小鬼様。
いろんな神様が日々のくらしを見守ってくれている。
八百万の神様、私 たちの先祖が残してくれた財産ですね。
1300円+税


BL出版

「 ミスター ワッフル」  デイビッド・ウィズナー   
作品「かようびのよる」と同じく文章はありませんが、想像力をかきたてられるストーリー仕立てです。
ネコのワッフルはたくさんのおもちゃには目もくれず、見つけたのはどうやら本物の宇宙船。
その中の小さな宇宙人たちはこのネコから逃れようと、宇宙船から降り、部屋の家具の下に…。
どうやら知能の高い 宇宙人のようで、アリたちを巻き込んで作戦会議です。
ワッフルと宇宙人の攻防を楽しんでください。
ワッフルの表情がいい!
1600円+税


ほるぷ出版

「ないしょのかくれんぼ」 ビバリー・ドノフリオ 文  バーバラ・マクリントック 絵  福本友美子 訳
ジオジオでも人気の「ないしょのおともだち」の続編になります。
同じ家に住む2世代にわたってのないしょのお友だち。
マリアとねずみのネズネズ。ある日、二人はママがいないことに気がつきます。
キッチンにも寝室にもいないし、パパに聞いてもわかりません。
マリアとネズネズのママが同時にいないなんて…。
同時進行していくそれぞれの絵の楽しめること!
あれ!いつのまにか家族もふえて…。
1600円+税


文研出版

「だいすき、でも、ひみつ」  二宮由紀子 文  村上康成 絵   
二宮由紀子さんのナンセンスな発想にいつも驚かされ、笑います。
右足のおやゆびがこゆびを好きになってしまいます。
一日中、右のほうを見ているので、人さしゆびが気がつき、なかゆびやくすりゆびの助けで、ついに"こくはく"します。
こゆびから「つきあってもいい」という返事がきましたが、
でもこゆびはおやゆびをみたことがないのです。
さてこのややこしい恋のゆくえは…。
1300円+税


福音館書店

「なんでもあらう」     鎌田 歩 作  
“あらう”という視点から描かれています。
けんちゃんのくつ。自転車。お父さんの車。きれいにするためだけではなく、洗うことは点検にもなります。
道路を洗うのは、散水車にスィーパー、ダンプトラック3台が一組での作業です。
ビルの壁。電車や飛行機。機械だけではなく、最後は人の手でかく れたところを洗い磨きます。
安全につながる大切な作業です。
こういう視点で見ること、必要ですね。
1200円+税


BL出版


「ソフィーのやさいばたけ」 ゲルダ・ミューラー 作  ふしみ みさお 訳   

同じ作家の「ぼくの庭ができたよ」(絶版)は大好きな絵本でした。
この絵本が出たこととても嬉しく思います。
スーパーにならんだ野菜しか知らなかったソフィーは
夏休み、おじいちゃんとおばあちゃんの家で畑をもらって野菜を作ることになりました。
野菜の育て方だけではなく、ご近所とのかかわり、虫や鳥、動物、気侯、収穫、食べ方、ソフィーが帰ってからのことまでを 美しい絵で豊かな知識いっぱいに描いた絵本。
1700円+税


PHP研究所

「二十四節気のえほん」 西田めい 文 羽尻利門 絵     
私たちがふだん使っているカレンダーとちがって月の満ち欠けをもとにした暦は明治時代の初めまで使われていました。
そこに季節を知るための物差しとして
一年間の太陽の動きを24等分して、それぞれの区分となる日に天候や自然の変化を表す名前をつけ暦に取り入れたのが二十四節気。
農作業のめやすにな ったり季節の行事が決められました。
立春や春分 夏至、冬至。くらしにかかわる季節のことばがたくさん説明されています。残していきたい季節 感あふれる言葉がたくさん出てくる知識絵本です。
1600円+税


PHP研究所

「詩を書くということー日常と宇宙と」 谷川俊太郎   
NHKBSの番組「100年インタビュー」で語られた谷川さんの言葉が本になったものです。
幼い頃のこと、詩を書くようになった事、言葉とは、詩とは、読者とは…。
老いや死についても語られています。
生も死も、日常もあくまで肯定的にとらえた詩は、
谷川さんが言われているように、確かに過酷な現実に対抗するひとつの「よすが」になってきました。
表紙のお写真、とてもいいお顔をしてらっしゃいます。
「楽しく元気に死にたい。」「私もです。」と思わず…。(笑)
1200円+税



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