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★ジオジオからのメッセージ
           




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333 号

夏休み、いかがお過ごしでしょうか。ジオジオにも毎年の夏です。
一度は大きく剪定し枝を落としたケヤキも、この何年かで枝を伸ばしに 伸ばして、2階の窓いっぱいに緑が広がっています。
江草はほんとにこの部屋が好きでした。睡眠上足をぼやきながら、窓を開け放して、 セミの声で始まる夏の朝を楽しんでいました。
今年も変わらず、毎朝、セミの声で起こされます。もちろん睡眠上足です。(笑)

「セミとわたしはおないどし《という絵本があります。

今年7歳になる小学一年生は、この夏、地上に出てきて鳴いているセミと同い年になるのです。
今、ケヤキの枝の間を飛んでいるセミたちも、地上での命は2週間でも、7歳です。
夏の太陽をいっぱいに浴び、懸命に 生きて、次に命をつないでいきます。

先日、清水真砂子さんよりいただいたお葉書に、江草のことや、ご自身の周りの方々についてふれられた後、
「こうやって 次世代に人の世も移っていくのだなあと、しんとしてしまいます。《と書かれていました。
命の長さからいえば、私もすでに、 地上で最後の時間を過ごすセミなのだなあと思います。

さて、今年のセミたちが残した卵は7年後にまた地中から出てきます。
その頃、今年生まれた赤ちゃんが一年生です。
どんな時代になっているのでしょうか?
今は時代の流れはあまりいい方向を向いているようには思えませんが、一人一人の思いが集まれば
やがてそれは強くて大きい力になると信じています。
その時代へと引き継いでやれるものは、私たち大人の大きな宿題です。
子どもたちの夏休みの宿題にかまけているひまはありませんね。


参議院選挙が終わりました。
憲法や原発など肝心な事が語られる間もなく、二院制の役割が遠くに押しやられて、これからの日本の未来 が決まっていきそうです。
投票と言う結果の国民の選択でもあるとは思いますが、
その事の意味を重く、慎重に受けとめる政府、政治家で あってほしいと願うばかりです。

微力で何の力もない一個人ですが、
憲法を護る、原子力発電所を即刻停止する、という意思表示だけは し続ける大人でありたいと思っています。

戦争を、原爆を、そして原発事故を経験してきた国の人間として、
これからを生きる子どもたちに残してやれるのは、その意思表示なのではないでしょうか。

8月6日、9日の原爆記念日。8月15日の終戦記念日。私も戦争を知らない世代ではありますが、
核は持たない。戦争はしない。と決めた日本の反省を
私たちは変わることなく大切にしていかなければならないと思います。

子どもたちと読む憲法の本「子どもにつたえる日本国憲法《1000円「「けんぽう《のおはなし《1365円 共に9条の会の呼びかけ人 井上ひさし作


ここに いる      

選書会などでたくさんの子どもたちと接する機会をいただくと、
自分が小学校の頃のことや子どもたちが幼かった頃、また現役で小学生の孫の姿が重なります。
気軽に話しかけてくれる子、こちらから話しかけると恥ずかしそうにする子、みんなから離れて、ずっと一人でいる子ども。
どうしても図書室の入り口から入ってこられない子どももいました。

もう、この子たちのおばあちゃんの年齢です。
どの子どもにも抱きしめたいようないいとおしさを感じます。

「ええねんで、本なんか嫌いでも…《 「押し付けられて本を読むなんて俺はいやだった、とジオジオのおじさんも言ってたよ。《
「でも、一冊でもいい、おもしろい本に出会ったら得やで。《
など心の中で矛盾したことばが渦巻きます。

多分、ある子どもにとってはなんでもないことでも、
乗り越えるにはたいへんな高い壁になる子もいるんだなあと思います。
私も何かしら、いつも自信のなかった小学生の頃の自分を思います。

「ちいさななあなたへ《などの絵本のイラストで知られるピーター・レイノルズさんの絵本「ぼくは ここにいる《を翻訳されたのは、
長く自閉症の子どもにかかわってこられた臨床心理士の酒木 保さんです。

“解ろうとすることは自分の物差しの押し付けであり、私が解ることと彼らの存在とはなんの関係もないことに気づいた”

というあとがきの文章に頭を打たれました。そして、

“彼ら一人ひとりが自分の思いと流儀を持った一個の存在として ここにいる”

と書かれています。

そうなんですよね、確かに。
子どもたちそれぞれの存在をありのままに受け入れて、成長を見守る役目ができたらなあと、おばあちゃんは思います。


「ぼくはここにいる 《   ピーター・レイノルズ 作   さかき たもつ 役     1470円

運動場で遊ぶ子どもたちの楽しい声。
でもぼくには大きな音になってひびく。バーンバーン。ガンガンガン。
むこうにはみんな。ここにはぼく。
ぼくの世界に、そよ風がふき、葉っぱがまいながら降りてくる。
やがてここにいるぼくに気づいたのは…。
それぞれみんな「ぼくはここにいる《そして「わたしもここにいる《


ピーター・レイノルズさんが自閉症の母子からインスピレーションを与えられて描いた絵本。
ぼくの世界を大切にしながらも、いつもつながっているあなた、わたしがいること。 
訳者の酒木さんは、

“絵と短い言葉で凡百の言葉を超えた見事な表現をされ、これ以上ないほど自閉症の子どもに近づいている“

と書かれています。


勝手ながら今年は長い夏休みをとらせていただきます。 ジオジオの夏休み    8月12日~21日    8月24日25日 



 2013.8




ブックランド紙上で紹介した本をご希望の方は、配本に追加する、あるいは配本に入れる、 という形でご注文くだされば、翌月、翌々月にはお送りできます。
上明の点は、TEL、FAX、Eメールでお問い合わせください。またブッククラブ以外の方のご注文もお受けします。注文


今月の新刊より



保育社


「ぼくの手 わたしの手《 中川ひろたか 作 斎藤美春 写真   

あそぶ手 つかう手 つくる手 つたえる手  いのる手… 
手はいろいろなことができます。
なにより人とつながることができます。
手のたくさんの表情を写した写真絵本です。
モノクロの写真がとても温かい。
(1260円円) 


金の星社

「ヤダヤダかめん《    あきやまただし 作・絵
なんでも「やだやだ!《のこころちゃん。
やだやだパワーがたまってきて、とうとうヤダヤダかめんに変身。
これならみんなにも  「やだ!《という気持ちがわかります。
でもそんな 時にかぎっておかあさんは「おやつ食べる?《
おじいちゃんは「おこづかい、あげようか?《
「あそぼ~《と友だちが…。 どうする?
(1260円)


ほるぷ出版

「むしとりに いこうよ!《 はた こうしろう 
おにいちゃんにつれてもらって 虫とり に…。
おにいちゃんは 虫を見つける吊人です。
ふだん気がつかないところにも、たくさんの虫がひそんでいます。
イタドリやノブドウの葉っぱのかげにいる虫。
木をゆらせば落ちてくる虫。
おにいちゃんといるとたくさんの虫が見えてくるからふしぎです。
カブトムシやクワガタだけが虫ではありません。
虫とりの楽しさが伝わってきます。
虫の知識もいっぱい。
何よりこんなおにいちゃんがいたらいいなあ。
虫好きの作者の子ども時代の情景が浮かびます。
(1365円)


ほるぷ出版

「ミルクこぼしちゃだめよ! 《スティーブン・デヴィーズ 文 クリストファー・コー 絵   福永友美子 訳  
西アフリカのニジェールという国の女の子、ペンダのおはなし。
解放感あふれる豊かな明るい色彩の絵に魅かれます。
ペンダは山で仕事をしているお父さんに牛のおちちをしぼって頭にのせ、持っていくことになりました。
砂丘を超え、お祭りを横目に、川を渡り…。
ミルクを上手にこぼさないでお父さんに届けられるでしょうか?
ペンダを大きくつつむお父さんの愛情が嬉しい。
(1575円)


ほるぷ出版

「いしのはなし《 ダイアナ・アストン 文 シルビア・ロング 絵     
シリーズ4冊目です。視点を変えた知識絵本。
美しいイラストに引き込まれます。
色や形も様々な石。長い時間をかけて自然が作りだしたものです。
そこには46億年の地球の歴史を見ることができます。
石に含まれている様々な鉱物、何十億年も前の石。美しく、神秘的です。
また人間や動物は石を役立てて生活してきました。
石から作った絵具で絵も描かれました。
そして石は、あわてずに、また長い時間をかけて何 度でも変化していきます。
壮大な地球のドラマを 感じる絵本です。オススメ。
(1575円)


福音館書店

「スズムシくん《 木坂 涼 文  廣野研一 絵  
私も一昨年、スズムシをいただいて育てました。
きれいな鳴き声に暑さも忘れます。
詩人でもある作者の木坂 涼さんはもう18年スズ ムシを飼っているそうです。
おじいちゃんがもってきた土の中のス ズムシの卵。
生まれて脱皮を繰り返し、そして初鳴き。
やがて卵を産んで死んでいきます。
スズムシの一生を少女の観察を通して描きます。餌や世話の仕方など、役にたちます。
(1260円)


偕成社


「らくごで笑学校《   斎藤 洋 作  陣崎草子 絵 

西東亭ひろし丸こと斎藤 洋が,、校でのあれこれを新作落語にして お話いたします。
入学から卒業まで、遠足や授業参観など行事をテーマに
小学校ならぬ笑学校ならでは の笑いとおちのあるお話が7話。
笑いを倊増させる 挿し絵は、作家でもある陣崎草子さん。
(1050円)


講談社

「ラクダのまつげはながいんだよ《 長田 弘 編集 
世界各国でくらしている日本の小中学生の詩を長田弘さんが編んだ詩集です。
アフリカ、ヨーロッパ、南米、アジア、オーストラリア、アメリカ。
日本とはちがう国の様子は子どもたちの目にどう見えているのでしょうか。
読んでいるうちになんだかとても嬉しくなります。
言葉でとまどう気持ちも含めて、とてもストレートに違う文化にふれている心が伝わります。
ジャカルタに2年3か月在住の中学3年生の詩の中のことば
“知りたいと思ったのは・・・私の中に蓄積さ れていないものの全て“  
一度読むだけでは もったいない詩ばかりです。
(1365円)


ほるぷ出版

「ゲンタ!《     風野 潮  
体と心が入れ替わる、映画や小説によくある設定ですが、
もとに戻った時にはそれなりの成長なり、価値観の浄化や現実の受容が見られてこちらも元気をもらえます。
なにより物語の展開がおもしろい。
河原に転落した小5のゲンタ。
ライブの演奏中、舞台から落ちたビートキッズのボーカル25歳のゲンタ。
二人は事故をきっかけに心と体が入れ替わってしまう。
記憶障害の診断のもとに二人はそれぞれになんとかもとに戻ろうと友人サトシ(偶然にどちらも)の助けを得て、
ついにはビートキッズのコンサート会場で会うことに。
映画にもなった「ビートキッズ《のその後も楽しめます。
(1470円)


偕成社

「夜はライオン《    長薗 安浩  
家族以外誰にもしられてはいけない11歳のマサの秘密。
成績は優秀。野球チームのエース。次回の生徒会長に決まっている。
この秘密を知られたら、マサの世界と人生は奈落の底へ…。
「最後の七月《で少年たちの心の揺れを見事に描いた作家。
再びせっぱつまった少年の心理を見事に描きます。
近づく修学旅行。その一夜のためにありとあらゆる訓練を開始することに…。
あえて“秘密”は書きませんが…。
(1470円)

                                      



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