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273 号

7月といえば、もうすぐ夏休みですね。楽しみにしている子どもたちに比べて、親たちはそれほどでもないようですが、(笑)
せっかくの機会ですから子どもたちとともにいい思い出を作ってください。



「西の魔女が死んだ」が映画化され、7月上旬に全国で封切られました。 オヤジはいっこさんとともに早速観てきました。

原作に非常に忠実に作られていました。原作が秀でた作品ですから、当然映画も見応えのある作品に仕上がっていました。
まだお読みでない方に、ざっとあらすじをご紹介しておきます。

中学に入学した少女まいは、1ヶ月もたたないうちにクラスで孤立し、
学校へ行けなくなる。
まいの母親は、自然の中で自然とともに暮らしているイギリス人の自分の母親(まいからいうと祖母)のもとにまいを預ける。
祖母との暮らしの中で、まいは「自分らしく生きる」「自分のことは自分で決める」という「魔女修業」を行っていく...。


「魔女修業」とは言っても、毎日の生活をきちんと行うことです。
そして、そのことは「自分のことは自分で決める」という積み重ねなのです。
まさに「魔女修業」とは「日々の暮らし」なのです。
あるいは「生きる知恵」といってもよいかもしれません。

祖母(祖父)と孫、あるいは、老人と子ども、という関係がポイントになると思います。
歯車は一分の隙間もないほどがっちりと噛み合うと、かえって磨耗や破損が起きやすくなるそうです。
バッククラッシュと呼ばれる極狭いすきまをとることによってスムーズに回転するそうです。

「西の魔女が死んだ」のおばあちゃんとまいも、適度なすきまをあけて噛み合う、言い換えると距離のとり方が絶妙なのだと思います。
親子の関係の場合は、どうしてもがっちりと噛み合ってしまい、互いに傷つくということがあるような気がします。

絵本や児童文学の中でも、祖父・祖母と孫、老人と子どもを主人公にした優れた作品が見られますが、
ただ単に大きな愛情で包み込むというだけでなく、
いい距離を保ちながら魂のふれ合いが感じられるものが深く印象に残るような気がします。

湯本香樹実さんの「夏の庭」「ポプラの秋」などもジオジオがおすすめしている本です。

「西の魔女が死んだ」(梨木香歩・作 420円)「ポプラの秋」(湯本香樹実・作 420円)「夏の庭」(湯本香樹実・作 420円)

「西の魔女が死んだ」も含めて、これらの作品は老人を描く関係上、死の問題を避けることができません。
しかし、これらの作品は死の問題を、そしてそれは同時に生の問題として、みごとに描ききっていると思います。

「西の魔女が死んだ」のラストシーン(原作でも映画でも)で祖母の魂がまいの中で生き続けていくのをまいも読者も確信する場面があります。
オヤジは14年前にこの本が発表されて、すぐに読みました。そのときはこの場面に圧倒されましたが、今は孫も3人できて、
「このように死ぬために生きたい」と思うようになりました。



前号で「しずかに!ここはどうぶつのとしょかんです」というドン・フリーマンの絵本を紹介しました。

図書館が大好きなカリーナという女の子が動物たちの図書館があれば...と空想する楽しいお話です。
ところが、「事実は空想より奇なり」ということでしょうか、

富山県でニホンカモシカが図書館に入ってきた、しかも正面の入り口から...という新聞記事に笑ってしまいました。
ひと暴れした彼は(雄でした)捕らえられて、山へ放されたそうですが、
絵本の棚にも登ったりしたそうで、なかなかやるなと思いました。
この話は後日談があって、図書館は「カモシカ入館おことわり」の貼り紙をしたそうです。
でも、そこはもうひとひねりして、カモシカ用の図書館使用規約を作るくらいの余裕があってもいいのではないかと思うのですが...。
それにしても、図書館にいた人々は驚いたことでしょう。「もしか かもしか?」なんてね。


 えぐさもとはる   2008.7




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今月の新刊より



福音館書店

あかちゃんの絵本シリーズ
「わんわん にゃーにゃー」
長 新太 さく・え
和田 誠 しあげ
「わんわん」「にゃーにゃー」犬と猫が出合いました。
あれれ?猫は犬の口の中へ。
「わふん」「わふん」「にゃご にゃご」
おやおや、猫は犬の鼻の穴から出てきました。そして、お別れ。
「わんわん」「にゃーにゃー」「さようなら」
●長 新太ワールドとしか言いようがありません。
(840円)



福音館書店

あかちゃんの絵本シリーズ
「プアー」
長 新太 さく・え
和田 誠 しあげ
「プアー」の音とともに、
犬のしっぽ、耳、会、鼻、前足、後ろ足、体、大きくふくらんで巨大な犬になりました。
最後のページで「スー」
「もとにもどったよ」「ワン」
★長 新太さんのナンセンスを言葉で説明するのは不可能です。読んでみてください。
(840円)

●「わんわん にゃーにゃー」「プアー」の2冊は長さんが亡くなる数ヶ月前に描いたラフスケッチを、和田誠さんが色をつけてしあげました。



福音館書店

「たたんでむすんでぬのあそび」
平野恵理子 さく
たった一枚の布。でも実用から遊びまでいろいろなものに変身します。
ハンカチでバナナがつくれるよ。
ふろしきはまわしになるぞ。
シーツやバスタオルは多人数でいろいろな遊びができる。
自分でも工夫してみようね。
(880円)


教育画劇

「きちょうめんななまけもの」
ねじめ正一 作
村上康成 絵
動物園のなまけものは一日中 木にへばりついているだけ...と思ったらおおまちがい。
あれは見物人の期待に応えるだけのポーズ。
ほんとうはね...。
あっと驚くなまけもののほんとうの姿を描いた詩の絵本。
(1,050円)


福音館書店

「どうするどうするあなのなか」
木村 祐一 作
高畠 純 絵
逃げる三匹のネズミ、それを追う二匹のヤマネコ。
しかし五匹は深い穴に落ちた。
食べたい、食べられたくない、でも穴から出たい、
さまざまな思惑がからんでの五匹の脱出作戦は...?
タテ長の画面で構成された穴の中の表現方法がおもしろい。
ところで、思わぬ方法で脱出できるのですが、その後五匹はどうなったと思います?
(1,365円)


評論社

「コンビニエンスドロンパ」
富安 陽子 文
つちだ のぶこ 絵
おとわやまのイロハもみじの木の下にコンビニ「ドロンパ」オープン。
オーナーはきつねだんな。
店長はのっぺらぼう。
店員はがいこつ。
さいしょのお客はおきくさん。次にカッパ、ろくろっ首とお化けたちで大にぎわいのおかしなコンビニ・ドロンパ。
あなたもきませんか?
富安陽子さんとつちだのぶこさん、最強コンビによるこの夏一番のオバケ絵本。
(1,365円)


フレーベル館

「やかましい!」
アン・マクガバン 文
シムズ・タバック 絵
木坂涼 訳
むかし、あるところにおじいさんがいました。
ある日、ベッドのきーきーいう音や風のひゅんひゅんいう音、やかんのしゅーという音が
うるさくて眠れないと博士のところへ相談に。
ところが博士のいうとおり、牛、にわとり、羊をかってもやかましくなるばかり...。
次々に言葉を重ねていくストーリー展開がとてもおもしろい絵本です。
(1,470円)


くもん出版

「巨大昆虫探検図鑑」
山口 進 写真 文
世界の巨大昆虫を実物大の大きさでのせた写真図鑑。
写真はニューギニアのオバケトビナナフシ。
30センチ近くあります。
とにかく巨大な昆虫たちは驚きの連続です。
(1,680円)



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