Brannen-Cooper,そしてパールのレガート

 これは,Brannen-Cooper, Sterling Silver, Brögger Mechanik.私が総銀として2本目に手にした楽器です.この写真は,ほぼ新品状態の時の写真.いまでは,真っ黒になっています.

 いま手元にある楽器の中では,一番の長老になってしまいました.笛の吹き方や扱い方について色々と教わった思い出のある楽器です.
 Brannenでは,頭部管は,2タイプを製作しています.それが,Modern CooperとModified Cooper.以前は,Classic Cooperというタイプもありました.ちょっとした行きがかり上,3タイプとも手元に置いています. 結局の所,現段階では,Classic Cooperを好んで使うことが多くなりました.また,C#-Trillキー,D#ローラー,Split-Eメカニズムを装備させてみました.
 この楽器,手へのフィット感が良く,持ちやすい,操作しやすいというのが良いです

 また,ここ数年,この楽器のためにこういう頭部管を使い始めました.

 パールのPHN-3, Legato(レガート).銀(Ag925)のチューブに,銀ライザー,銀リッププレート.極めて普通仕様です.余談ですが,最近思うのは,銀比率の高いモデルや,メッキ仕上げなどよりもむしろ,普通の総銀というのが私の嗜好になってきました.Brannen-Cooperの頭部管は14Kライザーなのですが,ライザーも銀の頭部管に替えようかという気に少しなり始めています.

 Brannenの頭部管は,それはそれで私は好きなのですが,パワー系の性質も十分なくらい持ち合わせています.今回は,より繊細な銀の音というのに特化してみようと思いました.パールフルートギャラリーの人に,希望したイメージ(=無理難題)をあれこれと持ちかけては,「それは無理です!」などのような返事をもらうというサイクルを繰り返しました.話によると,私が出した無理難題は全て,パールの頭部管製作者さんへ伝わっていたそうですが,そういうことも多少参考に(してもらったのかは,定かでない),新規製作してもらいました.製作者さん,そしてパールフルートギャラリーの方には,銭にならない面倒な客の相手をまじめにしていただいて,感謝いたします.

 やや小さめで丸みを帯びた正方形に近い歌口に,アンダーカット無し,オーバーカットもエッジのバフ掛けのみ.その筋の人には,ちょっと気になるかもしれない,という姿をしています.ただし,歌口の左右のサイドウオールにわずかに傾斜が付いていて,これが吹きやすさを少し改善しているかもしれません.

 まあ,確かに,頭部管を換えたところでそんなに大して音が変わることもありません.また,これはそんなに息の入りやすい頭部管とも思いません.しかし,この頭部管で吹くと,その音に凛としていて柔らかく清々しい感じが何となく顕れてきます.なかなか言葉にするのが難しいのですが,吹いていてなんとなくしみじみと楽しくなる,そういう頭部管です.いや,しかし,この性格は,私のような凡人は,二度三度程度の試奏で見つけることは難しいですねぇ.年単位の期間吹き続けることで見えてくる特性のような気がします.また,今後もそれは徐々に変化していくことでしょう.長いつきあいになりそうです.また,この頭部管の製作者の方には感謝している次第です.
 そういう意味では,バーカートとかラファンなどのように際だった個性が前面に出てきている頭部管とは随分異なるコンセプト上にあるかもしれません.

追記
 パールの頭部管についてのコメントはネットでも(パール社のもの以外は)あまり見かけないのですが,最近,たまたま,ひとつ見かけました.http://www.donmack.com/PearlFlutes/Headjoints.asp によると,

> PF PHN-1 Rich, warm with even projection
> PF PHN-2 Direct, excellent straight forward
> PF PHN-3 Rich, Dark Penetrating Sound
> PF PHN-4 Full Rich Elegant sound. Responsive

とあります.ちなみに,PHN-1は,Classico(クラシコ),PHN-2は,Bolero(ボレロ)という愛称を付けているんですね.
 さて,私の愛用しているPHN-3について見てみると:

Rich:
日本的には,「太い音」みたいなものを意味しているかもしれませんし,そうでないかもしれません.もっとも,その比較として,poor, shabby, lightなんていう風に特徴づけた頭部管は売れないでしょうから,richは枕詞と思っても良いかもしれませんし,そうでないかもしれません.要は,私は,よく分かりません.また,MS ENCARTAによると,richには,

with deep full sound: with a deep smooth full sound

という定義もあります.

Dark:
もしも,きらびやかで派手に映える音をbrightというならば,PHN-3の音は,まあ確かに,darkでしょう.いや,冗談ではなく,実際,こんなニュアンスのような気がします,たぶん.

Penetrating:
実は,PHN-3については,私もこれを感じているのですが,ネットの記事でこう指摘しているのを,他には,私は見たことがありません.

 繰り返しになりますが,このレガートについては,その魅力を指し示す言葉があまり見つかりません.しかし,吹くことがじんわりと楽しい,そういう頭部管です.いやいや,そういった際だった特徴がないことが,かえって良いのかもしれません.長いおつきあいになりそうです.



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