第5話
防御
その行動とは外を通るたびにワッキーの部屋を凝視することだった
ぼくは、頻繁にその行動を繰り返してみた
時間がもったいない気がしたが、ワッキーの為だしかたがないと言い聞かせて!
たまにワッキーを目が合うこともあったが、ぼくは何も言わないことにした
無言のプレッシャーを与えて相手を威嚇してみた
それを何回か繰り返した後、ワッキーは見事威嚇に応えてくれた!
そしてワッキーは防御に移った
防御とは今までカーテンを全開だったのに対して閉めるようになったのだ
ただし夏なので扇風機を使い外の空気を取り込もうとして、器用に扇風機のある部分だけ
カーテンがかからないように対策してある
ぼくが思うにたぶん部屋に臭いがこもらないように換気の意味ではないだろうか
そうして防御にはいったワッキーだが弱点があった
扇風機のファンが透明であり、しかも回転しているので、その向こう側がよく見えるのだ
前より見える部分が縮小したため、飼育かごからのぞき窓へと変貌した
また、そのチラッチラッと見える姿が気になりついつい見てしまうのだった
ただし、一つ変わったことがあった
それはワッキーと目が合わなくなったことだ
向こうもわざわざ扇風機越しに外の様子を見る気もなくなっているのであろう
そんな感じで今年の夏も過ぎて行った
注)臭いがないわけではないので、鼻も痛かった
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