第10話
昇天

 その後、イバーソンは使い物にはならず、たまにフリーズして動かなくなるものの  元気に働いていた。  しかし数日後、ジョージがイバーソンの隣で冬の新作パンの構想を練っていると  またイバーソンが動かなくなっている  ジョージは新作パンは『イチゴのたっぷり入ったストロベリーパン』か『コタツの形をした  超コタツパン』のどちらにしようか考えながら、イバーソンのスイッチを一度切って再び入れた。  そのときにイバーソンの鼻を抑えてしまったが、ジョージは手がベタベタした程度だった。  いつもどうりイバーソンが揺れだしてきて、しばらくして収まった。  だが収まった時にはいつものイバーソンではなかった。  なんとイバーソンは四つん這いになり、まるで自分がキリンであることをアピールしているようである。  そしてイバーソンが喋った「現在はアニマルモードです、簡単に操作を説明します」  続けて「アクセルは右耳をひねってください、加速します」  「ブレーキは左耳を引っ張ってください、減速します」  「最後に旋毛(つむじ)の部分を3回突付くと一定時間ターボモードになります」  「以上で説明を終わります」と話が終わった。  早速ジョージはイバーソンにまたがるとゆっくり右耳をひねった  イバーソンはそろりそろりと動き出した  ジョージは外に行こうと思ったが肝心の曲がり方を聞いてなかった  そこで、こんな感じだろうと思って顔を左に向けてみた  すると案の定イバーソンは左に曲がった。  ジョージは心の中で「こんな肝心なことを言わないところがイバーソンらしいな」と思った  操作がわかったジョージはそのままイバーソンに乗って外に出た  ジョージは周囲の人が自分に注目しているのがわかったが、そのままイバーソンを加速させた  ゆっくり右耳をひねる量を増やすとイバーソンは見る見る加速した  現在60Km/hに達したがまだまだ右耳をひねると更に加速し、とうとう100Km/hに到達した  ジョージは後ろからなのでよく見えないが、イバーソンは辛そうな顔をしている。  だがジョージはそんなことも気にせず、街中をイバーソンに乗って駆け抜けた  街の人の視線がジョージとイバーソンに注がれたが、ジョージは「この視線が気持ちよい」と言って  街の人に手を振っていた
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