MY OPINION

現代の矛盾を考える---自分を見失なわない為に考え抜く
予防重視型
厚労省思惑
地域包括支援
筋トレ
負担増
意見!

介護保険改正法(2006/4/13)

結局、介護保険給付抑制.国民負担増

予防重視型を目指す介護保険改正法がH17/6/22に成立した.改正の目的は、介護給付の抑制にある訳だから国民負担が増えることになる.気になるのは、負担増分がサービスに生かされるか?であるが、これには疑問が残る.さて、その抑制策の柱が、介護の導入を遅らせる目的で計画された予防策にある.これは、軽度介護者に対して心身の状態の改善と悪化防止を目的に筋力向上トレーニングや口腔ケアー(歯磨き・義歯調整等)、栄養改善指導等を新たに導入し、既存サービスの家事援助等も、介護者任せにしないでで、本人参加型を求める内容になっているが、目玉は筋力向上トレーニングである.これは、市町村に「地域包括支援センター」を創設し、そこで実施するという.ここでは、介護軽度者とは別に、新たに介護が必要となる可能性のある人(特定高齢者)に対しても地域支援事業として、転倒防止、閉じこもり予防、認知症・うつ病対策を講じると言う.
介護保険の要介護認定を受けている人は、全国に約400万人(2004/8月末現在).軽度介護者の約160万人、潜在要介護者約130万人が対象となる.中高度の要介護者は約240万人となる予想である.加えて、特定高齢者130万人が新たな対象となる.
高齢化と制度の定着で利用者が増え続け、このままだと10年後には6割多い640万人に達すると予想されている.厚労省が新予防給付などを導入するのは、財政悪化を少しでも食い止めたいという計画に他ならない.サービスの充実ではない.下図が概略です.
新介護システムは、従来の要介護1を、より軽度な要支援2とやや重い要介護1と区別して別体系の給付を行うこととしたのである.
判定は従来どおり介護認定審査会が行っている.
新介護システム
(対象数:2400万人)
自立している人
(2000万人)
要介護者
(400万人)
*特定高齢者
(推定130万人)
要支援1
(旧要支援)
要支援2
(新区分)
要介護1
(新区分)
[旧介護1の一部を含む]
要介護 2・3・4・5
(旧区分)
[旧介護1の一部が除かれる]
地域支援事業
(新設)
新予防給付
(約160万人)
改定前に同じ
(約240万人)
地域包括支援センター
(新設)
*この色の部分が新区分
*特定高齢者:自立しているが、要介護、要支援になる恐れのある高齢者.上図の如く、介護保険の対象者とは異なる区分で、今回の介護保険法改正により今年度から市区町村が選ぶことになっている(後述).いわば、健常者と要介護、要支援認定者の間の「グレーゾーン」にいる人.特定高齢者になると、運動機能の向上や閉じこもり予防など通所型の介護予 防プログラムに参加.介護保険は利用できないが、1割負担や無料で参加でき一定期間後に効果が評価される.特定高齢者の選定作業は、生活面・運動面・食生活など25項目の健康度チェックリストに自己申告をした後、リストを参考として血液検査や問診などを行い総合判定する.市区町村はこの結果を踏まえ、介護予防プログラムに参加させる特定高齢者を選ぶ.地域によっては、特定高齢者でなくても希望すれば参加できる仕組みとなっている.


厚労省の思惑目的が、介護給付費抑制にあるのだから介護の質や量が向上するとは思えない.地域の活性化効果は生まれると思うが、民間の仕事を奪い、「地域包括支援センター」「地域支援事業」という新たな、公務員関係の天下り先を増やすだけである.
先ず介護効果について考えてみよう.改正前には出来ない内容が含まれているのか?筋力向上トレーニングや口腔ケアー(歯磨き・義歯調整等)、栄養改善指導の必要性は、改正前からいわれている事であるので、介護マネジャーの介護プランでも計画はされている.既存サービスの家事援助等を本人任せにしないと言っても、それが一番要望されている支援の一つであるので、マン・ツー・マンになれば介護側の負担が増えるが、介護人口は不足してしまう.介護プランは綿密に計画されたか?正確に実施されたのか?実施してもその効果の判定はどうなっているのか?等々をチェックする方法がないのが現行法の最大の欠点.つまり、「介護ケアプランが確実に計画・実行されたのか?」が確かめられない.又、「効果の判定方法もないと言わざるを得ない」現状である.「地域包括支援センター」はこれを解消できるか?現在の諸問題は、下記である.新システムは、対応できるのか?
・介護財源不足
・介護意識の変化
・介護ケアマネージャーの不足
・介護施設不足
・介護が有効に実施されているか判定不能
・認知症対策の遅れ
・介護認定審査会は無権限
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「地域包括支援センター」
構想.これは、市町村が設置し、地域介護の中核拠点とするという.曰く、「高齢者や家族らを総合的・横断的に支援する」.人口2-3万に1ヶ所、全国に5、6000ヶ所である、中学校の数がこれにあたるといえばイメージが沸くが、問題はそこへの交通手段.民間で一番難しい問題である.公共はこれを考えてくれなければ意味がないのであるが...さて役割である.主は、介護予防マネージメント.ついで、社会福祉機能.更に、ケアマネージャー支援.まとめると下表.
介護予防
マネージメント
保険師が利用者と相談しながら、要介護状態になることの予防と要介護状態の悪化を防ぐケアプラン等の計画をする事ができる.→現在も可能だが、少ないケアマネージャの負担が軽減される.
社会福祉機能 社会福祉士が中心の、介護虐待の防止権利擁護等の相談窓口.専門対処へ窓口が一本化される.
ケアマネージャー
支援
ケアマネージャー援護と地域介護ネットワークの構築.介護の有効性についてチェック機能が可能となる?
計画は良い事尽くめではある.保健婦、ケアマネージャー、社会福祉士の共同作業を中心となる.先ず必要なのは、介護ケアマネージャーの養成と実施介護の有効性のチェック機能、認知症対策の遅れの解消である.施策も整備が整い次第順次開設と心もとない.センターの運営は市町村直営の他、社会福祉法人や医療法人、特定非営利活動法人NPOに委託が可能となっている.介護は巨大なマーケットになりつつあるのだが、そこへ直営構想.いやな予感がする.何故かというと、財政チェック機能が欠落しているからである.無駄が生まれる下地が揃い過ぎる.最初は何でも官指導である.官権の世襲が染み付いてしまうだろうに.


注目の筋力トレーニングは、介護の必要度が比較的低い人を対象とする.「新予防給付」で、寝たきりなどになることを予防するためである.2006年4月から実施の予定である.又、現在は制度の対象とならない人(潜在要介護者)を対象とした、筋力トレーニングなどの「地域支援事業」も新たに実施するという.運動機能や栄養状態が低下しているなど要介護になる恐れのある人を、市町村が年1回以上実施する介護予防健診(仮称)などで選定し、サービスを実施するというが、具体像は今のところ判らない.
認知症に関して、小規模多機能型介護が提唱されている.判りやすく言えば託児所ならぬ託老所.2002年12月末の老齢人口は2368万7948人.要介護者認定数は323万3516人.比率13.7%である.この内50%弱は痴呆老人である.2015年には団塊の世代(S22-24生まれ)が全て65歳となるが、このときの老人比率は一挙に23.6%とupして、痴呆者の予想数も250万人と予想されている.
要介護者の8割に認知症問題が付きまとっている.これを地域密着型で解決しようという計画.「通所介護」、「短期入所」、「訪問介護」「入所」を全て引き受ける小規模事業所を想定しているという.まるで小さな政府構想だが、まだまだ実案が挙がってこない.


負担増の一端.2005年10月から介護施設入所者の個人負担が増える.食費などが全額自己負担の在宅に比べ、その一部が保険から出ている施設の場合は、「割安感」が強く、施設志向に拍車をかけている.この格差を改めるとともに、膨張する保険給付費を抑えるのが狙いだ.要介護5での標準金額.赤字が改正金額、下段は現行.
合計 一割負担 居住費 食事
特別養護老人ホーム 個室 13.4万
10.0
2.6万
3.1
6.0万
4.5
4.8万
2.6万
相部屋 8.7万
5.6
2.9万
3.0
1.0万
0.0
老人保健施設 相部屋 8.9万
5.9
3.1万
3.3
介護療養型医療施設 相部屋 9.5万
6.3
3.7万
3.7
(ただし、居住費・食費とも低所得者には一定の配慮を設け、所得段階に応じて居住費は0-5万円、食費は1-2万円となる見込み).医療費と同様、施設においては居住費と食費が給付対象から外された.月額3万円増となる.ショートステイも含まれている.入所者77万人が影響を受ける.これは、財源が足りないので諸々の理由をつけて給付を減らしたということ.又、介護保険の全サービスについて、事業者に支払われる介護報酬が2006年4月から改定される.その見直し作業も来春から本格化する.介護費用の負担は、毎年10%以上の割合で上昇している.今後、給付が減っていくのは目に見えている.保険料は3年ごとに見直されるのだが、こちらの負担も増える一方である.


意見!介護保険に限らず、社会保障は質と量が大切.それには、経費がかかるのだが質量の改善より、経費節減のプランしか模索しないのでこの制度に多くを望むは無理というもの.公共事業を国際標準に削減すれば財源はできる.更に特別会計の無駄をなくせば、当面は現状維持できるのであるから財源抑制にとらわれない制度を検討すべきであろう.

参考
1)2004年11月17日/12月29日 読売新聞
2)2005年7月4日 下野新聞

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