私見 | 国民の年金が蝕まれている.第三者機関で運営すべし!H16/4/15 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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1 | 公的年金の目的は、老後の生活を豊かにする為である.この目的の為に、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、その加入(年金費用を国に支払う)が義務付けられています.この財源と政府の補助金が、公的年金の財源になります.判りやすくする為に表で説明します.現在の制度では、「基礎年金+上載年金」という構成です.更に老後に備えたい時には、私的年金に加入する方法があります(公的・私的の区別を認識しておくこと).その前にこの制度の経緯を簡単に記します. ・前身---恩給制度(対象は軍人と官僚) ・1942年-労働者年金保険制度(対象が民間企業労働者に拡大) ・1961年-国民皆年金(対象が自営業、農家、漁師等に拡大).特別会計を設置.
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2 | 年金の給付はどうなっているか調べてみます.基本的には以下の3種類の支給が存在します.原則として加入年数が25年以上にならないと支給されません.満額給付は40年年加入者のみ.支給額の計算・支給の手続きもかなり煩雑ですので注意が必要です.
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3 | 経費の問題.年金の徴収と給付の担当は社会保障庁です(http://www.sia.go.jp).公的年金制度を運営するに当たり費用が生じます.いわゆる事務費です.年間3000億円かかります.現在国民年金は13300円ですが、そのうち1077円は事務費で消えてしまいます.同額の厚生年金の事務費は13分の1.同額の所得税(国税)徴収にかかる費用は6分の1です.ここでは国民年金の効率の悪い事務費と未納率27%の問題を提起しておきましょう..未納の問題は徴収法の変更が原因.納入窓口が市町村町の3200箇所から社会保険庁の265窓口に減ってしまったのだから不便この上なし.この時世にサービスを低下させれば言わずもがな! | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
4 | 問題は積立金の運用にあります.積立金というのは徴収額と支給額の差分です.皆年金制度が始まって44年目になりますが、2001年度末での積立金は約144兆円(国民年金20兆、厚生年金125兆)です.その他厚生年金基金に36兆、共済年金に50兆別個に存在し約230兆円.現在の収支は、徴収料と給付量がほぼ均衡しており積立金は生じ難いです.つまり高齢人口が少ない時に積立てが出来たのです.今後、老人人口が増えるので、保険料、積立金と国庫負担金で給付が続けれるかシミレーションすると、現行の保険料では2025年には給付が難しくなり、2050年頃には年金制度自体が危なくなるのです.積立金を増やすという名目で投資等の運営が行われる訳ですが、黒字なら積立金が増え保険料の値上げをしないで済みますが、2001年に1兆3000億の赤字を計上し、2002年は2兆の赤字、これまでの赤字が1兆7000億あり合計5兆円が目減りしました.従って保険料はこの損失を補う為に上げざるを得なくなる(1999年から公的年金の引き上げは凍結されていますが、5年に1回は見直すとい取り決めがあります).この運営は旧大蔵省の「資金運用部」と厚生労働省所管の「年金福祉事業団」という特殊法人が行ってきましたが、2001年4月からは厚生労働大臣が定めた基本方針に基づいて、「年金資金運用基金」という特殊法人に鞍替えしています.そのところに厚生年金と同様59億の出資金を出しています.旧大蔵省管理では、郵便貯金の資金とともに財政投融資としていわゆる特殊法人(責任を問われないずさんな赤字経営体質が殆ど.天下りの巣窟で高給搾取.事業行っても税金は納めない.例:日本道路公団.グリンピア等の福祉施設建設問題.社会保険庁職員経費への流用)に貸付られていました.厚生省管轄の特殊法人に運営組織が変わっても体質が変わったわけではありません.資金の流れを見ていただければ判るようにトンネル会社です.この基金の会計が情報化されているかといえばnoです.事務費にどのくらい支出されているかも不明朗です.
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5 | 運用評価にバランスシートを導入すべし.日本道路公団がバランスシートを作っていた、いや無いと大騒ぎの種となりました.貸借表のことです.民間会社なら事業経費の出納は厳しく管理され、成績が悪ければ責任を問われ倒産の憂き目を見ることもあります.特別会計や特殊法人の会計にはそれが無い.理由は「財源が公金だから責任はtopにある」というものの、これは詐欺行為でしょう.結局、官僚とその取り巻きが美味しい部分として、隠し持って離さないという図式は、監査もなければ責任の所在も問われないために起こるのです.悪徳公務員は弾劾されるべきです.それを実行するのは国の責任です.さて厚生年金のバンランスシートはどうなっているか?一橋大学経済研究所教授の高山憲之氏によれば、2000年3月末に於ける厚生年金のバランスシートは1996年に保険料が給与の17.35%になってからその保険料が継続されるとすれば、給付債務1430兆円、年金保険料1170兆円、国庫負担金180兆円で債務超過が80兆円となっている.しかし過去の保険料拠出関しては450兆円の債務超過があるという.合計530兆円は財源不足となっているという.先が行き詰っているのを知っておいて無駄な年金福祉施設の建築を進めたり、他に資金を回す余裕など無いはずなのにまかりとうす官僚の横暴が実在しているのは決して許せません.今国会ではこの債務超過を減じる為を含め、論議されているところです.各党の年金政策は以下から参照してください.http://www.yomiuri.co.jp/iryou/ansin/an3a2801.htm | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
6 | 年金を本当にもらえるかという心配.年金は貰えるまでに時間がかかるし、給付資格年数が足りなければ無駄な保険料である.国会議員の年金は給付資格年数が10年、公費を使って支給額は年間420万!自分たちだけに通用するごまかしもやっている.払った保険料は今の老人に給付されて確かに役には立っているが、官僚が積立金を流用したり浪費している.運営も赤字ばかりなのに、自分の職場(特殊法人)を簡単に作って事務費と称して給料泥棒をしている.サラリーマンは給与天引きで不払いは出来ないが、国民年金では不払いが多いのに、何の手も打たない.こんな事例が年金不信の理由でしょう.国民年金の未徴収額は8兆にも及ぶわけです.2003年を含めれば運営赤字と同額ですけれど(こちらは穴埋めできない).この未納金は厚生年金と共済年金で穴埋めするのですね.だからサラリーマンは負担が何倍にも感じるのです.未納者には罰則なども決められているようだけれども、国民に義務と称して何の説明もせず、情報公開もせず、給付を受ける為に複雑な給付手続きを毎年強いるのは、給付しぶりと思われても仕方が無いでしょう.国に落度があるのは明白です.特別会計という省益・利権を捨てて、国民に還元すべきでしょう.もともと保険料は国民のものですから.預かった者が、利用できる性格のものではない(一旦組織を作りお金を集めると、どんな小さな組織でも余剰金を積み立てようとする.それは間違い.必要無いお金は返還すべし).官僚が知恵を絞って改正してきた、つぎはぎだらけの年金制度.選挙に通っただけの勉強もしていない政治家に直せるはずがないと多寡をくくっているはずです。政治家はきちんと勉強して抜本改正する責任があるのです。出来ないなら、せめて悪徳官僚を首にして欲しいのに、要らない新たな特殊法人を作って職場を与えてるのは恥の上塗り. | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
7 | 04/4/27追補.先日厚労省が厚生年金の収支試算を発表した.今回の年金制度改革改革法案を下に2100年までの収支を試算したものである.これによれば430兆の赤字で、高山氏の試算と20兆円の違いがあるが今回の改革案を用いてもこうである.改革になっていないのは一目瞭然.政府案ではこの不足分を現役世代がこれから支払う保険料で穴埋めするという.これに対し民主党案は3%程度の年金目的消費税を導入するという.いずれの案も赤字の補填を国民の負担で解消するというもの.赤字の原因には触れていないのは何故なのか!この赤字は中高年が積み立てた保険料に対し実務が伴っていない結果である.この負担を若年に持ち込めば、厚生年金離れが加速する.国民年金は先に述べたように未徴収・未払いが多い.お互いの保険で穴埋めはもはや困難.給付の確実性がなければ年金不信はさらに加速する.つまり積立てなどせず60歳から給付を実行し、スェーデンン方式を導入.定額と定率の保険を一元化すべきである.確実に年金が給付されれば加入は確保できるし、加入が短くても定率でも一定期間給付が受けれるようにすべきです.議員年金は美味しいところだけとって、さらに公金を支給ですから何が何でも選挙は通りたい、絶対やめたくない構造がこんなところでも見え隠れします.もっと美味しい事があちこちにあるんでしょうね. | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
参考 | 1:社会保障庁ホームページhttp://www.sia.go.jp 2:高山憲之ホームページhttp://www.ier.hit-u.ac.jp/~takayama/ 3:文芸春秋、日本の論点2004、P506、P510. |