混合診療導入=保険給付範囲縮小化の布石
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診療報酬: 診療報酬は、以下の医療行為の合算により算出され、診療報酬=A診察料+B検査料+C処置料+D薬剤料となります. *(ABCを診療報酬の本体部分、Dを薬価といいます) |
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保険診療と自費診療について: 診療費は、健康保険でまかなわれる「保険診療」と、その保険外の「自費診療」とに分けられます.保険診療では、診療行為ごとに診療報酬(保険点数)が綿密に定められており国内一律です.従って診療報酬に規定がない診療は、原則的には保険が適用されません.保険の給付割合は、保険によりことなりますが10割から7割の間です. 自費診療の料金設定には規定がありません.診療報酬点数の10倍が基本になりますが各医療機関が自由に料金を決めています. 保険診療と 保険外診療(自費扱い)の2つが混在した場合を「混合診療」といいます. 多くは、行われて診療行為が、診療報酬の適応になっていない為です(通常はなるべき似ている医療行為に準じて請求できる).ここで注意が必要なのは、保険扱いとされている医療行為であっても、自費扱いとなることがあることです(以下). 「医療行為により、保険適応と適応外がある」 例えば「ヘリコバクター・ピロリーの除菌治療」は、胃・十二指腸潰瘍という診断で行われる場合は保険適応となりますが、それ以外では「保険適用外」となります.癌予防の為に、「ヘリコバクター・ピロリーの除菌」行う場合は、「自費診療」となります.その際同時に、他の保険診療を受けていると「混合診療」となり、全てが自費診療扱いになります. *診療報酬の自己負担 「保険診療」では、医療行為ごとに、保険点数(1点10円)で定められた診療報酬(2500種類)に、健康保険の定める患者負担率をかけたのが自己負担額.また保険診療であっても、消耗品(使い捨ての器具)などの実費負担が必要な場合には、別途自費分として請求されることがあります. |
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混合診療とは: 日本の医療費は、通常Aで構成されています.
今回、国は混合診療を認めて、こういった不合理を無くし医療費を軽減すると言っています(下図).
確かに、Bの場合、Cとなれば保険で補われる形になり医療費は軽減します.しかし、ここに落とし穴があるあるのです.一旦、混合診療を認めるとD,D'の医療費構成が導入される可能性が大きくなります.つまり今迄適用されていた保険がはずされる事態が予想されるのです.
緑色の部分が減り、黄色の部分が増えているのがお判りと思います.90%以上の医療はAの構成ですので、これがDとなれば自己負担増は明らかです.Cが実現してもD'になってしまえば、結局、自己負担は増えてしまうのです(医療機関の収入が増えるわけではありません). 介護保険は医療から介護部分を分けるということで導入されたのですが結局、介護保険料を負担することになりましたから医療費負担は増えております.現状では、健康保険適用医療も、近い将来に適用外とされるのが目に見ております.先ず感冒(風邪)が槍玉に挙げられると考えます.つまり風邪は、先ずコンビニで薬を買って自宅で様子を見なさいということにです.インフルエンザだったら大変なことになります. |
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結論! 国の医療費抑制政策は、国の負担を軽減する政策ばかりです.国民の健康に財源を使ってこそ有意義と考えます.Cは早く導入すべきですが、Dを望みません.現況では混合診療は百害あって一利なし.先ず、健康保険適用外の治療を保険適用枠に厳格な基準で取り込むべきです(F図).医療費財源は国の予算構成の改革、保険料の適正化と徴収方法改革、医療関連事務費等の効率化を図れば可能と考えます.
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