ラジエター補修



 以前、車体にもぐりこんで整備していたときに見つけた左ラジエターの変形。この車体は左に
転倒したダメージが多数見受けられます。転倒時にオイルクーラーとヒットしたのか、コアが
変形を通り越して潰れています。そこでオークションで中古ラジエターを見つけたのですが・・。

これが今の左ラジエター。今まではコアのつぶればかり気になっていましたが
なんか反ってる?写真の写りか?漏れはないんだが気になる。

なのでオークションでラジエターを探すが、最近出品されない。以前は結構安く出ていたのが、
探す頃にはないという皮肉。唯一あったのがこのラジエター。かなり強気の値段だった。コアの
変形がないだけで美品扱い。すでに出品中の写真で気になる点もありましたが、
アホなので落札してしまいました。

気になった点1。左右連結のジョイント口でしょうか。掲載写真でも変形が見受けられましたが
現物を確認すると、結構大きな変形・・・。さらにガリ傷。どうすればここにこんな
傷がつくのか・・・。強くクランプすれば漏れないのか。でもこのガリ傷は取らないと
ホースを傷つけそうです。

真上からみる。ひしゃげてます!ガリ傷のめくれも大きい。

掲載写真で気になった点2。ステーの曲がり。落札前に今ついているラジエターのステー部を
見てみました。自分のもまっすぐじゃなかった、と思い落札品をみてみるとかなり強い変形!
あきらかに正規形状ではないことはグロメットの変形が物語っています。やっぱり普通は
まっすぐだよなぁ。自分のも転倒ダメージ車なので、転倒するとラジエターのステーが
曲がるものだと想像できます。クラックも視認できます。


ジョイント部の変形具合を確認するためにほぼ同径のソケットを入れてみます。
かなしいつぶれ、ひしゃげ、変形・・・。こんなの直せるのか。
体積一定の悲しい現実。押されればどこか逃げます、当然。

今のラジエターも潰れているが、漏れはないので最悪、最悪、この落札品は壊しても
走行には支障はない・・・。出費の大きさに精神的ダメージは計り知れないが・・・。
アルミ?ダイキャスト?延性?脆性?ダメもとで叩いていきます。
エッジの少ない工具を使って・・・。家中にハンマー音が木霊します。


?意外に変形させることができます。細かな部分のたたき出しにはラチェットの
エクステンションバーなんかで叩いていきます。

だいぶ円に戻った?接続口エッジはギタギタですが。

もうひとつ変形箇所。ここは掲載写真でも見えなかった。L字パイプの口。
見事に楕円。たたき出してみて小さな力で変形することを実感。でもここはどうして
変形するのか?いや、純正は真円じゃないとか!?いろいろ想像してしまいます。

ここもメガネなんかでグリグリ叩きます。

真上から眺めると、まぁまぁ丸い?L字部が潰れて細くなっていそうだけど、
変形したのか、そもそも曲げ成形時からのつぶれなのか?まぁホースのクランプ部付近が
丸に近ければいいのですが。

ラジエター下部のジョイント口は潰れが見られなかったので内径を測ってみます。φ22?

修正箇所をそれぞれ8方位で測定してみます。測ればおよそみんなφ22。
なのにめがねレンチを突っ込んでみると入る方向、入らない方向があるので真円ではない・・・。
もう気力の限界でこの程度であとはホースのクランプ力に期待。

このめくれをとらないと。

カッターでも取れたかもしれません。鋼尺でノミみたいに叩いたら削れました。

めくれは取れました。返しも残っていそう。ただ返しの量は均一ではなさそう。

コアを直すためにガードを外します。

マイナスドライバーよりはカッターの刃のほうが細かな隙間に入れやすかった。

ガードを戻して終了。コアの変形は確かに少ないのですが、その他の問題が多すぎです。

まだまだ続く不具合のオンパレード。今度はステー。こうしてみると予想以上の変形。
曲がりと言うよりはねじれている。ねじれは厄介。まずはグロメットを外します。

結構肉厚なステー。直接叩くのも傷がつきそうなので当て木をして叩いてみます。が、
力が逃げるのでしょうか。なかなか直らない・・・。ねじれだから手ごわい。

叩いても叩いても隣のステーから定規を当てると平行面にならない。ねじれのクセが
どうしても残る。小さなペンチやプライヤーでつまんで矯正しようとするが
面ではさめないのでまったく力が加えられない。圧着ペンチは口が長いので
先端から奥まで挟んでグイっと曲げる。おぉ力が加えやすい。曲がってきた!
とんでもなくギタギタの傷が残りましたが・・・。

だんだんまっすぐになってきたが、少しクセが残る。欲張ってふぁいと〜!いっぱ〜っつ!
下敷きの雑誌の広告に促され思いっきり力を加えて見ました!
「カッキーン」といい音とともにまっすぐになりました

音の原因はクラック!見事に割れました。クラックは進展すると厄介なので
なにかケアしないといけません。ロウ付けは器具も練習もする時間もないので金属用の
パテを探すことにしました。

見つけたのはこのパテ。GM-8300。金属の接着に定評がありそう。金属粉が充填されているので
磨けば金属光沢もでてくるとのこと。今回陰の部分なのでそこまでしませんが。

こちらが主剤。このキットは4回使用分の主剤と硬化剤が入っています。

こちらが硬化剤。

添付の計量パレットに主剤と硬化剤をすりきりまで入れます。が、粘度があるので
ぴったりではないでしょう。細かいことは気にしないことにします。

パレットの上で混ぜ合わせるらしいのですが、手近にあった紙コップを使いました。
主剤に硬化剤を投入します。

練りあわせます。少しゆるゆるになってきます。

指ですくうとちょっと尾を引くくらいです。今回使用量はこのひとすくい分でした。
非常にもったいないですが、混ぜ合わせは1回計量分単位で行ってくれとのことです。
残り3回分あるということです。これくらいとろみがあればラジエターに漏れがあった場合
簡単に補修できそうです。

ステーのクラック部に塗りこみました。表面にうっすら塗った層分の強度アップですから
強度はそれほど期待できないと思います。強度は母材でうけもち、パテはクラックへの
応力集中を緩和するのがやっとと思います。

ガリ傷もクランプ部への流路になりそうなので埋めておきます。
硬化のために放置しておきます。

パレットとへらは次回の使用に備えてきれいにふき取っておきます。
ラジエターに漏れがあった場合再び登場となります。
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