集団とベクトル/宗教考(1)


今回は宗教に関る話。違う意味で危ない。

すっかり都市伝説から離れてるけど、まあいいか。

 

最初に、これだけはお断りしておきます。

別に私は何とか教の信者とかいう訳でもないし、

ある種の宗教を非難しようとしている訳でもありません。

それでは、この点をふまえて・・・。

 

バタイユという人が、宗教史についてこんな様な事を言ってました。

「宗教というものは、神という存在を定義づける事によって、

逆に人間にも簡単に理解できる段階まで引きずり降ろし、

その力を限定している。」

こんな感じだったかな。

 

個人的には、こう考えています。

 

宗教と言うモノは、大きく2つに分類されます。

原初の宗教と近代の宗教ですな。

原始の宗教とは、言うまでも無く自然崇拝を主とした

宗教体系のことです。

 

近代宗教の特徴というのははっきりしていて、

「崇拝の対象としての“神の擬人化”」

これにつきます。

 

神に人格(神格?)を与え、場合によっては役割を与えたのは何故でしょう?

 

私見ですが、

宗教の始まりは恐怖だったと考えています。

感謝なんかでは無く。

「ハワード賞」で有名なH.P.ラヴクラフトという作家がこう言っています。

「本当の恐怖とは、存在が見えないモノへの恐怖である。」

つまり見えない恐怖の方が、空想の入る余地があるだけに

かえって恐怖心が膨らむという事です。

それを払拭する為には、その恐怖の対象を見極めなければいけない。

でも分からない。

そんなときには、分からないなりに結論をつけようとします。

これは人間が元々持っている心理で、まあ、

童話「すっぱいブドウ」を思い出していただければ

難しい説明は要らないかと・・・。

 

分からないものをオカルトで説明しようとするのは

今も昔も変わらない、という事で。

 

恐怖の対象となりえる存在、つまり雷や火などをあつかう神が

その信仰の中核にいたりするのはよくある話で、

例えばギリシャ神話の「ゼウス神」、ユダヤ教の「Y・H・V・H」とか。

(余談ですが、ユダヤ教の「Y・H・V・H」というのは本来は忌み名で、

決して発音してはいけない言葉なのだそうです。

聖書に出てくる預言者がよく言う

「神の名をみだりに唱えるなかれ」

と言うやつです。が、後年それでは具合が悪くなってきて、

いつの間にか「ヤハウェ」とか「ヤーヴェ」とか発音する様になったとの事。

本来の発音が何なのかは謎。

聖書の、こういった「便宜上の改ざん」というのはけっこうあるのだけれど、

その話はいずれ)

 

日本にはそれは当てはまらないんじゃないか?という人も多いでしょう。

確かに神道の至高神である天照大御神は太陽神だしね。

それに対する(私見の)回答はあるのだけれど、

長くなるし、その手のネタは「かなり」ヤバそうなので、いずれかの機会に。

 

これだと逃げだと思われそうなので軽くふれると、

日本にもキリスト教に劣らない改ざんと異教排他の歴史があって、

これはその結果だと考えています。

教科書では平穏な移行として語られている縄文→弥生への

文化の移行を始まりとする日本全土を覆った数百年間の戦乱と

無関係ではないと思います。

 

何故神道は八百万もの神がいるのに、火の神がいないのか?

火の神ヒノガクヅチは何故誕生した瞬間殺されたのか?

 

気になるでしょ?

でもこの話に触れると必然的に「天皇ネタ」になるからなぁ。

ま、この話はいずれ。

 

なんだか話が逸れまくりで収集がつかなくなってきたので、

このあたりで強引にまとめに入ります。

 

宗教の発祥は恐怖からだった。

で、分からないなりに対象を見極めようとします。

自分たちの知りえない、何かのせいだと。

それが精霊のせいであったり、神の業だったり。

こうして原始宗教が始まります。

人々は、その「なにか」に対して対応をとろうとします。

生贄や供物などをささげて、

「どうか自分たちの営みを妨害しないでくれ」と、

それこそ祈るような気持ちで。

それが慣習となって、やがて文化になります。

そして近代宗教が始まるわけです。

 

神に対してのキャラクター設定が施され、

その神にどんな力があるのか。

どういう存在なのか、それが定義づけられます。

そして神に対する祈り方等が定義づけられます。

つまり、人間が神を制御できるようになる訳です。

 

昔の人が意図してそうしたのかは分かりませんが、

それこそがバタイユの言う「力の限定」な訳です。

 

あぶねー話だなぁ。気を悪くしないでね。

戯言、戯言。

 

 

うーん、本当は宗教での集団心理について書きたかったのに・・・。

ま、その話は次回に。

 

今回はこれで終わりです。


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