要塞監獄/プリズナー107

原題:Last Light
製作年:1993
監督:キーファー・サザーランド
脚本:ロバート・エイゼル
キャスト::フォレスト・ウィテカー,キーファー・サザーランド,クランシー・ブラウン,アマンダ・プラマー

内容:ある刑務所に新しく看守として赴任してきたフレッド(フォレスト)は、死刑囚107号のデンバー(キーファー)という男を担当する。穴蔵という懲罰室にいた男は、真っ暗なその部屋に素っ裸にされ何日も放りこまれていた。憔悴し切った様子のそれは、人間ではなかった。フレッドの上司のマクマニス主任率いる看守達は、囚人の虐待を日常的に行っていた。「あいつらは俺達と同じじゃない、クズだ」と暴力の正当性を主任は主張する。デンバーを人間の屑と嫌悪はしていたが、暴力を忌み嫌うフレッドは、デンバーがどんなに挑発しても手は出さなかった。そんな自分を人間らしく扱ってくれるフレッドにデンバーは少しずつ信頼を寄せて行く。そしてフレッドも暴力に馴れてしまい、それが当たり前のように思っているデンバーに同情を寄せ始めていた。
 ある日、デンバーの弁護士がフレッドに「デンバーを原告にし刑務所内の暴力の実態を暴きたい」と言って来た。刑務所内の暴力のひどさは分かっていたが、マクニマスを敵に回せば、刑務所でやりにくくなる。家族を養っていかなければならないフレッドは、最初その依頼を断った。しかしマクマニスのデンバーへの異常な暴力を目の当たりにし、フレッドは主任を訴える事を決心したのである。

感想:でたー!キーファーのオールヌード!!これだけで私はもう満足!(苦笑)
キーファー・サザーランド監督デビュー作品です。監督の素質ありと言われただけあって、いい感性で作られてありますよ。
さて、私の感想を1言で言うと「くやしいわ!」です。私はこういう役には同情しません。人を殺したのですからそれ相応の罰を受けるのは当たり前と思うからです。なのにこの作品を見たら、とても複雑な気分になりました。「彼の人生って一体なんだったんだろう?」って。うーん、くやしい!
このデンバーという男、14歳で矯正施設へ入り、人殺しを重ね刑務所の出入りを繰り返し、挙句に看守を殺して死刑を宣告される極悪人なのです。が、そんな男をキーファーは実に憎い人物像で演じてしまっているんです。デンバーは人生のほとんどを暴力が横暴する刑務所で過ごした為、人とのコミュニケーションを暴力や怒りでしか取れず、それが普通だと思っている。極悪な犯罪を繰り返した男なのに、素の姿はまるで少年のよう。普段のデンバーは穏やかで、頭のよい所を垣間見せ、道を間違わなければ大成していたかもしれないと感じさせます。暴力がすべてだった刑務所に育てられ、最後はその刑務所を作った州に殺される男を本当にさり気なく見事に演じています。そして死刑執行の時、不安と安堵の入り混じった顔でフレッドを見上げる眼差しは、なんとも言いがたい哀愁があり、死刑執行後も、死刑に値する罪を犯したのだから当たり前の最後だと思いながらも、とても物悲しい気分になりました。
 最後にデンバーが電気椅子にかけられるシーンは、滅多にお目にかかれない死刑執行風景を見ることができます。淡々と進められていく様子が逆に死への時を刻むようで、こっちまで緊張して来てしまいました。絶対に座りたくないぞー!と思います。マジで。
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