連鎖犯罪/逃げられない女

原題:Freeway
製作年:1996
監督:マシュー・ブライト
脚本:マシュー・ブライト
キャスト:キーファー・サザーランド,ブルック・シールズ,アマンダ・プラマー,リース・ウィザースプーン

内容:母親は娼婦、義父は薬中毒という家庭に育った16歳のバネッサは、両親2人が刑務所行きになり、里子に出される事になる。金目当てでの里親の所へ行くのがいやだったバネッサは昔聞いた事のある実父のおばあちゃんを当てにして、引き取りに来た係員の車を盗み逃走した。フリーウェイを走る途中で車が壊れて困っていると、1人の男(キーファー)が手を差しのべてきた。小綺麗で知的な雰囲気の男は、学校でカウセリングの仕事をしていると言う。 すっかり信用して、身の上をうち明けたバネッサだったが、実はその男は最近ハイウェイで娼婦や不良の女性ばかり狙った連続殺人の犯人だった。彼女もその男の魔の手に掛かろうとしていたが、土壇場で逆転、この男を撃ち殺す。しかし、その男は生きていた。男は自分を撃ったのはバネッサだと証言し、バセッサは逮捕され刑務所へ送られる。「その男は連続殺人の犯人で、証拠もある」と訴えるが警察は不良娘の言うことなど信じない。バネッサは金品目当ての為善良な市民を殺害しようとしたという罪で、成人の刑務所へ護送されることになった。

感想:クレジットでは一番最初に名前が出てきますが、主役はバネッサ役の女の子。ちなみにこの映画では、キーファーいい所なしです。なので見なくていいですよ。(^_^;)
この映画の映像とコンセプトはとってもいいと思う。 主役のバネッサの不良ぶりもスカッっとして前向きな所は大いに好感が持てます。全体的に世間ズレしているような雰囲気も良く出ていました。 ただ、このフリーウェイの殺人犯にキーファー・サザーランドを当てたのは、失敗だったような気がします。これは「好きな俳優 がこんな悪役なんて嫌だ!」ってものではありません。好きな俳優が悪役を見事に演じきってるのは拍手ものです。 ただこの役は、キーファー向きではなかったのではと思うのです。インテリという役はとても彼のイメージに合っています。どんな粗野な役をやっていてもどことなく育ちが良さそうに見える彼だから、インテリという役もぴったりハマります。しかし、頭のイカれたインテリとなると、かなり存在が薄くなってしまってます。ま、最初のフリーウェイのやりとりと、裁判ですごい顔を披露するのと、最後に彼女と対決するぐらいしか出て来ないので、その狂気ぶりが十分表現できなかった様にも思いますが、残忍さが全く伝わってこない。これは役者が下手というよりもキーファーの役者の素質の中に、そういう素質がないからだと思うのです。落ちぶれてもどこか品がある素質はあっても、品が良くても実は残忍という素質 がない。これは明らかに配役の失敗でしょう。
それと脚本がもう少し。彼女の周りで起きる不幸とか、殺したハズの男が生きていて、自分を殺そうと追ってくる所とか、 最初は信じていなかった警察官が彼女を信じ始めて調査に乗り出す所とか、話の興味を持たせる素材はいくらでもあるのに、 どれもこれも中途半端であやふやなのがすごく残念。少女が自分で運命を切り開く姿、殺人犯の狂気、警察官の活躍ぐらいに 絞って、きっちりまとめればすごくいい映画になったのでは、と思います。
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