バロウズの妻

原題:BEAT
製作年:2000
監督:ゲイリー・ウォルコウ
脚本:ゲイリー・ウォルコウ
キャスト:コートニー・ラブ,ノーマン・リーダス,キーファー・サザーランド、ロン・リビングストン

                
内容:ジョーン(コートニー)のアパートに集まったルシアン(ノーマン)、ジャック、アレン、そしてバロウズ(キーファー)とデーブは、酒とドラッグを楽しんでいた。バロウズはデーブの思いに悩むルシアンに、デーブを利用するだけしたらさっさと国外へ逃げるべきだ、と忠告する。ルシアンは納得しそうする事にした。しかし、デーブと2人で酒を買いに行ったルシアンは、デーブに言い寄られ暴行されそうになり、デーブを殺してしまった。
数年後、メキシコに住んでいたバロウズとジョーン、2人は結婚し息子がいた。生活も苦しく同性愛に走る夫に相手にされないジョーンは酒びたりの生活を送っていた。ある日、旧友のルシアンとアレンが2人を訪ねて来るというのに、バロウズは若い男と一緒に旅行へ出かけてしまった。「僕から君への休暇をプレゼントだ」と言い残しバロウズが行ってしまった後、ルシアンとアレンが到着した。ルシアンはあれから2年服役した後、ジャーナリストになっていた。3人は火山を見に行こうと言う事になり、旅に出る。その旅先でルシアンはジョーンを今でも愛している事を、アレンはルシアンへの愛に悩んでいる事を、ジョーンに打ち明けた。バロウズと別れてNYへ行こうと誘うルシアンに1度は考えたジョーンだったが、それでもバロウズを愛している事に気づき誘いを断る。一方、そっけないボーイフレンドと旅をしていたバロウズも、男の体を求める一方でジョーンを愛している自分に気づく。日常に戻ったジョーンとバロウズは、窮地の陥った生活の金を作る為、銃を売る事にする。その場には、バロウズのボーイフレンドも同席しており、ジョーンはさんざん嫌味を言った後、バロウズにウィリアムテルごっこをしようと言う。頭にグラスを乗せるジョーン、それを銃で狙うバロウズ。弾はグラスには当たらず、ジョーンの頭を打ち抜いてしまったのだった。

感想:これは分かる人には分かるけれども、分からない人にはぜんぜん分からない映画でしょうね。私も分かったかと言うと、自信ありません。私なりに「なぜバロウズの妻は愛する夫に殺されたのか」というテーマを解釈してみました。それぞれがそれぞれに報われないと分かっている愛を持っていて、相手の事も考えて自分の事も考えて悩みに悩んでいる。バロウズもジョーンもルシアンもアレンも、それぞれ求める愛を期待して旅に出るのだけど、結局ジョーンもバロウズも自分のパートナーは1人しかいないと確信しただけ、ルシアンもアレンもあきらめる事でしかできなかった。だからと言ってその後の生活が変わる事はない。しかしジョーンは試したかったのかもしれません、バロウズに自分がどれだけ愛されているのか。バロウズの方はまだ揺れていたんでしょうね、そしてジョーンを殺してしまってから気づく、その愛の深さ。この後バロウズが活躍をしたというのを考えると、そういう風に思ってしまいました。大小あれど、みんな壮絶な愛ですよねー。

 キーファーですが、今までいろいろなキーファー作品を見てきて、やはりキーファー目当てで見ている事が多いのでどんな役でもキーファーはキーファー、違う顔を持つキーファーでした。しかしこの作品では、顔や声は確かにキーファーなのですが、映画が進むにつれてキーファーには見えなくなってしまったのです。これはウィリアム・バロウズでした!しぐさやしゃべり方にいろいろ特徴を持たせていて、かなり役作りをしたみたいですよね。同性愛者という今までまったくしなかった役のせいでもあるんでしょうが、見ているうちにキーファーという俳優ではなく、ウィリアム・バロウズという人として見ている自分がいました。うーん、これはすごい事ですよね。キーファーもここまで来たか!と思いました。
 この作品のお楽しみは、なんといっても若いボーイフレンドにつれなくされて、いじけた表情のバロウズでしょう!「あんたなんという顔してんのよ」と思わず苦笑してしまいました。それからウィリアムテルごっこの前のバロウズとジョーンの2人のショットがとても素敵でした。どちらも華やか!
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