1969

原題:1969
製作年:1988
監督:アーネスト・トンプソン
脚本:アーネスト・トンプソン
キャスト:キーファー・サザーランド,ロバート・ダウニーJr.,ウィノナ・ライダー

          
By Brendan
内容:幼馴染のラルフ(ロバート)とスコット(キーファー)は、大学の休みにヒッチハイクしながら、地元へ帰って来た。スコットの父親は第二次大戦で勲章をもらった軍人で、兄も間もなくベトナム戦争へ出兵する。スコットの父親は国の為に戦う兄を誇りに思い、戦争に背を向けるスコットを蔑んでいた。スコットもそんな父親や兄が嫌いだった。二人が大学へ入ったのは徴兵を逃れる為だったのだ。「退学になったら終わりだ」とそつなく大学生活をこなすスコットに対して、ラルフは気ままに過ごす。ラルフの妹ベス(ウィノナ)のハイスクールの卒業式の日、ラルフはドラッグの中毒で危うく死にかける。一命を取り留めたものの、大学を退学になったラルフに徴兵命令が下るのは時間の問題だった。二人は車に乗り、自由奔放なヒッピー生活に繰り出した。しかし、久々に立ち寄った故郷で、スコットは兄が戦地で行方不明だと聞かされる。ラルフとスコットそしてベスは、役場に忍び込みラルフの戸籍を盗み出そうとする。戸籍を盗めばラルフの存在がなくなると思ったからだ。しかし、警察に見つかりラルフは刑務所へ入れられてしまう。スコットも父親に歯向かい勘当されてしまった。ずっとスコットの事を好きだったベスは、旅に出るというスコットに着いて行く事にした。カナダに逃げればもう関係なくなる・・・そう思っていたスコットだが、ベスはそれは間違っていると言ったのだ。

感想:こう言った、製作者が作品にメッセージを込める作品は、結構説明がましく、説教ぽくなって面白さが半減してしまう事が多いのですが、この作品にはそういう鼻につく所はまったくありませんでした。それにこの作品、キャラクターの立場や設定が見事にばらばらで、必ず誰か1人に共感を持てるのです。そして、そのキャラクター誰に共感を持っても、最後は映画のメッセージが読み取れる、見事な脚本です。同じ年ぐらいの、同じような感性でいる若者が置かれた現実。そういう行動に走ってしまう気持ちがものすごくよく分かるだけに、戦場や血が出てこなくても戦争のむなしさが一層心に染みる気がしました。こう言った時代に生まれてしまった若者のそれぞれの気持ちが、明るくそして真剣に描かれていたように思います。見終わった後「戦争の事をちゃんと考えてみようかな」と思える映画でした。こういう映画を見て、戦争の事を考えて見るのもいい機会なのではないでしょうか。

さて、この映画のキャストは、今までのキーファーの共演の中で、一番しっくり行くものではないかと思います。ロバートJr.とキーファーの演技の相性がすごくピッタリ来ています。本当に親友同士みたい!ウィノナとのバランスもいいですね。キーファーとウィノナが惹かれあうシーンは、どちらもウブな感じで、とても甘い雰囲気になって良かったです。父親や兄の前ではちょっと背伸びをして見せる所や、ラルフのやんちゃぶりを何気ない顔してあしらう所とか、この歳のキーファーの等身大の姿が出ていたよう。すごくすごーくナチュラルで、実際のキーファーもこんな感じじゃないかしら、って思っちゃいました。
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