1. そうだ、選挙に行こう

かつて漫才ブームの頃には日本中を爆笑の渦に巻いていた北野武が、最近大阪ガスのCMのフレーズでこんな事を言っている。
「世の中豊かになったって言うけど、将来の分を先に使っているだけじゃないのか」
もちろんこれはエネルギー資源の事を言っているのだが、なにもエネルギーに限った事ではない。
先ごろ、高齢化社会の進行を受けて年金改革法案が施行されることになったが、この実施までに、メディアが関わる問題についていろいろ採り上げ、5兆円かそこらの無駄遣いが明らかになった。世論調査や街角のインタビューでも多くの不満の声が聞かれたが、結局法案は強行採決という形で国会を通過してしまった。
或いは、控除の廃止だの消費税アップだの、じわじわと上がり続ける税金。国家の赤字財政が限界に達しているからだという、一見もっともな理由付けがなされているが、一方では、やれ諫早湾の干拓だの、どこそこのダムだの、あるいはだれも使わない高速道路だの、採算性があるとは思えない空港だの、オリンピック招致に敗れた無人の人工島に建設される地下鉄だの、「税金を使う為」の公共工事は依然目白押しというべき状態が続いている。
所謂「族議員」と呼ばれる人たちはいろいろ言葉遊びで正当性を主張する。
正直私は政治の話にどちらかといえば疎い方だが、それでも話はもっと単純なはずである。
つまり、彼らの主張する「必要性」が仮に正しいとしても、お金がなければ贅沢は出来ない事ぐらい子供でも知っているのである。
もちろんその必要性やら将来の夢物語すら、所詮実現の根拠がないことは既に行われた公共工事などからも明らかである。
これらに関するテレビや新聞の報道を見て、一応の解釈をして、やはり税金の無駄遣い、あるいは無用な自然破壊という意見は、世間話レベルでは一致しているようである。
翻って先般の参議院選挙の投票率をみると60%にも満たない低迷振り。しかも、それが最近成人になったばかりの若い人たちだけではない。私の同僚まで、「選挙行った?あんなモンいちいち行かんよな」みたいな話をしていたのである。ましてや私が選挙に行った話をすると呆れられてしまった。
多分、貴重な日曜日、選挙に行くよりも、街に出たり行楽にいったりするほうが楽しいからだろう。
しかし、仮に政治に対する関心があまり無くても、もし日本が某国のような食糧危機だったり独裁政権だったりすれば、同じ事が言えるだろうか?
たしかにこの国で、何事もなく毎日が過ぎていく限り、実感はないだろうが、これはもはや対岸の火事ではないのである。
たとえば、現在の国の借金は国民一人当たり400万円などという事を皆忘れて日々生活をしている。この借金をある日突然取り立てられたらどうする?
そんな事をしたら暴動が起きるに決まっているので、彼らは少しずつ我々から吸い取るパイプを太くしているのである。
例えば、我々が車のような高い買い物をするとき、見積もりをして、何でそんなに高いんだという話になって、それならこのオプションは我慢しようとか、ましてや無駄なものは最初から付けない、という話になるのが普通だ。
ところが現状はベンツを一家に2台ほど、押し売りされているのと同じ状況なのである。
しかも、ベンツの贅沢さが我々の手に入るのならまだ良いが、実際には、一生使う事が無いだろうダムや、田舎の高速道路・・・
それでも、一応60%近くは投票率があるので、明らかにおかしい政策に対しては多くの主権者は反対票を投じているだろう。しかし、一票の格差が4〜5倍いう選挙システムが合憲化され、ギリギリのところで与党優勢を維持する。これはもはや民主主義の皮をかぶった独裁政権だと私は思っている。
そして、毎日働いて、休日にはどっかに遊びに行けば平穏でいられる国民はこういうことに無関心であったり、お茶の間での他愛ない会話程度で終わってしまっている。
私は北野武の言葉を借りて言いたい。
世の中豊かになったって言うけど、将来の分を先に使っているだけじゃないのか。
つまり、今の平和な世の中は、国民が享受しているものをはるかに超えて役人が勝手に使ってしまった借金の上に成り立っている事を忘れていないか、という事である。
では我々に何が出来るかというと、今すぐできることは一つしかないと思う。
支持する政党がないと言って投票しない人もいるが、現状で投票しないのは与党支持と同じ事を意味する。そして、まず我々が、国民に支持されない政党は落選するというしくみを作らないと、支持に値する政党もなかなか出てこないのではないか。現状は政治家に甘い汁を吸わせてくれる票の比率があまりにも高いため、まずは票がないと始まらない各党は本来の方向性が揺らいでしまっているように見える。そして、久しく忘れられてしまっているが、この問題に対して唯一といっていいほど気を吐いていた石井こうき議員が闇の力によって殺害された事も忘れてはならない。恐らくはこの事が首謀者の思惑通りの見せしめとなり、彼の後に続くような人はいなくなってしまった。このような不条理にメッセージを残せるのは国民だけではないのか。
先日、ある本でこんな事を読んだ。すなわち、労働者というのは2つのタイプに分けることが出来る。
一つは、税金を払う為に働く労働者。もう一つは、税金から仕事をもらって働く労働者である。
今回の投票率60%をこの二つに振り分ければ、どんな事になっているか、大体想像がつくと思う。
政治が分からないなんて言わないで、出来る事から始めなければ・・・
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