交通取締りの話〜の続き

・私の経験

折りしもこの頃、神奈川県警や栃木県警、新潟県警などで不祥事が相次ぎ、当時の小渕首相の下、警察刷新会議*1も開かれ、世の警察批判が最高潮に達していました。警官を退職したジャーナリストなども現れ、また交通行政を専門にした評論家もいて、私は当然のように彼らの書いた著書や記事に目が止まるようになります。そして結局、私の経験は、彼らの告発や警告するところと同じ轍を辿ることになります。
次に挙げる例は、取締りの内容そのものよりも、「正しい異議申し立ての機会が与えられなかった」という点が問題と思われます。
1999年11月、大阪市内某所。私は交差点ではない停止線だけの、ちょっとわかりにくい信号を10mほど通り過ぎてしまいました。運悪く後方にパトカーがおり、私はすぐに御用となりました。同乗者がいましたが、その信号の事は誰も気付きませんでした。
警官による手続きが粛々と進むなかで、私は「この信号って判りにくくないですか?これってドライバーだけの責任ですかね?」という質問をしました。返ってきた答えは、およそ理由になっているとは思えない信号機の構造の話や、そもそも質問に対する答えになっていない信号を守らなかった時の危険性などでした。そして彼は「不服があれば後で言えますから」と付け足しました。
私は気になったことがあったので確認のため次の質問をしました。「異議申し立てが通った場合でも免除されるのは反則金だけで、点数はやっぱり引かれるんですよね?」「いえ、当然そんなことはないですよ。その時は点数も引かれません」私はこの発言をさせるために質問したようなものでした。口約束なのでアテにはできませんでしたが・・・そして最後に担当警官は、「でも、違反したのは事実であるから、認めて下さい」と締めくくり、反則切符にサインを求めました。ここで確認しておきますと、反則切符のサイン欄の下に「上記の違反をしたことに相違ありません。」と小さく書かれています。とりあえず私は赤信号の停止線を越えた事は事実なので、サインをしました。私は勝手に一連のやりとりの承認の意味も含めたつもりでしたが、それは甘い考えでした。
ところで青切符(反則行為:3点までの軽微な違反に適用)の場合、右端に、「反則金を納付した場合は出頭する必要がありません。」と書かれています。この詳細は大事な事でありながら免許講習や違反者講習では教えられないのですが、交通違反はれっきとした刑事事件として扱われており、刑事上の責任として罰金、行政上の責任として点数制度があります。事故などで被害者が発生した場合、これに民事上の責任が加わります。違反が軽微な場合、反則金という形でお金を納めれば、→送検→裁判→前科がつく、という手続きからは免除しましょう、という、一見便宜を図ったものがこの「反則金制度」です。
私はこの違反の反則金納付期限を迎え、悩んだ末に、反則金を払わずに検察に送ってもらう道を選択しました。