5.究極のエコロジー
このところ現代人の運動不足がささやかれて久しく、最近は有酸素運動などにも着目され、スポーツジムに通ったり、ウォーキングをしたり・・・という人が増えてきました。
多くの人は、そのためにお金を払ったり時間を割いたりして「運動のための運動」を行っています。その代償として得たものは「いい汗をかいた、運動不足の解消になった」という満足感。良く考えて見ればおかしな話なのです。
そもそも人(に限らずすべての動物)の身体能力というのは何らかの必然性を持っているものであり、自力で移動することもその一つでしたが、文明の発達によってそれが必要でなくなった。お金を使えば時間と労力を省いて移動手段が手に入るようになり、それが多くの人の一般的な選択肢になったためですが、一方で運動不足という問題が生じたため、お金と時間を使って自らの身体能力を消費する機会を手に入れているのです。
平成15年12月には、地球温暖化防止のためのCO2排出基準などを定めた「京都議定書」が定められ、車の排出ガスの最低基準なども強化されるとともに、各自動車メーカーの排ガス浄化技術競争が始まり、これをさらに上回る排出ガス基準を取得するために凌ぎを削っています。そして、全体としては将来的な削減規準の高いハードルに近付こうとしています。
しかし、もっと良い方法は自動車に乗らない事です。街を走る車が一割減ると渋滞は劇的に改善されると言われています。これは1t近い鉄の塊をローギヤで発進加速させる機会が減ることにもつながり、車の減少以上にCO2排出量が減少することを意味します。
もちろん、あなたが乗らなくてすんだ分は、石油資源はもちろんそのままあなたのガソリン代の節約につながります。
上に述べたことはすべて自転車という移動手段を選択する事によって得られるメリットである事は言うまでもないでしょう。これらと天秤にかけられるのは、自動車なり公共交通の便利さと楽であることです。或いはこれまでの習慣を脱するエネルギーも含まれるでしょうか。
しかし、私は、苦痛を伴ってまで自転車を利用することはあえてお勧めしません。
日常的な習慣から気楽に車を利用する人は状況によって自転車の方が楽で快適な場面があることも見落としがちです。
日常の移動手段から「自転車」という選択肢がなくなっている人は、まず少し近所でも自転車に乗って行ってみて頂きたいと思います。季節にもよりますが、うっすらと汗ばみ、5〜20分くらいの時間が、以外に気持ちよく過ごせるものです。たとえば慢性的な渋滞路線であったなら、車では本来あるべきスピードで走れない事に苛立つこともしばしばですが、適度な運動をしているときは、車より少しくらい遅くても、時間の経過すら忘れているものです。それでも苦痛だと言う人は、冒頭の理由により、あえて運動する必要がある人です。
繰り返せば慣れることによりその苦痛は減少していきます。
ですから、特に、「運動不足の解消を兼ねて自転車に乗る」という利用法は大歓迎です。
サドルに座れば自分の体重を支える必要がないので、消費を目的とした運動としてはもとより、移動手段としても効率がよく、大気を汚さないという社会貢献もできます。理由はともあれ、少しばかりきっかけを作っていただければ、これまで述べてきた「自転車利用の意外なメリット」を実感して頂けるものと思います。
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