簿記2級・基本テキスト −商業簿記− |
7章 株式会社の会計 1 |
!まず、3級合格テキストで復習してください。
・3級 10章-2 決算本手続き ・・・損益振替手続き
・2002年6月からの新出題区分の変更点は以下の点です。
(1)利益準備金の積立て対象範囲の拡大
これまで、利益準備金は、株主配当金と役員賞与金の合計の10分の1以上を資本金の4分の1に達するまで積立てることとしていましたが、 商法改正により、利益準備金は、株主配当金と役員賞与金の合計の10分の1以上を利益準備金と資本準備金の合計額が資本金の4分の1に達するまで積立てることとなりました。
個人商店の場合は(3級で学んだように)決算で、純利益または純損失を、損益勘定で計算し資本金に振り替えます。
一方、株式会社の場合は、同様に損益勘定で計算しますが、決算日の翌日以後3ヶ月以内に開かれる株主総会で処分が決定されるため、決算では次期に繰り越す処理をします。
会計処理は、[未処分利益・資本の勘定]を設けて、損益勘定に集計された当期純利益、または当期純損失の金額を振替えます。
前期からの繰越利益が未処分利益の貸方残として記入されている場合や第1期の決算などは、以下の決算振替仕訳になります。
当期純利益の場合は、
(借方)損 益 ××× /(貸方)未処分利益 ×××
当期純損失の場合は、
(借方)未処分利益 ××× /(貸方)損 益 ×××
なお、当期純損失が前期繰越利益の金額を上回っている場合や、前期繰越損失の金額が当期純利益の金額を上回っているような場合、つまり"未処理損失"が生じている場合には、[未処理損失・資本のマイナス勘定]に振替え、次期に繰り越します。 -(3)損失処理で解説します。
損益勘定 → 未処分利益勘定
┌────────┬────────┐ ───────┬───────
│ (費 用) │ (収 益) │ │ (純利益)
│ │ │ │
└────────┤ │
(純利益) │ │
└────────┘
損益勘定 → 未処分利益勘定
┌────────┬────────┐ ───────┬───────
│ (費 用) │ (収 益) │ (純損失) │
│ │ │ │
│ ├────────┘
│ │ (純損失)
└────────┘
◆ 次の取引のそれぞれの仕訳をしなさい。
(1)決算にあたり、当期純利益¥500,000を計上した。なお、前期から繰り越された利益や損失の金額はなかった。
(2)決算にあたり、当期純損失¥300,000を計上した。ただし、前期繰越利益が¥500,000未処分利益勘定の貸方に記入されている。
↓
(1) (借方)損 益 500,000 /(貸方)未処分利益 500,000
(2) (借方)未処分利益 300,000 /(貸方 損 益 300,000
*
(1)前期繰越利益や前期繰越損失がないので、当期純利益をそのまま未処分利益の貸方へ振替えます。
(2)前期からの繰越利益が未処分利益の貸方残として記入され、当期純損失を上回っている場合は、当期純損失をそのまま未処分利益の借方へ振替えます。
"利益処分"とは、会社が獲得した"利益"を、決算後の株主総会の決議によって、どのように分配するのかを決定することをいいます。
決算において確定した当期純利益、または当期純損失の金額に、前期からの繰越し利益の金額を加算して計算されたものが未処分利益で、これを分配します。
・利益処分の内容は、金銭の支払いを伴う"社外流出"と、金銭の支払いを伴わず他の資本の勘定へ振替える"内部留保"に分けられます。
○社外流出
(1) 株主配当金 --- 株主に対する利益の分配額をいいます。
(2) 役員賞与金 --- 取締役、監査役に対する利益の分配額をいいます。
○内部留保
(3) 利益準備金 --- 商法の規定により積み立てる"法定準備金"をいいます。
(4) 任意積立金 --- 商法の規定によらず、会社が任意で利益の一部を積み立てた金額で、"配当平均積立金""事業拡張積立金""新築積立金"などの特定の目的のために積み立てられるものと、特定の目的を持たずに積み立てられる"別途積立金"があります。
(5) 繰越利益 --- 上記の項目で利益処分した残額をいいます。次期の利益処分の財源になり、未処分のままで次期へ繰り越します。
"法定準備金"とは、商法で定められるもので、会社の債権者を保護するための"資本金"のほか、"資本準備金"と"利益準備金"のことをいいます。
"資本準備金"は株主によって払い込まれた金額で、内訳には"株式払込剰余金"や"株式交換差益"、"合併差益"などがあります。"利益準備金"は会社の利益の中から資本の部に積み立てる金額です。
"利益準備金"は、株主配当金と役員賞与金の合計の1/10以上を、資本準備金との合計額が資本金の1/4に達するまで積み立てることと規定されています。
したがって、1/4に達した場合は、それを超える部分の積立は必要ありません。
◆ 次の取引について仕訳しなさい。 −新出題区分
当期未処分利益¥5,000,000について、株主総会で以下の処分が承認された。商法で認められる利益準備金の最低額はいくらになるか計算しなさい。
株主配当金 ¥2,000,000 役員賞与金 ¥1,000,000
なお、決算日現在の資本金は¥20,000,000、資本準備金は¥2,000,000、前期からの利益準備金の積立額は¥2,600,000である。
↓
¥300,000
*
利益準備金の積立可能額は、資本金¥20,000,000×1/4=¥5,000,000
積立額は(株主配当金¥2,000,000+役員賞与金¥1,000,000)×1/10 =¥300,000
積立は、資本準備金との合計額が資本金の1/4に達するまでと規定されていますので、
資本準備金¥2,000,000+決算時既積立額¥2,600,000+積立額¥300,000 < ¥5,000,000
よって、¥300,000を積み立てることになります。
・利益処分の処理
株主総会で利益処分が承認され確定したら、[未処分利益・資本の勘定]から各処分項目の勘定に振り替えます。
そして、利益処分の明細を明らかにした財務諸表である「利益処分計算書」を作成します。
(借方)未処分利益 ××× /(貸方)利益準備金 ×××
/(貸方)未払配当金 ×××
/(貸方)未払賞与金 ×××
/(貸方)別途積立金 ×××
/(貸方)繰越利益 ×××
利益処分計算書
─────────
平成×年×月×日 (単位:万円)
T 当期未処分利益 ×××
U 利益処分額
株主配当金 ×××
役員賞与金 ×××
利益準備金 ×××
別途積立金 ××× ×××
──── ────
V 次期繰越額 ×××
━━━━
配当金と役員賞与金はそれぞれ、[未払株主配当金勘定]と[未払賞与金勘定]を用いて仕訳します。後日、実際に株主に配当金を支払ったときに各勘定を減少させます。
(借方)未払配当金 ××× /(貸方)当座預金 ×××
(借方)未払賞与金 ××× /
なお、繰越利益は、[繰越利益勘定]を設けて振替え繰り越す"二勘定制"と[未処分利益勘定]の貸方残として残す"一勘定制"の2つの方法があります。
◆ 次の一連の取引について仕訳しなさい。
(1)A株式会社は、平成XX年3月31日決算を行い、当期純利益3,000万円を計上した。なお、未処分利益勘定の貸方に2,000万円の残高がある。
(2)平成XX年6月30日、株主総会において、利益の処分を次のように決定した。
なお、A株式会社の資本金は5,000万円、資本準備金は500万円、利益準備金の既積立額は300万円である。また、次期へ繰り越す利益の金額は未処分利益勘定で繰り越す。
株主配当金 2,400万円 役員賞与金 400万円
別途積立金 1,200万円 利益準備金 商法で認められる最低額
(3)平成XX年6月30日、上記の配当金と役員賞与金の全額を小切手を振り出して支払った。
(4)上記の(2)について、利益処分計算書を作成しなさい。
↓
(1)(借方)損 益 3,000万円 /(貸方)未処分利益 3,000万円
(2)(借方)未処分利益 4,280万円 /(貸方)利益準備金 280万円
/(貸方)未払配当金 2,400万円
/(貸方)未払賞与金 400万円
/(貸方)別途積立金 1,200万円
(3)(借方)未払配当金 2,400万円 /(貸方)当座預金 2,800万円
(借方)未払賞与金 400万円 /
(4)
利益処分計算書
─────────
平成×年 6月30日 (単位:万円)
T 当期未処分利益 5,000
U 利益処分額
利益準備金 280
株主配当金 2,400
役員賞与金 400
別途積立金 1,200 4,280
V 次期繰越額 720
*
問題文より、[未処分利益勘定]の貸方残として残していく"一勘定制"で処理します。
一勘定制では、当期の利益3,000万円を計上し、繰越分の2,000万円は未処分利益に残したままで振り替える必要がありません。
利益準備金は、商法で認められる最低額となっているので、
積立可能額は、資本金¥5,000万×1/4=¥1,250万
積立額は(株主配当金¥2,400万+役員賞与金¥400万)×1/10 =¥280万
積立は、資本準備金との合計額が資本金の1/4に達するまでと規定されていますので、
資本準備金¥500万+決算時既積立額¥300万+積立額¥280万 < ¥5,000万
よって、¥280万を積み立てることになります。
未処分利益のうち、(2000+3000)−(280+2400+400+1200)=¥720万円が繰越利益になります。
なお、問題文の利益準備金の既積立額は300万円については、今回の利益処分とは関係ありませんので、利益処分計算書には反映しないことになります。
計算書の日付は、利益処分を決定した株主総会の日付となります。
<一勘定制> 繰越利益分が未処分利益勘定の貸方残として残ります。
未処分利益
┌───────┬───────┐
│ │ │
│ │ │
└───────┼ ─ ─ ─ ┤
│(繰越利益) │
└───────┘
なお、繰越利益を[繰越利益勘定]を設けて振替え繰り越す"二勘定制"の場合は、以下のとおりとなります。
(1)(借方)損 益 3,000万円 /(貸方)未処分利益 5,000万円
(借方)繰越利益 2,000万円 /
(2)(借方)未処分利益 5,000万円 /(貸方)利益準備金 280万円
/(貸方)未払配当金 2,400万円
/(貸方)未払賞与金 400万円
/(貸方)別途積立金 1,200万円
/(貸方)繰越利益 720万円
(1)前期からの繰越利益2000万円を繰越利益勘定から未処分利益勘定に戻す処理をします。
<二勘定制> 繰越利益は、未処分利益から繰越利益勘定へ振替えます。
未処分利益 繰越利益
┌───────┬───────┐ ───────┬───────┐
│ │ │ │ │
│ │ │ └───────┘
│ ├───────┤
│ │ 繰越利益 │
└───────┴───────┘
決算で、損失が確定した場合は、株主総会で損失処理案が承認され確定した後に、任意積立金などを取り崩して穴埋めします。これを”損失処理”または”欠損てん補”といいます。
そして、損失処理の明細を明らかにした財務諸表である「損失処理計算書」を作成します。
損失処理計算書
─────────
平成×年×月×日 (単位:万円)
T 当期未処分損失 ×××
U 損失処分額
別途積立金繰入額 ××× ×××
V 次期繰越額 ×××
損失処理は、まず、任意積立金を取り崩すことによって行います。
取り崩し順位は商法の規定により次の順序で行います。
(1)任意積立金 (2)利益準備金 (3)資本準備金 (4)資本金
損失を任意積立金の取崩しなどで処理しきれない場合、あるいは、将来、利益の獲得が見込める場合は、損失をすべててん補せず、[繰越損失・資本の勘定]へ振り替え、次期に繰越し、次期以降の利益で補填します。
なお、繰越損失についても、これを繰越損失勘定に振り替える二勘定制と、未処理損失勘定に残す一勘定制の2つの方法があります。
◆次の一連の取引を仕訳しなさい
(1)B株式会社は、平成XX年3月31日決算を行い、当期純損失1,300万円を計上した。なお、未処分利益勘定の貸方に450万円の残高がある。
(2)平成XX年6月30日、株主総会において、別途積立金550万円を取り崩して未処理損失を補填し、残額は次期に繰り越すことに決定した。なお、次期に繰り越す損失の金額は未処理損失勘定で繰り越す。
(3)上記の(2)について、損失処理計算書を作成しなさい。
↓
(1)(借方)未処分利益 450万円 /(貸方)損 益 1300万円
(借方)未処理損失 850万円 /
(2)(借方)別途積立金 550万円 /(貸方)未処理損失 550万円
(3)
損失処理計算書
─────────
平成×年 6月30日 (単位:万円)
T 当期未処理損失 850
U 損失処理額
別途積立金繰入額 550 550
V 次期繰越額 300
*
問題文より、[未処分利益勘定]の貸方残として残す"一勘定制"で処理します。
計算書の日付は、損失処理を決定した株主総会の日付となります。
損 益
────────────┬──────────────
(残 高) 1,300 │
│ 3/31 未処分利益 450
│ 3/31 未処理損失 850
未処分利益
────────────┬──────────────
│(残 高) 450
3/31 損益 450 │
│
未処理損失
────────────┬──────────────
3/31 損益 850 │ 6/30 別途積立金 550
/ │
───────
(次期繰越) 300
*
二勘定制で処理している場合は、繰越利益も未処分利益に振り替えます。
(1)(借方)繰越利益 450万円 /(貸方)損 益 1300万円
(借方)未処理損失 850万円 /
(2)(借方)別途積立金 550万円 /(貸方)未処理損失 850万円
(借方)繰越損失 300万円 /
.
(4)参考 −新出題区分以前の問題とその解説!従来、利益準備金は、株主配当金と役員賞与金の合計の10分の1以上を資本金の4分の1に達するまで積立てることとしていましたので、2002年6月より前の過去問題では、上記の計算方法になっています。
◆ 次の取引について仕訳しなさい。 −旧出題区分
(第90回(1998/11)2級・第1問-5)
東京商工株式会社は平成10年9月27日の定時株主総会において当期未処分利益¥2,430,000を次のように処分することが承認された。
利益準備金:商法で認められる最低額 役員賞与金:¥300,000
株主配当金:1株につき ¥60 別途積立金:¥500,000
なお、平成10年6月30日(決算日)現在の資本金、利益準備金の勘定残高はそれぞれ¥10,000,000、¥2,000,000であり、発行済株式数は20,000株であった。また、次期繰越利益は未処分利益勘定で繰越す方法による。
↓
(借方)未処分利益 ¥ 2,150,000 /(貸方)利益準備金 150,000
/(貸方)株主配当金 1,200,000
/(貸方)役員賞与金 300,000
/(貸方)別途積立金 500,000
* "利益処分"の問題です。
利益準備金は、商法で認められる最低額となっているので、株主配当金と役員賞与金の合計の1/10以上を、資本金の1/4に達するまで積み立てる準備金となります。
なお、株主配当金は、@60×20,000株=1,200,000
よって、利益準備金の計算は(1,200,000+300,000)×1/10 =150,000で、これは 資本金10,000,000×1/4=2,500,000より少ないため、150,000となります。
次期繰越利益は未処分利益勘定で繰越す方法によるとあるので、これは、二勘定制の繰越す残額を繰越利益として処理する方法でなく、一勘定制で未処分利益のまま貸方残に残す方法なので、処分額だけ未処分利益勘定の借方に計上します。
合併とは2つ以上の会社が、合併契約により1つの会社に合体することをいいます。
合併の形態には、"新設合併"と"吸収合併"がありますが、簿記2級ではこのうち"吸収合併"が出題範囲になります。
"吸収合併"とは、1つの会社が存続し、ほかの会社(被合併会社)は消滅して吸収されます。
被合併会社の資産・負債はすべて受け継がれ、その対価として被合併会社の株主に対して新たに株式を発行します。
被合併会社から受入れた資産と負債の差額(これを"受入純資産額"といいます)と、その対価として発行された株式の"増加資本金額"との間に差額が生じることがあります。
受入純資産が増加資本金より多い場合は、その差額を[合併差益・資本の勘定]で処理します。
この会計処理は"パーチェス法"といい、合併について、消滅した会社の株主の現物出資したものと捉えるもので、"現物出資説"と言われています。
"合併差益"は、株主払込剰余金などとともに資本準備金として貸借対照表の資本の部に記載されます。
一方、受入純資産が増加資本金がより少ない場合は、その差額を[営業権・資産の勘定]で処理します。
これは、被合併会社の価値が受入純資産を越えるもの(いわゆる、暖簾・のれん代)と判断し、その超過額を収益を生み出す原因である営業権として処理するものです。
なお、営業権は無形固定資産で最長5年間で償却します。
(A)受入純資産>増加資本金のとき (B)受入純資産<増加資本金のとき
┌───────┬───────┐ ┌───────┬───────┐
│ │ │ │ │ │
│ 資 産 │ 負 債 │ │ 資 産 │ 負 債 │
│ │ │ │ │ │
│ ├───────┤ │ ├───────┤
│ │ 増加資本金 │ │ │ 増加資本金 │
│ ├───────┤ ├───────┤ │
│ │ 合併差益 │ │ 営業権 │ │
└───────┴───────┘ └───────┴───────┘
(A)受入純資産>増加資本金のとき
◆次の取引について仕訳しなさい。
資産総額10,000万円、負債総額5,000万円の会社を吸収合併した。なお増加資本金は4,000万円である。
↓
(借方)諸資産 10,000万 /(借方)諸負債 5,000万
/(借方)資本金 4,000万
/(借方)合併差益 1,000万
*
実際の処理では資産と負債について、個々の勘定科目を用いて処理をしますが、検定では[諸資産勘定]および[諸負債勘定]で処理します。
(B)受入純資産<増加資本金のとき
◆次の取引について仕訳しなさい。
資産総額10,000万円、負債総額6,000万円の会社を吸収合併した。なお増加資本金は5,000万円である。
↓
(借方)諸資産 10,000 /(借方)諸負債 6,000
(借方)営業権 1,000 /(借方)資本金 5,000
*
営業権は、合併や買収など有償で取得した場合に限り、商法により取得後5年以内に毎決算期において均等額以上の償却をします。
◆次の取引について仕訳しなさい。
A商事株式会社は、B商事株式会社を吸収合併して、額面株式400株(1株額面金額50,000)を交付した。なお、合併によって引継いだB商事株式会社の資本総額は3,200万円、負債総額は1,000万円であった。
↓
(借方)諸資産 3,200万 /(貸方)諸負債 1,000万
/(貸方)資本金 2,000万
/(貸方)合併差益 200万
*
受入純資産=(諸資産―諸負債)3200−1000=2200万
増加資本金= 400株×5万= 2000万なので、差額200万を[合併差益勘定]で処理します。
買収とは、営業の全部または一部を譲り受けることをいいます。
一般的にその対価の支払いは、株式の発行によってではなく、現金などの支払によって行われます。また、財産の評価額より高い代価を支払うのが通常で、その差額は[営業権・資産の勘定]で処理します。
◆次の取引について仕訳しなさい。
A商事株式会社は、C商事株式会社を買収して、買収代金 600万円を小切手を振出して支払った。なお、C商事株式会社の資産は 商品80万円、建物 200万円、土地 350万円、借入金120万円であった。
↓
(借方)仕 入 80万 /(貸方)借入金 120万
(借方)建 物 200万 /(貸方)当座預金 600万
(借方)土 地 350万 /
(借方)営業権 90万 /
*
商品は、仕入勘定のほかに[買収引継商品勘定][買収受入商品勘定]を用いることもあります。
減資とは、一定の法的手続きに従って資本金を減少させることをいい、"有償減資"と"無償減資"があります。
”有償減資”は、資本金の減少と同時に、会社の純資産の総額も減少させます。
具体的には、株式を買い戻しするなどして、その株式を消却します。
”無償減資”は、資本金を減少させて損失をてん補するもので、資本金は減少しますが、会社の純資産の構成内容が変化するだけで純資産は減少しません。
具体的には、株式2株を1株に併合し資本金を減少させる方法があります。これを、"株式の合併による減資"といいます。
減少する資本金の額が、減少資産額(有償減資の場合)または欠損金額(無償減資の場合)より超える場合の超過額を"減資差益"といい、[減資差益・資本の勘定]で処理します。
商法では、資本準備金として積み立てるよう定められ、貸借対照表でも資本準備金として表示されます。
◆次の取引について仕訳しなさい。
(1)A商事株式会社は減資の法的手続きをとり、発行済み株式100,000株(額面金額¥500)のうち、40,000株を1株あたり¥450で買入償却した。なお、代金は小切手を振出して支払った。
(2)B商事株式会社は、累積欠損の補てんのため臨時株主総会を開催し、発行済み株式2株を1株に併合することを決議した。発行済み株式1,000株、額面金額¥40,000である。なお、欠損金¥15,000,000は未処理損失勘定で繰り越しされている。
↓
(1) (借方)資本金 20,000,000 /(貸方)当座預金 18,000,000
/(貸方)減資差益 2,000,000
(2) (借方)資本金 20,000,000 /(貸方)未処理損失 15,000,000
/(貸方)減資差益 5,000,000
*
(1)資本金の減少は 40,000株×¥500=¥20,000,000、買入償却額は40,000株×450円=18,000,000円で、差額を減資差益で処理します。
(2)資本金の減少は 2株を1株に併合したので、1000株×1/2×¥40,000=¥20,000,000、
この金額で欠損金をてん補し、差額は減資差益で処理します。