朱雀四番士中組戦争調書　（八）

　

○戦争番兵日数摘左に顕す。
○一閏四月廿七日夜、信濃川口端榎ノ峠、両所へ番兵致し候。長岡領妙見村番兵。
○一五月三日、朝五ツ半時比より八ツ時頃迄大砲戦、昼前大勝利、昼後敗走。會津領片貝村戦争。
○一同月十日、昼後より同十九日夕迄、都合十日の間昼夜砲戦致し候。長岡領妙見村並びに城山砲戦。
○一同月廿二日廿三日、両日番兵致し候。同領杤堀村番兵。
○一同月廿三日の夜より手配に相成り、廿四日明け方より九時過ぎ迄大苦戦、同領板澤村苦戦。
○一六月二日、朝四ツ時頃より暮六ツ時比迄大砲戦、大勝利。新発田領今町中島砲戦。
○一同二日夜より四日迄、昼夜番兵致し候。同領三林村番兵。
○一同五日より九日迄、昼夜番兵致し候。同杉ノ森村と灰島村手前へ番兵。
○一同七日、昼後より夜六ツ時迄大砲戦致し候。同大口村砲戦。
○一同十日、昼後より暮合迄砲戦致し候。長岡領七軒村砲戦。
○一同十三日より廿七日迄、都合十五日の間、昼夜砲戦致し候。同福井村並びに猿橋砲戦。
○一七月六日より同十三日迄、都合八日の間、番兵致し候。與板領與板口番兵。
○一同十四日、日ノ浦出張、砲戦致し候。旗本領小島谷村砲戦。
○一同十五日より八月朔日迄、都合十六日の間、昼夜砲戦致し候。桑名領大山砲戦。
○一八月朔日、内川端へ番兵致し候。村上領三條番兵。
○一同三日より四日朝まで番兵致し候。桑名領加茂新田村番兵。
○一同四日朝、村松表へ出張、同夜道より引戻り、直に関門へ罷り出、炮戦に及び、明け方引上げ候。村松出張引戻り、加茂関門炮戦。
○一同九日、番兵致し候御境小松村並びに関門番兵。
○一同十日より十五日迄、都合六日の間、昼夜砲戦致し候。同小松石間両関門並びに宝生山口砲戦。
○一同十六日、番兵致し候。川口村番兵。
○一同十七日夜、番兵致し候。五十嶋村番兵。
○一同十八日、朝五ツ時比より昼後迄砲戦致し候。同所砲戦。
○一同十九日より同廿四日迄、都合六日の間、昼夜砲戦、明け方津川へ引上げ。矢澤村砲戦。
○一同廿八日の夜、番兵致し候。山之郷舘ノ原村番兵。
○一同晦日夜、番兵致し候。同中反村番兵。
○一九月朔日、昼後より翌朝迄番兵致し候。同小綱木村番兵。
○一同二日、砲戦敗走。同間ヶ澤村砲戦。
○一同三日より四日迄、番兵致し候。同中反村番兵。
○一同五日より八日迄、昼夜番兵致し候。同一合村番兵。
○一同八日より十日昼後迄、番兵致し候。宮在家村分惣座松峠番兵。
○一同十日、七ツ時過ぎより夕刻迄砲戦致し候。小荒井村砲戦。
○一同十一日、八ツ時比より暮合迄砲戦致し候。熊倉村砲戦。
○一同十五日、四ツ時比より暮合迄砲戦致し、直に番兵致し候。一ノ堰河原砲戦。
○一同十六日、昼夜一ノ堰河原にて番兵致し候。同所番兵。
○一同十七日、朝五ツ時比より七ツ時比迄砲戦致し候。同夜、福永村へ引上げ。同所砲戦。
○一同十九日より廿六日迄、都合八日の間、昼夜番兵致し候。大内市野峠番兵。
○右戦争並びに番兵いたし候日数、合わせて百八度の内、六拾六度戦争、四拾二度番兵。
○一戦争書の通り、昼夜の差別無く砲戦致し、其の内苦戦進撃度々之有り、右日並中は勿論、外夜と雖（いえど）も寝事勝って数えられず、仮令戦番の餘日といえども探索物見胸壁築等に昼夜を送り、草履にて解安臥致し候儀、適々に之有り候。我が隊、兵粮方に於いて、米、金、器械、弾薬等受け取り、胸壁築立、人足裁判、討死手負取始末等を始め、代々に陣場へ出張罷り在り、既に日ノ浦に於いて七月十五日より同廿九日まで都合十五日の間、胸壁砲戦致し候事。

○討死並びに手負人別
○五月三日　片貝村戦争の節、打死　小川求馬　　同兵粮方下役　薄井鉄太郎
○五月十二日　長岡妙見城山戦争の節、打死　伊東重太郎
○五月廿四日　杉澤村戦争の節、打死　能見久衛　　同遠藤清助、沖津豊吉　　同三宅九七郎　　同山田清太郎　　同酒井源太郎
○六月二日　今町戦争の節、打死　成田新三郎
○同翌々日　加茂宿にて打死　飯田久次郎
○同月廿二日　見附方面大里村進撃の節、打死　上崎茂
○大黒村進撃の節、討死　鈴木豊三郎
○同月廿四日　福井村胸壁にて討死　小隊付　多賀谷勝之進
○八月十一日　小松関門戦争の節、討死　圓城寺岩五郎　同中澤族　同高橋八郎　同外島錫次郎　同蜷川文次郎　同春日七彦
○九月二日　山之郷間ヶ澤戦争の節、討死　半隊頭　遠藤源太輔　同安藤元四郎
○同月十日　小荒井戦争の節、討死　三宅幸八
○十一日　熊倉戦争の節、打死　小隊頭　田母神金吾
○同十七日　一ノ堰村戦争の節、討死　野村勝蔵
○同十五日　同上打死　秋月新十郎　同原田次郎締め拾七人
○五月二日　片貝戦争の節、手負　半隊頭　桃澤克之丞
○同月十日より十九日迄長岡領妙見村山手戦争の際、手負　津田助五郎　同山岸六郎　同梶原豊記　同高木源之助　同高橋金吾　同兵粮方下役　鈴木寅次郎
○五月廿四日　杉澤村戦争の節、手負　小隊頭　野口九郎太夫　同清水八十八　同日向新之丞　同松永吉之助　同遠山藤八　同柳田新八　同原八四郎　同富岡岩吉　同鈴木新六　同生亀武介　同畑一角　同安藤又次郎
○五月廿八日　大面村戦争の節、手負　外嶋良蔵　同佐藤義登
○六月二日　今町戦争の節、手負　渡部久馬　同伊藤榮吾　同齋藤清士　同横田直徳
○同月五日　大口村戦争の節、手負　片岡俊吉
○同十四日　福井村戦争の節、手負　佐川隊長
○同十七日　同上手負　内田保
○同十六日　同上手負　上遠野清助
○同廿二日　大黒村進撃の節、手負　小隊頭　多賀谷勝之進
○同十五日　福井村にて手負　黒佐内百次郎
○同廿二日　大黒村進撃の節、手負　小池諄助　同樋口得次郎　同日福井村にて手負　中村又七郎　同廿四日　同上手負　三原留五郎
○八月十日より十一日迄小松関門戦争の節、手負　町野隊長　同廣田定　同齋藤清士　榎本忠八
○同月十八日より五十島戦争の節、手負　平出豊治
○九月十一日　熊倉村戦争の節、手負　横田直徳
○同月十五日　一ノ堰御原戦争の節、手負　土屋魁夫
○同十七日　同上手負　小原勇
○同十五日　同上手負　秋月新六郎締め四拾四人討死手負惣締七拾壱人

○一越国出張以来転役並びに組入仰せ付けられ候人別取摘書
○一五月五日、長岡領摂田屋村にて半隊頭仮役仰せ付けられ、同月廿六日、加茂宿にて小隊頭仮役仰せ付けられ、七月廿七日、桑名領根小屋村にて本役仰せ付けられ、八月廿日、米澤村より若松へ早打御用にて罷り登り、其の後帰隊に相成らず事。木村理左エ門
○一六月三日、新発田領三林村に於いて軍事奉行頭取仮役仰せ付けられ、三條口惣轄成為され候趣、仰せ聞かされ候、七月朔日、地蔵堂に於いて御軍事奉行頭取仰せ付けられ、若年寄格成下げられ會津に於いて纏馬印並びに領内乗り物御免成られ、若年寄並びに同心料下され候旨仰出され候、但し隊中の儀は当分是迄の通り相心得候様、仰出され候趣、御知令之有り候、八月九日、津川に於いて若年寄仰蒙為られ候趣、御知為之有り候事。佐川隊長
○一六月十三日、半隊頭仰せ付けられ、見附宿へ参着、九月十一日、熊倉戦争の節より行衛知れず。高木傳蔵
○一五月二日、深澤村に於いて陣将附仰せ付けられ候。隊附醫師　宇都野昌輔
○一六月中、見附宿に於いて西郷隊半隊頭仮役仰せ付けられ候事。松本濤江
○一七月三日、小隊頭仮役仰せ付けられ地蔵堂参着、九月十一日、熊倉戦争の節、討死致し候。田母神金吾
○一七月十二日、長岡領岩方村に於いて軍目附仰せ付けられ候事。下平英吉、上嶋権八郎、榎本榮之助、飯川岩之進
○一七月廿四日、桑名領根小屋村に於いて西郷隊半隊頭假役仰せ付けられ候事。笹沼金次郎
○一七月廿五日、同所に於いて嚮導仰せ付けられ、席御近習一ノ寄合ノ上成下され、九月十九日、大内村に於いて半隊頭仰せ付けられ、同廿一日、同処にて小隊頭仰せ付けられ、当二月二日不心得の儀之有り、当務勤るに及ばず、朱雀士中二番横山傳蔵組へ入置かれ候旨仰せ付けられ候事。内田保
○一七月廿五日、根小屋村に於いて嚮導役仰せ付けられ、席御近習一ノ寄合ノ上成下され、九月廿九日、大内村に於いて半隊頭仰せ付けられ、十一月十三日、濱崎村に於いて小隊頭假役仰せ付けられ候事。伊藤彦太
○一七月廿五日、根小屋村に於いて属事懸り仰せ付けられ、黒紐席成下され、八月加茂宿にて御勘定所立入勤仰せ付けられ候事。森下長蔵
○一七月廿五日、属事懸り御雇勤仰せ付けられ、黒紐席成下され候事。赤羽壽之助
○一八月中、加茂宿より行衛知れず。隊長附渡部悌助
○一八月九日、津川に於いて朱雀四番士中組中隊頭仰せ付けられ、同月十二日、石間陣所へ参着、九月十六日、一ノ堰村より御城中へ御用の為罷り越し、其の後帰隊に相成らず、当正月御軍事奉行並假役仰せ付けられ、松代表へ罷り越し候様申し聞かされ候旨、猪苗代より申し来り候趣御知為之有り候事。町野隊長
○一八月十一日、佐川殿へ附属若松へ罷り登り候様仰せ付けられ、石間より出発候事。兵粮方下役加藤亀蔵、町兵寅次郎
○一八月、石間村にて組入れ致し、同月十一日、同所にて討死致し候事。春日七彦
○一八月、矢澤村に於いて、土工兵小隊頭仰せ付けられ候事。佐藤義登
○一八月廿五日、津川に於いて半隊頭假役仰せ付けられ、同月廿六日、坂下村に於いて小隊頭仰せ付けられ、九月廿七日、一ノ堰戦争の節、討死致し候事。野村勝蔵
○一八月廿六日、坂下村に於いて半隊頭仰せ付けられ、九月二日、山之郷間ヶ澤戦争の節、討死致し候事。遠藤源太輔
○一八月中、西郷隊仰せ付けられ由。喇叭君嶋武之助
○一同月七日、山之郷一合村より附属致し候、当二月二日、白虎隊へ入置かれ候事。松坂正三郎、外島福三郎
○一九月十日、小荒井村戦争後行衛知れず候事。井口伊之蔵、三宅内匠
○一九月十一日、熊倉口に於いて知行百石下され、小隊頭仰せ付けられ、同月十七日、一ノ堰戦争の節、討死致し候事。秋月新十郎
○一九月十一日、熊倉村に於いて組入仰せ付けられ候事。眞�ﾈ十郎次郎
○一同日、右同断。大竹豊之助
○一同、宮原潔三郎
○一同日附属致し、同十七日、一ノ堰河原戦争の節、討死致し候。原田次郎
○一同日同当二月二日、白虎隊へ入置かれ候事。森山五郎
○一九月十九日、大内村に於いて組入致し候事。山口榮吉
○一九月廿四日、附属兵粮方世話致し候様仰せ付けられ候事。兵粮方假役馬場忠蔵
○一九月十九日、大内村に於いて、原生駒石井榮之進隊合兵の上、右頭仰せ付けられ、席大御目附ノ上成下され候事。飯田秀三郎
○一九月十一日、一ノ堰村戦争後より行衛知れず。兵粮方下役國府勇五郎
○一九月廿二日、大内村に於いて嚮導仰せ付けられ、席御祐筆ノ上成下され、二月七日、半隊頭の勤致し候様仰せ付けられ候事。白土正伍
○一九月廿二日、大内村に於いて、嚮導仰せ付けられ、席御祐筆ノ上成下され、三月四日、大澤村に於いて半隊頭の勤致し候様仰せ付けられ候事。松田善之助
○一九月廿二日、大内村に於いて、嚮導仰せ付けられ、席御祐筆ノ上成下され、四月廿三日、半隊頭の勤致し候様仰せ付けられ候事。西郷千蔵
○一九月廿二日、大内村に於いて、嚮導仰せ付けられ、席御祐筆ノ上成下され、十一月十三日、濱崎村に於いて半隊頭假役仰せ付けられ候、四月廿六日、小隊頭の勤致し候様仰せ付けられ候事。高橋金吾
○一九月廿二日、大内村に於いて、嚮導仰せ付けられ、席御祐筆ノ上成下され候、四月七日、大澤隊半隊頭の勤致し候様仰せ付けられ候事。米澤軍吾
○一九月廿二日、大内村に於いて、嚮導仰せ付けられ、席御祐筆ノ上成下され候事。簗瀬勝治、宮原潔三郎
○一二月廿一日、組入致し候事。名倉房吉
○一二月廿九日、組入致し候、四月廿三日、大澤隊半隊頭の勤致し候様仰せ付けられ候事。田中主水
○一四月十六日、朱雀四番寄合組半隊頭の勤致し候様仰せ付けられ候事。大竹餘吾
○一五月十日、嚮導の勤致し候様仰せ付けられ候事。山岸六郎、梶原半蔵、下司庄太郎、筧数馬
○一七月五日、門奈治部隊組頭勤致し候（様）仰せ付けられ候事。千葉繁次郎

○一討死手負並びに転役或いは脱走等にて当時在人左の通りに候事。
隊長城取新九郎、小隊頭假役伊藤彦太、小隊頭ノ勤高橋金吾、半隊頭ノ勤白土正伍、同西郷千蔵、嚮導簗瀬勝治、同宮原潔三郎、同山岸六郎、同梶原半蔵、同下司庄太郎、同筧数馬、樋口留四郎、倉澤楯一郎、辰野源太、清水省吾、川嶋勝千代、遠藤蕃、赤羽壽之助、横山留総、生駒登茂治、竹崎新六、眞�ﾈ十郎次郎、榎本忠八、片岡繁次郎、山口榮吉、弦木啓蔵、大竹豊之助、中村又七郎、名倉房吉、兵粮方齋藤粂蔵、同森山源之丞、同吉川文吾

會津藩戦争日記続編　終

正誤　一枚裏九行、川文次郎は蜷川文次郎。六枚表十一行、候得ハの三文字削る。九枚裏四行、敷厳は厳敷。十三枚表九行、起は趣。十五枚表三行、澤本米陣は米澤本陣。十六枚表一行、坂は板。島は鳥。十七枚表六行、有等之は等有之。十八枚裏八行、不相成は不相知。廿一枚表九行、厳数は厳敷。同裏十行、石門は石間。廿四枚表一行及び三行、陳は陣。同裏五行及び十行、曹は曾（曽）。廿五枚表九行、国越は越国。同表七行、今日は甲賀。廿六枚裏五行、時頃の下、にもを加う。同十行候事の下、時字を削り○を加う。廿八枚裏十行、代々には代る代る。廿九枚裏八行、佐は河。

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