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攘夷の幕末史

著者名 町田明広
発行元
 講談社 現代新書
販売価格 720円+税
発行年月日 2010年(平成22年)9

■コメント■
これまで定説だった幕末の対立軸「尊皇攘夷vs公武合体」に異を唱え、攘夷の実相を根本から見直し、当時の日本人の対外意識を踏まえて解りやすく解説した本です。


■著者からの紹介コメント■

 幕末というと、分かりにくく、どうしても<尊王攘夷>と<公武合体>の対立という構図で描かれます。
 しかし、幕末の政治状況をそう簡単に二分できるものなのでしょうか。例えば、今年の大河ドラマの主人公でもある坂本龍馬ですが、彼は<尊王攘夷>派なのでしょうか、<公武合体>派なのでしょうか。倒幕につながる薩長同盟の立役者という点では、<尊王攘夷>派のようですが、グラバーと商談をし、幕臣松平春嶽と懇意だったということを考えると、<公武合体>派のようにも思えます。
 当時の日本人は、程度の差こそあれ、みな<攘夷>だったのです。
実際、<公武合体>派の代表的存在であるはずの薩摩藩が、生麦事件、薩英戦争を引き起こしているのです。
 本書は、今までの幕末歴史観への新たな試みであり、あわせて幕末の日本を
覆った<攘夷>という熱の実相を明らかにし、日本人の外認識を捉え直す一冊です。ぜひご一読ください。





会津人群像 2010 no.16

発行元 歴史春秋社
販売価格 1050円(税込)
発行年月日 2010年(平成22年)3

■コメント■
季刊誌 『会津人群像』 の第16号。飯沼家で発見された新史料をもとに、飯沼一元氏が白虎隊の行動に関して新たな検証・考察を寄稿されています。関連記事も興味深いものばかりで、会津藩・白虎隊に関心をお持ちの方にぜひ読んでいただきたい一冊です。


■主な内容案内■
 (著者名の敬称略)
特集 飯沼家に伝えられた白虎隊の真相を語る

◆幕末の会津藩  星亮一
◆白虎隊の戦闘行動と自刃の決定プロセス  飯沼一元
◆長州・斗南と会津白虎隊
 ・飯沼貞吉と楢崎頼三  土屋貞夫
 ・白虎隊と長州人 ― 神意について断層 ―  山本貞壽
 ・日本最初の白虎隊士の墓碑  大庭紀元
◆蘇生白虎隊士 飯沼貞吉の生涯  飯沼一元

◆連載 京都守護職の苦悩
・「真の尊王」と「偽の尊王」  鈴木荘一
◆戊辰戦争が残したもの
・萩地方に伝わる『白河踊り』  滝沢洋之・中原正男


歴史春秋社のホームページ 歴春うぇぶ より購入できます。





島津久光=幕末政治の焦点

著者名 町田明広
発行元 講談社 選書メチエ
販売価格 1680円(税込)
発行年月日 2009年(平成21年)1

■コメント■
タイトルに島津久光の名がついていますが、久光の伝記ではありません。京都での政局が大きく動いた文久年間を主として、薩摩藩における久光の立ち位置をはっきりさせ、周囲の人物や他藩、朝廷、幕府の動きを絡めて、幕末政治史の流れを解説する書。


■著者からの紹介コメント■

  2008年はまさに「篤姫」ブームでした。大河ドラマとしては過去10間では最も高い年間平均視聴率25%であったということですが、テレビ離れが言われるこのご時世にあって、驚異的な数字でしょう。
 放映開始当初、今回は視聴率をあまりとれないのではないかと私は予想していました。その理由として、幕末ものは当たらないこと。そのうえ主人公は篤姫という、ほとんどの人が知らないマイナーな人物であり、しかも準主役は西郷や大久保でなく、小松帯刀であったこと。しかし、私の予想を大きく裏切って、「篤姫」がヒットしたのは、なぜでしょうか。
 私の分析では、複雑な幕末政治史を巧みに回避したこと(「八月十八日政変」などは、冒頭のナレーションのみでスルーでした)。そして、大奥を舞台として、淡い恋物語に貫かれた、涙を誘うホームドラマに仕立て上げ、女性ファンをこれで勝ち得たことが大きいと思います。もちろん、配役の妙もあるでしょうが。
 一方、そのストーリーによって「歴史的事実」が書き換えられてしまったことも指摘しなければなりません。まさか、篤姫と小松が本当に幼馴染であったと信じている方はいないと考えますが、その他にも困った点は数多く存在します。例えば、小松帯刀を世に送り出してくれたことは、賞賛に値する大事件でしたが、倒幕に反対する平和主義者という設定はいかがでしょうか。
 また、島津久光の扱いにも、個人的には不満が残ります。登場シーンでは毎回のように力んでおり、保守的な側面ばかりが強調され、残念無念です。本当の久光は、古今稀に見る政治家であり、その卓越した政略・眼識の持ち主です。久光なくして、幕末史は回天せず、西郷・大久保も歴史に名を刻めていなかったはずなのです。久光は名前こそ知られているものの、その実像はあまりにも知られていません。
   この度『島津久光=幕末政治の焦点』を執筆する僥倖に恵まれましたが、本書では、久光を幕末史の綺羅星として、本質的に歴史を回天させていた人物として描きました。それは、大河ドラマ「篤姫」からは想像もつかない姿でしょうが、これが歴史の実相であると私は考えています。
 久光という人物についてはもちろん、八月十八日政変や朔平門外の変といった、これもまた一般にはあまり関心をもたれにくかった、政治的大事件の面白さを描いたつもりです。ぜひ、ご一読いただき、幕末、とくに文久期という時代に展開した、政治史のドラマをお楽しみいただければ幸いです。どうかよろしくお願いいたします。

 

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