会津藩の武士階級（1） 身分制度
会津藩の武士階級は、大きく分けて上士（士中）・中士（寄合）・下士（足軽）があり、上士・中士は羽織紐の色によって７階級に、足軽は半襟の色によって４階級に区別されていた。
注）紐・襟の色は、近似色です。色見本の館様を参考にさせて頂きました。大和柿色・白鼠色は、和装小物のカタログを参考に管理人が作成しました。
■俸禄について■
「知行取」（ちぎょうとり）は、分限百石以上の階級で、米・金両方で支給。
「切符取」（きりふとり）は、分限五十石以下の階級で、米・金両方で支給。
「扶持米取」（ふちまいとり）は、扶持米（一人扶持＝1日５合）で支給。
「高掛」（たかがかり）は足軽の階級の一つで、上司にあたる物頭が藩より預かった扶持米を支給。
紐制 （上士、中士）
階級 羽織紐の色 式服色 身分 近習（文官）の役職 外様（武官）の役職 俸禄 第１級 納戸色 夏は薄柿
冬は空色上士
（士中）（御大老、御家老、若年寄）
奉行、大御目付、御側番頭、猪苗代御城代、新番頭、大組物頭、御家老組組頭 知行取 第２級 黒色
（格上）夏は水色
冬は黒色御小姓、御奏者番、御刀番、御使番、若殿御小姓御大老付寄合組頭、御聞番、若殿御用役（以上、格上） 新番組添役、御旗奉行、物頭、御家老付御旗奉行（以上、格上） 知行取 黒色
（格下）夏は水色
冬は黒色町奉行、御蔵入郡奉行、郡奉行、御式方用役、公事奉行、御普請奉行、武具奉行、学校司業、御目付、金山奉行、大御納戸、御納戸、若殿御納戸、御次番、御祐筆、御前様御用役、御供番、若殿御供番（以上、格下） 無役組、御家老付外様士、番頭付外様士（以上、格下） 知行取
および
切符取第３級 紺色 夏は水色
冬は黒色― 猪苗代士 切符取 第４級 花色 夏は水色
冬は黒色厩別当、御勘定頭、御近習番、会津両納戸、御側医師、若殿後側医師、御大老寄合組、御近習二ノ寄合、芸者、組外之士 御家老付一ノ寄合、新番組士 切符取 第５級 茶色 夏は千草
冬は青茶中士
（寄合）御医師、御坊主頭、御賄頭、若殿賄頭、女中付、御用所役人、御用部屋之者、御用人所吟味役、神料役人、御普請方吟味役、御勘定所改役、深川御屋敷守、江戸御金払、廻米役人、検地役人竿頭、御近習三ノ寄合 御家老付二ノ寄合、檜原御境守、御家老付三ノ寄合、御家老付四ノ寄合、御家老付与力 切符取 第６級 萌黄色 夏は藍鼠
冬は路考茶色大賄役、兵器（武具）役人、御台所目付、御徒組頭、御徒目付、若殿御徒目付、貸方役人、御坊主組頭、若殿御坊主組頭、御月代番 大組与力、御旗差配与力、金鞁役、御軍事奉行付与力、番頭付与力、新番頭付与力
御通御目見（おとおりおめみえ）：大勢列座しているところを藩主が通って謁見する階級。
御通年割：切米を年何回かに割って支給。御通御目見が許される。
年割：切米を年何回かに割って支給。御目見はならず。
月割：切米を月に割って毎月支給。御目見はならず。切符取
（御通年割、年割）第７級 浅黄色 不明 金山役所小役人、郡役所小役人、神料役所小役人、預役所惣小役人定雇、茶部屋 切符取
（月割）* 家老・若年寄は別格。この階級を、「勝手次第」（志ぐれ草紙）や「紫紐」（会津藩諸士系譜）とする史料もある。
* 茶紐以上は藩主に独見可能。「独見御目見」（どくれいおめみえ）。
* 第２級（黒紐）には格上と格下がある。
* 第１級、第２級の格上は、常上下（肩絹だけ着して平日の勤務に服すること）。
* 第４級までの上士（士中）のみ、藩校日新館入学を許可。
襟制 （下士）
階級 半襟の色 身分 俸禄 第８級 黒色 下士
（足軽）扶持米取 第９級 大和柿色 扶持米取 第10級 白鼠色 扶持米取 第11級 浅黄色 高掛 * 第８〜10級までは上下（裃）着用可。但し、絹の使用はならず。
* 第11級は「高掛」（たかがかり）といい、物頭（ものがしら）が藩より預かった扶持米を支給。召抱え、召放ちは物頭の権限で、後で届け出ればよい事になっていた。また、高掛の足軽は、物頭に出会った際には草履を脱いで土下座しなければならなかった。（『志ぐれ草紙』より）
参考文献： 小川渉『志ぐれ草紙』、芳賀幸雄編『会津藩諸士系譜』、会津郷土資料研究所『慶応年間 会津藩士人名録』
戻る