菌糸ビンによるクワガタ飼育
ここ数年 飼育マットから菌糸ビン飼育に変えるブリーダーが増えてきている。
確かにマットの研究が進むにつれ50mmクラスから60mmクラスのオオクワガタが楽に育てられる様になった。
しかしマットにも限界があり、まれに70mmオーバーが出るがそれ以上を望むのは困難だ。
そこで、菌床飼育が生まれた。
菌床飼育は、マットに手間をかけずに、各メーカーから出ている菌糸ビンを使用すれば、70mmオーバーを出すのにそんなに苦労することは無い。
簡単な飼育方法だか、そこには落とし穴がある。
一つは、菌糸ビンの選び方だ。
色々なメーカーから色々な菌糸ビンが出ている。
主なものは、ヒラタケ菌・オオヒラタケ菌・アワビタケ菌・カワラタケ菌等である。
注意してほしいのは、よく出ているオオヒラタケ菌糸ビンと書いてあるものが、正確には、ウスヒラタケというキノコである。
しかし、実際にはヒラタケ菌(シメジ)のものが殆どである。
菌床でキノコ栽培をしている友人に聞いてみてもらったが、区別するのはかなり難しいが、ヒラタケ菌がかなり多いという事だ。
それはそれでヒラタケ菌・オオヒラタケ菌とではどれだけ差が出るのか、結果は殆ど差が無いのである。
問題なのは、材料となるオガ粉と添加物である。
クヌギ100%の菌糸ビン格安で販売など良くあるが゛、実際クヌギの原木をオガ粉にしてくれる製材業者はかなり少ないのが現状だ。
クヌギ100%の菌糸ビンといってもクヌギのシイタケボタ木を粉砕したオガ粉を利用して作られた菌糸ビンが、かなり多く出回っているのも事実の様だ。
この場合樹木の本来持っている養分がヒラタケ菌によって分解されその後は殆ど無くなってしまう場合が多い。出来れば生オガ粉使用の業者をお勧めします。
菌糸ビン飼育の注意点をいくつか説明します。
生クヌギあるいはナラ・コナラのオガ粉使用のものを選ぶ。
添加物は、一般にフスマ・コーンミル・米ヌカ等を使用しているがフスマだけで十分と思われる。
個人的には、グルタミン酸(味の素)・キト酸なども効果が出ます。
あとは自分なりに件杞憂して添加剤を使用してみるのも良いでしょう。
注・菌糸ビンの作り方で説明
容器の選択ガラス製ビンとポリ製ビンの利点と欠点を比較してみる。
ガラス製ビンの利点
熱を放出しやすく、菌の活性による熱を容器の外に出してくれる。
夏場高温時でも、容器内の温度が急に上昇する事がない。
容器内の様子が見えるので、幼虫の成長が目で確かめることが出来る。
ガラス製ビンの欠点
重くて割れやすいので取扱に注意が必要である。
価格的に割高である。
ポリ製容器
丈夫で軽いため取扱が容易である。
機械で瓶詰めできるので安価である。
水洗いで、何回でも使用できる。
熱が外に逃げないため、夏場の容器内は外気温より上昇する。
急激な温度上昇で幼虫が死亡するケースがある。
温度管理(27度以下)換気にきおつける。
劣化がガラス容器に比べ早い。
以上の点に気を付けてどちらかを選択して下さい。
容器サイズ 750cc〜800cc 1000cc〜1400cc 4000cc等がある。
国産オオクワガタの場合は、800ccで十分である。
外産の場合は、食欲が旺盛なので1400ccクラスあるいは、虫によってそれ以上のクラスを使用
してほしい。
菌糸ビンは、容器にオガ粉と添加物を混ぜ水分を含ませ、詰めたビンを高温で殺菌し冷却したビンにヒラタケ菌等の菌を植え付け、一定温度で長時間培養しなければならないもので、家庭では簡単に作ることは出来ない。
生クヌギオガ粉 オガ粉詰機
殺菌処理
そのために、信頼の置ける業者から購入する方法を検討して下さい。
只、詰替用菌糸ブロックでオリジナル菌糸ビンを作る事が出来ます。その方が安く出来ます。
先ず、ビンを用意します。ビンはホームセンター等で売っているマヨビン・蜂蜜ビンもっと安く作りたい方は、コーヒーの空き瓶や食品の空き瓶(透明なもの)等を使っても出来ます。この際には、蓋に2〜3個の空気穴を空け通気に気を付けて下さい。
ブロックの条面に出来た、皮膜やキノコを取り除いて、細かくした菌床を3分の2位入れて棒の様なもので、隙間が出来ないよう詰めます。それから残りの部分に同様に詰め込むとそこの部分に隙間が出来ません。
あまり強く押し込むと、菌の回りが遅れることがあります。
ビン全体が白く菌が再生するのを待って使用する。
菌が再生するのに15度で、10日前後かかります。
残った菌糸ブロックは、袋口を何重かに折りガムテープでふさいでおけば後で使用可能です。
添加剤の使用
菌床を細かくした段階で水で溶かして良く混ぜる。
水を多く使うと水分過多になるので注意が必要だ。
初齢〜2齢前期が望ましいです。
幼虫が2齢の終わりから3齢の始めまでマット飼育した個体は、その後菌糸ビンに移して替えても効果は得られません、逆に餌の違いによるストレスで体重が減るケースが多く見られます。
現在、当方菌糸ビンで飼育中の10月割り出し個体ですが、3齢で体重gになっております。
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菌糸ビン管理 温度を安定させて