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諏訪内晶子さんが優勝された、第9回チャイコフスキー国際コンクール(1990年)をまとめました

9th INTERNATIONAL TCHAIKOVSKY COMPETITION 1990
チャイコフスキー国際コンクールは1958年に創設され、4年に一度モスクワで開催される。
第9回大会の1990年はチャイコフスキーの生誕150年の記念の年でもあったが、6月14日から7月8日にかけて催された。

今大会は世界48か国から514名(ヴァイオリン部門では66名)がノミネート、日本からの参加者は64名であった。国別の参加者を見るとアメリカが断然に多く111名、日本は2番目、地元ソビエトは49名で3番目、以下西ドイツが25名、フランスが24名と続いた。

1990年6月のモスクワはちょうど第28回全ソビエト連邦共産党大会が開催されており、今までコンクール参加者の宿泊ホテルとして使われていたホテル・モスクワが党大会参加者用に優先使用されたため、出場者はホテル・ウクライナに宿泊することになった。第1次予選の段階では、一部の人は部屋数の関係でモスクワ・スポーツセンターに宿泊せざるを得なかった。

諏訪内晶子が「夢でケーキを買うのだけれど、ロシア語の名前が出てこなくて買えず、なさけなかった」と語る程に食糧事情がよくなく、食べ物の恨み怨みが重なるモスクワの現状だった。

ヴァイオリン部門において、コンクールの会場は第1次予選がチャイコフスキー記念モスクワ音楽院の小ホール、第2次予選・本選は同じ音楽院の大ホールで行われた。コンクール期間後半のモスクワは連日35度を越し、聴衆の熱狂も合わさって、冷房のない会場はまるでサウナ状態だった。

諏訪内晶子は第1次予選では38度の熱に悩まされ、第2次では抗生物質を飲んでの出場(耳が聞こえなかったという誤報も)だったが、「自分の持っている最高のものを聞いてもらえた」というだけあって、その美少女ぶりとともに会場の人気を博した。本選の7月4日には体調も回復、「自分としては最高の出来」と言える演奏で、繰り返しカーテンコールがかかり、この時点で優勝はほぼ確実視されていた。

「あこがれていた場所で、自分の思う通り好きなように弾けたので結果は関係なかった。(発表は1位からだが、)最初に自分の名前が呼ばれたので、うれしいというより、少し驚いて力が抜けた。」

今大会で優勝を飾った諏訪内晶子のマスコミ報道は凄まじく、女性週刊誌の中には彼女を皇太子妃候補にまで祭り上げるところもあった。


日にち 1990年 6月 〜 7月
タイトル 第9回チャイコフスキー国際コンクール ヴァイオリン部門
日 程 抽選会:6月 17日
第1予選:6月 18日 〜 21日(チャイコフスキー記念モスクワ音楽院小ホール)
第2予選:6月 23日 〜 28日(チャイコフスキー記念モスクワ音楽院大ホール)
本 選:6月 30日 〜 7月 5日(チャイコフスキー記念モスクワ音楽院大ホール)
成 績 第1位 諏訪内晶子 桐朋学園(バッハ優秀演奏賞、チャイコフスキー作品優秀演奏賞)
第2位 エフゲニー・ブシュコフ(ソ連) 1968年モスクワ生まれ モスクワ音楽院
第3位 アリッサ・パーク(アメリカ) 1973年7月ニューヨーク生まれ シンシナティ大学音楽院
演 目 (別掲)
備 考 出場者数:第1予選 66名 →第2予選 32名 →本選 12名

<諏訪内晶子の演奏曲(スケジュール)> 使用楽器:1690年製ストラディヴァリウス
[日本(成田)発・モスクワ着] (6月14日)
[抽選会] (6月17日)
[第1次予選 (30分)] (6月20日 21:30)
伴奏:公式伴奏者(ソビエト)、衣装:白いワンピース
バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 〜シャコンヌ
チャイコフスキー:なつかしい土地の思い出よりメロディー
チャイコフスキー:なつかしい土地の思い出よりワルツ・スケルツォ
パガニーニ:無伴奏カプリス第24番
パガニーニ:無伴奏カプリス第5番
[第2次予選 (60分)] (6月26日 18:00)
伴奏:ロハン・デ・シルバ(アメリカ)、衣装:赤いドレス
フロロフ:アッファナート(新作)
チャイコフスキー:憂うつなセレナード
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番
サラサーテ:カルメン幻想曲
[本選 (90分)] (7月4日 16:00)
指揮:パヴェル・コーガン、モスクワ国立交響楽団、衣装:赤いロングドレス
パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
[成績発表] (7月5日 23:30)
[オフ] (7月6日)
A.M. マスコミの撮影で赤の広場へ(2時間)
P.M. 優勝者ガラ・コンサートのための練習
[優勝者ガラ・コンサート] (7月7日)
指揮:ドミトリ・キタエンコ、モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団、衣装:赤いロングドレス
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
[モスクワ発] (7月9日)
[日本(成田)着] (7月10日)
[記者会見(キャピタル東急ホテル)] (7月10日 14:00)

舞台衣装は全部お母さまが作られましたが、3着とも前からあったもので、このコンクールのために新調したものではありませんでした。



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