ぼくは、ゆめをみた。
 おとなになった、タケシと、おとなになった、シーラをみた。
 おとなのシーラは、とってもきれいな、かわいいおんなのこだった。
 すごくながくて、すごくたのしくて、すごくしあわせな、ゆめだった。


 ひかりが、とてもまぶしくて、めをあけたら、シーラがみえた。
 シーラは、ぼくをみて、ふるえてた。
 シーラのとなりで、タケシも、ふるえてた。
 だいじょうぶだ、って、ぼくはふたりを、だきしめた。

 きかんじゅうの、おとがうるさくて、せんせいと、おともだちの、こえもきこえた。
 でも、こえはすぐに、きこえなくなった。
 きかんじゅうの、おとは、まだきこえる。
 まだ、うるさいくらい、きこえる。

 シーラ、うごかないで。
 シーラの、みみもとで、ぼくはいった。
 ぼくが、いいっていうまで、うごかないで。

 きゅうに、うでが、いたくなった。
 きかんじゅうが、ぼくに、あたったみたいだ。
 だけど、シーラがみてるから、いたいかおはしない。
 シーラ、おねがいだから、うごかないで。

 シーラと、タケシを、だきしめる。
 せなかに、なにかがあたって、あつくなった。
 しゃべろうとしたら、くちのなかに、あついものが、たまってきた。
 ぼくは、もう、しゃべれないみたいだ。


 シーラ、だいすきだよ。
 こえにださないで、ぼくはいった。
 いっしょにいられて、すごく、たのしかった。
 もっともっと、いっしょに、いたかったよ。

 タケシ、おねがい、シーラをまもって。
 シーラを……ぼくの、いもうとを、まもってね。
 ぼくはもう、おとなに、なれないから。



 だれだかわからない、かみさま。
 ぼくを、おとなにしてくれて、ありがとう。
 ながくて、みじかい、ゆめをありがとう。
 どうか、シーラが、しあわせになれますように。

 シーラに、しあわせを、ください。

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